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三池淵管弦楽団が演奏する曲とは?

登録:2018-01-17 06:18 修正:2018-01-17 08:16
これまで「アリラン」「われらの願い」は固定レパートリー 
ソウル・江陵で公演…合同公演はまだ協議されていない 

 16年ぶりに韓国を訪れる北朝鮮の演奏団はどのような舞台を披露するだろうか?

 南北は今月15日、北朝鮮芸術団の派遣に向けた実務接触を通じて三池淵(サムジヨン)管弦楽団約140人で構成された北朝鮮芸術団が、ソウルと江原道江陵で公演することで合意した。芸術団の規模では歴代最大で、2000年8月の南北交響楽団の合同公演当時、朝鮮国立交響楽団132人が訪韓した時よりも多い。ソウルではなく地方で公演するのも今回が初めてだ。このため、2002年8月にソウルで開かれた南北交響楽団公演以来、初めて韓国を訪れる北朝鮮芸術団がどのような公演を行うかに関心が集まっている。

北朝鮮の万寿台芸術団の三池淵楽団が2015年2月19日、旧正月を迎え、平壌人民文化宮殿で公演を行っている/聯合ニュース

三池淵管弦楽団とは?

 三池淵管弦楽団に関する情報はこれまで公開されていない。今回の実務接触で、南側代表団として参加したチョン・チヨン・コリアンシンフォニーオーケストラ芸術監督は「三池淵管弦楽団は私たちが思い浮かべるような普通の交響楽団ではない。オーケストラ規模は80人で、歌と踊りが加わって140人」と話した。

 これまで北朝鮮メディアの報道でも、三池淵管弦楽団は登場したことがない。2009年1月に創設されたとされる「三池淵楽団」が最も類似しているが、同一オーケストラなのかは確認されなかった。既存の三池淵楽団は、万寿台(マンスデ)芸術団所属の男女混成のポップスオーケストラとして知られている。平昌冬季五輪を機に、三池淵楽団の組織を再編したか、他の芸術団所属の団員を臨時に糾合して構成した可能性もある。これまで南北合同音楽会を数回推進してきた文化企画者イ・チョルジュ氏は「既存の三池淵楽団とは編成が異なるため、他の芸術団で派遣・補強された芸術団になると思われる」とし、「国家の必要に応じて、プロジェクト芸術団が急に結成されるのは、それほど珍しいことではない」と話した。

北朝鮮が今月15日、平昌冬季五輪の期間中に「三池淵管弦楽団」の派遣を決めたことによって、同楽団に関心が集まっている。写真は2016年11月17日文化会館で、北朝鮮の母の日を迎え、公演をしている三池淵楽団/聯合ニュース

最大規模の芸術団、どんな公演を披露するか

 北朝鮮芸術団は民謡と世界名曲などで構成された公演を披露する予定だ。南側首席代表であるイ・ウソン文化体育観光部文化芸術政策室長は「統一の雰囲気に合い、南北でよく知られている民謡や世界名曲などで公演を構成すると北朝鮮が説明した」とし、「私たちも純粋芸術的な民謡や歌曲、古典音楽などが望ましいという立場を表明した」と伝えた。

 北朝鮮が以前韓国で公演した曲から、今回演奏する曲目を推測することもできる。1990年、ソウル芸術の殿堂や国立中央劇場などで行われた「送年統一伝統音楽会」で、北朝鮮芸術団員たちは「山川歌」や「永川(ヨンチョン)アリラン」などを演奏した。南北芸術団が手を取り合って「われらの願い」を合唱したこともあった。

分断後初めて2000年8月2日、ソウル芸術の殿堂コンサートホールでの朝鮮国立交響楽団とKBS交響楽団との初の合同音楽会が開かれた。南北歌手としてのチョ・スミ氏とリ・ヨンウク氏が公演に先立ち、リハーサルをしている/聯合ニュース

 2000年8月、ソウル汝矣島(ヨイド)のKBSホールで開かれた北朝鮮の朝鮮国立交響楽団の初の単独公演では、チャイコフスキーの「交響曲第4番4楽章」などクラシックと、北朝鮮が独自に作曲した管弦楽「青山里に豊年が来たよ」や「故郷の我が家」などが演奏された。合同公演では南と北を代表する歌手のチョ・スミ氏とリ・ヨンウク氏がヴェルディのオペラ「椿姫」の「乾杯の歌」を共に歌い、KBS交響楽団と北側の団員たちが一緒に「アリラン」を演奏した。

 普段、北朝鮮の楽団がよく演奏する「百万本のバラ」ようなロシア民謡や、最近、三池淵楽団が新年祝賀公演で「ライオンキング」や「ミッキーマウス」など、アニメーションの主題歌をメドレーにした「世界漫画映画メドレー」を演奏する可能性もある。

北朝鮮の朝鮮中央テレビが2017年1月3日に放送した万寿台芸術団三池淵楽団の新年の公演の姿。ディズニーアニメ映像に合わせて演奏をしている/聯合ニュース

南北合同公演は可能だろうか

 2000年と2002年、北朝鮮の朝鮮国立交響楽団と共演したKBS交響楽団のイ・チャンヒョン団員(現在首席コントラバス奏者)は「当時、北側の演奏者たちの演奏はそれほど洗練されたものではなかったが、楽譜を全部暗譜して演奏する姿が印象的だった」と伝えた。イ団員は「北朝鮮の演奏者たちは、練習を『戦闘』と表現し、暗譜できないのは戦闘力が足りないためとして、暗譜できなければ思想を疑ってみるべきと言ったこともあった」と当時を振り返った。

 北朝鮮が電力難に苦しんでいるためか、北朝鮮の朝鮮国立交響楽団は当時、ソウルの公演場が明るすぎるとし、照明の明るさを下げてほしいと要請したりもした。反対に、KBS交響楽団が平壌(ピョンヤン)で演奏する際には、公演場が暗すぎて楽譜がよく見えなかったという。イ団員は「北朝鮮の団員と兄弟と呼び合い、仲良く過ごした」とし、「南北合同演奏などの民間レベルの南北芸術交流が続くことをを望む」と話した。

 しかし、期待を集めた南北合同公演が実現する見通しはまだ不透明だ。イ・ウソン室長は「今回の催しは韓国政府の招請を受けて、北朝鮮が大韓民国を訪問して進める一種の平昌冬季五輪・パラリンピックの祝賀公演の性格」だとしたうえで、「今日の会談で合同公演については話し合わなかった」と明らかにした。

キム・ミヨン、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/828010.html?_fr=dable韓国語原文入力:2018-01-16 22:05
訳H.J

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