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【社説】非常戒厳時に密談した「尹前大統領の友人」を憲法裁判官に指名するとは

登録:2025-04-09 08:15 修正:2025-04-09 08:55
ハン・ドクス大統領権限代行首相が8日、政府ソウル庁舎で開かれた国務会議で発言している/聯合ニュース

 ハン・ドクス大統領権限代行が8日、イ・ワンギュ法制処長ら2人を、大統領が任命権を持つ憲法裁判官候補者に指名した。重大な違憲行為であり、明白な越権行為だ。大統領が任命権を持つ憲法裁判官候補者は、文字どおり国民によって選出された大統領が指名し、国会人事聴聞会を経て任命する裁判官を意味する。臨時に権限を代行するだけの大統領権限代行が指名する対象にはなりえない。しかも、イ・ワンギュ法制処長は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の大学の同窓生であり、長年の側近であるだけでなく、12・3内乱事態の翌日に疑惑の「三清洞(サムチョンドン)の安全家屋(隠れ家。秘密維持のために使用する一般家屋)会合」に参加したことなど、内乱罪への関連容疑で告発された捜査対象だ。憲政を蹂躪(じゅうりん)した12・3内乱事態への関与の疑いを持たれている対象者が、どうして憲法裁判官になれるのか。

 ハン代行の今回の憲法裁判官指名は、形式的、内容的ともに問題だ。憲法裁判官は、大統領、国会、最高裁長官がそれぞれ3人ずつ指名する。18日に退任するムン・ヒョンベ憲法裁判所長権限代行とイ・ミソン裁判官は、大統領による任命だ。ハン代行は一時的に大統領権限を代行するだけであり、国民が選んだ大統領ではない。ファン・ギョアン元首相も同様の理由で、権限代行の時期に大統領の任命権による指名はせず、最高裁長官が指名した候補者だけを任命したことがある。国会が指名したマ・ウンヒョク候補者については、「権限代行は、大統領の重大な固有権限の行使は自制しなければならない」として任命を拒否し、憲法裁判所の違憲決定さえ無視しておきながら、今になって大統領の任命権分まで指名するとは、つじつまが合わない。わずか2カ月後には新大統領が選出される。ハン代行の今回の憲法裁判官指名は、新大統領の権限を深刻に侵害するものだ。

 しかも、ハン代行が指名した憲法裁判官は、罷免された尹錫悦前大統領の「46年来の友人」であり、内乱共謀の疑いを持たれているイ・ワンギュ法制処長だ。尹錫悦検察総長の懲戒処分取り消し訴訟や、尹前大統領夫人の母親のチェ・ウンスン氏事件の弁護を引き受けたりもした。法制処長でありながらも「尹錫悦の法理的な盾」の役割を終始一貫した。さらに、12・3戒厳の翌日、三清洞(サムチョンドン)の安全家屋での秘密会合に参加した法曹界出身の親尹錫悦派の側近「4人衆」の1人だ。このような人物が憲法裁判官になるというのは、憲法裁判所に対する冒とくだ。こんな「居座り指名」はありえない。尹前大統領の意中に添った決定ではないかと疑われる。ハン代行は口にできない弱みでも握られているのか。罷免された前大統領の最側近を憲法裁判官に指名するとは、どの国民がこれに納得するのか。

 ハン代行はただちに指名を撤回しやり直してほしい。深く謝罪しないのであれば、国民の審判がハン代行に向かわざるをえない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1191395.html韓国語原文入力:2025-04-08 18:37
訳M.S

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