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「チェ・スンシル事態」は日本の最優先関心事

登録:2016-11-01 23:54 修正:2016-11-02 05:57
日本、チェ・スンシル事態に極めて高い関心示す 
メディアでは「朴槿恵政権の外交政策を変えてはならない」との報道も 
日本に支持される朴政権の外交政策は韓国の国益とも合致するだろうか?
国政介入などの疑惑に包まれたチェ・スンシル氏が、検察の取り調べを受けている途中に緊急逮捕された事実を、日本の新聞が1日付の主要ニュースとして取り上げた。毎日新聞、読売新聞、産経新聞は、検察に召喚されるチェ氏の写真を1面に掲載した=東京/聯合ニュース

-(チェ・スンシル氏の「国政介入」事態によって)、朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する批判が高まっている。これについて日本政府の立場は?(日本の記者)

「韓国の内政に関わることであるため、日本政府としてコメントすることは控えたいと思う」(菅義偉・官房長官)

 1日午前、日本政府の定例記者会見。この日午前に開かれた閣議の決定内容に関する菅義偉・官房長官の説明が終わった後、日本の記者たちの質問が始まった。最初の質問。現在韓国で進行中のチェ・スンシルの「国政壟断」事態に対する日本政府の立場を問う質問だった。困った菅官房長官が「コメントを控えたい」として即答を避けると、すぐに他の記者が手を挙げた。やはりチェ・スンシル事態に関する質問だった。

-今回の事態によって昨年末の慰安婦問題をめぐる合意の履行や北朝鮮への対応の連携に影響が出ることはないか?

「まず、韓国の内政に関する事項について政府としてコメントすることは差し控えたいと思っている。ただ、いずれにせよ日韓それぞれが(昨年の12・28)合意に責任を持って実施していくことが極めて重要であり、合意の着実な実施のために韓国政府としっかりと連携していきたい」

-年内に開催予定の日中韓首脳会談をめぐり、韓国メディアでは実現が不透明になったという指摘もあるが。

「(これついては)何ら影響がないと考えている」

 日本政府は特別な日程がない限り、韓国の大統領府秘書室長に当たる菅官房長官が1日に2回首相官邸担当記者団の質問に答える定例記者会見を行う。この場で日本の記者たちが行う質問から、現在日本が関心を傾けている懸案が浮かび上がってくる。日本の記者たちが韓国の情勢について連続して3回も質問したことは、日本が今回の事態にどれほど高い関心を持っているのかを象徴的に表すものである。

 日本はなぜこれほど韓国の情勢に敏感に反応しているのか? 理由は簡単だ。朴槿恵政権がこのまま倒れた場合、昨年の12・28合意以来続いた韓国の外交路線が修正される可能性があることを懸念しているからだ。

 朴槿恵政権は2013年2月の就任後、慰安婦問題の解決を対日外交の前面に掲げて日本と激しい対立を続けてきた。しかし、2015年春以降本格化した米国の介入に耐え切れず、「植民地支配に対する謝罪」に一言も言及しなかった同年8月の「安倍談話」を容認し、その延長線上にある日本軍「慰安婦」問題に関する12・28合意を受け入れた。韓国政府はその後、あらゆる方法を使って12・28合意の履行に向けて努力しており、韓米日3角同盟を強化するための具体的な処置として、「THAAD(高高度防衛ミサイル)配備」と「韓日軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)の締結を決心した。朴政権が倒れればこの路線が大きく揺らぎ、これは日本の国益にとって非常に大きな打撃になる。

 日本の主要メディアも社説を通じ、このような憂慮を具体的に表現している。「毎日新聞」は1日付の「窮地の朴大統領 外交の停滞を懸念する」というタイトルの社説で「韓国は、北東アジアの平和と安定に大きな役割を担う国だ。内政での混乱が外交の停滞を招くことのないようにしてほしい」と述べた。 一見すると、韓国の状況を心配しているようだが、懸念の焦点は今回の事態で日本の国益が侵害されるかどうかに当てられている。「朴大統領は強い危機感を抱いて日米との連携強化を進めてきた。米国とは在韓米軍へのTHAAD配備計画に合意し、日本とは軍事情報包括保護協定の交渉再開を決めたばかりだ。しかし、どちらも韓国国内に反対論を抱えている。大統領の求心力がこれほど落ちたままで、難しい国内調整を進められるだろうか」。

 「朝日新聞」も同じだ。同紙は「日韓関係では、昨年末の慰安婦合意に基づく財団の運営や、軍事情報の保護をめぐる協定の締結交渉などの課題がある。朴氏の指導力が長く低迷すれば、そうした課題の行方が見通せなくなるおそれがある」と指摘した。

 それでは、日本の国益に合致する朴槿恵政権の外交・安保路線は、韓国の国益とも一致するのだろうか? 韓米日3角同盟を強化し、北朝鮮を孤立させ、中国と対立する路線は、朝鮮半島に平和をもたらせるだろうか? チェ・スンシル事態が韓国社会に投げかけているもう一つの質問である。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/768318.html 韓国語原文入力:2016-11-01 16:52
訳H.J(2123字)

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