ドナルド・トランプ米大統領が高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備費用として韓国が10億ドル(約1100億円)を支払うべきで、これを韓国政府にも通知したと明らかにした。次期韓国政権の発足直前にTHAAD“奇襲配備”で既成事実化するやいなや、巨額のTHAAD費用まで転嫁するということなので相当な論議が予想される。
また、トランプ大統領は韓米自由貿易協定(FTA)に対しても「おぞましい」協定だと批判し、再協議もしくは終了を宣言した。THAAD配備で中国から経済報復されている韓国の現実は見て見ぬフリをして、トランプ政権が自国の利益だけを前面に掲げ「THAAD費用の支払いと自由貿易協定の再交渉(または終了)」という2つの爆弾を同時に同盟に投げた格好だ。
トランプ大統領は27日(現地時間)、就任100日(4月29日)を控えて、ホワイトハウスでのロイター通信とのインタビューで「韓国がTHAAD費用を負担することが適切だと韓国側に通知した」として「誰も無料でTHAADを配備しようとはしないだろう」と明らかにした。彼は「THAADは韓国人を保護する。米国は韓国人を保護するだろう。しかし、韓国人はそれに対する費用を支払わなければならない」として「それ(THAAD)は10億ドルのシステムだ。非常に驚異的なものだ。ミサイルを空中で撃墜する」と話した。トランプ大統領がTHAAD配備費用に直接言及したのは今回が初めてだ。
この内容が知らされ波紋が生じると、韓国の国防部当局者は韓米がTHAAD配備関連共同実務団が昨年7月に締結した約定を通じて、韓国政府は敷地と基盤施設を提供し、THAADシステムの展開および運営維持費用は米国側が負担するという内容に合意したと28日明らかにした。国防部の話が事実ならトランプ大統領は両国が公式に明らかにした合意さえ無視するという話だ。
また、THAAD一式にかかる購買費用が1兆ウォン程度で、トランプ大統領が言及した金額(10億ドル)と近い点に照らしてみる時、トランプ大統領が事実上THAADの購買を韓国に強要したことでありうる。ある元政府高位関係者も「韓国に購買費用を払えという話に他ならないと思う」と話した。
当初からTHAAD配備は北朝鮮のミサイルを防御するには効果がほとんどなく、米国の中国牽制戦略の一環であり、米国主導のミサイル防御(MD)システムに韓国を編入させるために推進されてきたという批判を受けてきた。そのうえ、韓国は敷地を提供するだけで、運用は在韓米軍がするという状況で、韓国のTHAAD費用全額負担は“武器商売”、“逆ただ乗り”という非難を避けられないとみられる。
トランプ大統領がTHAAD費用負担要求を韓国に通知したと明らかにしたことに対して、韓国の大統領府と首相室、および外交部事情に精通した政府当局者は「(韓国政府は)米国から関連事実に対して通報されていない」として強く否定した。この当局者は「(約定に出ている)韓米間の合意内容には変わりがない」と話した。これに伴い、トランプ大統領や米国政府の要人が実際に韓国政府にこれを通知したのか、また通知したとすれば誰がしたのかに対する“真実攻防”が続くものと予想される。
トランプ大統領は韓米自由貿易協定に関連しても「受け入れられない。ヒラリーが(国務長官在職時期に)作ったおぞましい協定」としながら「再交渉、または終結するだろう」と明らかにした。彼は「いつ発表する予定か」という質問に「きわめて近い将来」とし「今発表していること」だと話した。