教育部が高校韓国史教科書8種に対する修正命令を下し、過去の独裁体制を批判的に叙述した内容を肯定的に直すよう指示した。 教学社版教科書の歴史歪曲に続き、政府までが乗り出して‘独裁美化’教科書を作ろうとしているのではないかとの批判が出ている。
教育部は高校韓国史教科書8種の検定審議以後、先月21日に追加で修正・補完勧告した内容829件の受け入れ可否を審議した結果、修正が生ぬるいと判断された41件を再修正せよと出版社に命令したと29日明らかにした。
修正命令の内容を見れば、教育部は未来N出版社版教科書に登場する小タイトルの中で‘机をポンと叩くと、ウッと言って死んだとは!’‘血で汚された5・18民主化運動’ ‘窮地に追い込まれた全斗煥政府’(322~337ページ)等が教科書用語として不適切だとし、他の表現に変えるよう命令した。 ‘机をポンと叩くと、ウッと言って死んだ’という表現は、1987年1月ソウル大生パク・ジョンチョル氏が治安本部南営洞(ナミョンドン)対共分室で水拷問にあって亡くなった後、警察が死因を隠蔽するために偽りで発表した内容だ。 この事件は同年6月の民主抗争の導火線となった。
シム・ウンソク教育部教育政策室長は 「‘ポンと叩くと、ウッと言って死ぬとは’等は新聞にも出た話だが、生徒たちにとって否定的なタイトルよりは肯定的な認識を持つよう小タイトルを変えるよう修正命令した」と話した。
これに対してイ・ソンホ全国歴史教師会会長は 「‘机をポンと叩くと、ウッと言って死んだとは!’という表現が出てくることになった状況を起こした国家権力に対して、否定的な印象を持つのは当然のことなのに、否定的な印象を持たせないように除けということは、独裁を称賛しろと言うのか、まったく理解できない」と批判した。
教育部はまた、金星出版社版教科書が朴正熙政府時の経済開発政策の特徴を叙述した部分のうち "外資導入を通じた経済開発と輸出主導型成長政策もやはり成果が大きかっただけに弊害も多かった。…1997年末に外国為替危機が起きる一つの原因になった" という部分に対して、因果関係が不足しているとし外国為替危機と関連した解釈を削除しろと命令した。 ある教科書執筆者は 「色々な原因中の一つということだが、それ自体を消せということは多様な学説を紹介する次元でふさわしくない」と指摘した。
教科書の著者たちは修正命令の内容と手続きの問題を提起し、受け入れない方針なので波紋が拡大する兆しを見せている。 当初、親日・独裁偏向的叙述で教科書論難を呼び起こした教学社と、今回修正命令事項がないリベル出版社を除く残り6種の教科書の執筆陣は教育部の修正命令を拒否することにした。
未来N出版社版の著者であるハン・チョルホ東国(トングク)大教授(歴史教育学)は 「修正命令を取り消せとの仮処分申請を出す計画だ。 執筆者どうし全員と協議した。 修正命令は絶対に受け入れられない」と話した。
教育部は修正命令を受け入れない教科書は発行を停止させると明らかにした。
チョン・チョンフィ、ウム・ソンウォン記者 symbio@hani.co.kr