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[独自]発達障害を持つ人の取り調べの際、「活動補助人の同席」を妨げた韓国警察

登録:2024-02-29 09:00 修正:2024-02-29 09:50
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 警察は昨年、発達障害を持つ人を取り調べる際、「信頼関係人を同席させることができる」ことを告知するなど、取り調べ過程全般を改善することを表明したが、現場ではそれがきちんと守られていないことが明らかになった。最近、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された発達障害を持つ人が、「取り調べの際に信頼関係人の助け」を要請したものの断られ、国家人権委員会(人権委)に陳情をおこなってもいる。障害者関連法は、信頼関係人の同席要請を捜査機関が拒否することはできないと規定しているが、警察はこの規定自体もきちんと認知していなかった。

 28日の警察と陳情者側の説明を総合すると、昨年9月27日、全国障害者差別撤廃連帯(全障連)の集会が行われたソウル駅の待合室の近くで、集会とは関係なしに写真を撮っていた発達障害(1級)を持つL氏(37)が、警察官に唾を吐いた疑い(公務執行妨害)で現行犯逮捕された。

 L氏はソウル駅派出所に連行された。「現行犯人逮捕の理由書」を作成するための警察による取り調べが始まった。L氏の活動補助人が「調査に同席する」と要請したものの、警察に拒否された。記録によると、L氏は一人で調査を受け、「集会日程をカカオトークで伝えられるなど、計画的に集会に参加し、公務執行妨害も故意に犯した」という趣旨の供述をおこなった。これは検察の起訴状にもそのまま記されている。L氏の国選弁護人であるソン・ヨンヒョン弁護士は、「カカオトークの会話内容などを確認してみたが、集会日程は伝えられていない。すべて虚偽」だとして、客観的な情況と矛盾する内容がL氏の供述として起訴状に記されていると説明した。

 警察は信頼関係人の同席の可否について、「警察署」では可能だが、「派出所」では警察の裁量だとの立場だ。刑事訴訟法(244条の5)は「被疑者を尋問する際、信頼関係人の同席を認めることができる」と規定しているが、「派出所」での初動調査は被疑者尋問ではない、との論理だ。ソウル南大門(ナムデムン)警察署の刑事課長は、「刑事訴訟法(244条の5)に則り、警察署で行われた被疑者尋問の際には信頼関係人が同席した。逮捕後、地区隊などで報告書を作成する際に同席させなければならないという内容はない」と述べた。警察庁も「(地区隊や派出所などの)現場での活動補助人の同席要請の受諾は義務ではない」と語った。警察庁は昨年、人権委の勧告を受け入れ、発達障害を持つ人を取り調べる際には信頼関係人の同席が可能であることの告知などを義務付けるなどのマニュアルも作成しているが、マニュアル上、「取り調べ」を「被疑者尋問」などに限るなど、狭く解釈しているのだ。

 しかしこれは、障害者助力制度を規定した現行法と矛盾する解釈だ。発達障害者法、障害者差別禁止法などは、捜査機関の取り調べ全般にわたって、信頼関係人の同席要請には捜査機関は必ず応じなければならないと規定している。警察庁で捜査時の人権を担当する関係者は「特別法の規定も考慮して発達障害を持つ人などに対する司法支援を拡大しているところだが、現場に浸透するまでには時間がかかりうる」と述べ、徹底されていないことを事実上認めた。

 L氏側は今月初め、人権侵害行為だとして調査を要請する陳情をおこなった。多くの障害者弁護の経験を持つチェ・ジョンギュ弁護士は、「警察が被疑者に質問することそのものが尋問だ。派出所で行う取り調べには適用されないという解釈は、刑事訴訟法をあまりにも狭く解釈するものだ」と批判した。

ユン・ヨンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1130317.html韓国語原文入力:2024-02-29 07:00
訳D.K

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