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「死にたくならないように…」発達障害児の親500人、支援システム求め剃髪=韓国

登録:2022-04-20 03:10 修正:2022-04-20 09:10
障害者父母連帯「発達障害者24時間支援システム」求め 
障害者家族、当事者、連帯市民ら555人が剃髪 
「子どもより1日だけ長く生きたい」親たち「国政課題」要請
全国障害者父母連帯の会員ら555人が発達障害者に対する24時間支援システムの構築を求め、19日午後、ソウル鍾路区の孝子治安センター近くで剃髪式および決意大会を行った。壇上で剃髪する参加者が涙を流している=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 「お母さんは息子のためならできないことはないから、頭を剃るくらいならいくらでもできるよ。命も差し出す覚悟だし、それくらいは…」(全国障害者父母連帯江南支会のファン・スクヒョン事務局長)

 19日午後2時ごろ、ソウル鍾路区孝子洞(チョンノグ・ヒョジャドン)の孝子治安センター前。さわやかな春風が吹くと、切られた髪の毛が飛ばされ、そして落ちた。この日午後2時ごろから1時間のあいだに、470人あまりの髪が風に舞った。剃髪式が行われている間、全国障害者父母連帯江東支会のイ・ヨンウン事務局長らが書いた文章を、参加者が順番に朗読した。「発達障害者も平凡な生活ができるという選択肢を増やしてほしいということです。私は家族にばかり転嫁されている責任を国とともに分かち合おうということを意味する『発達障害者24時間支援システム構築』要求に同意します」

 全国障害者父母連帯は同日午後1時ごろから「発達障害者24時間支援システム構築を求める1泊2日決意大会」を開催し、集団剃髪を行った。この日、全国各地から集まった発達障害者の家族と当事者、連帯者ら555人が現場やズームなどで剃髪に参加した。

 父母連帯は「発達障害者に対する支援サービスおよび政策の不足によって、親が発達障害の子どもを殺害したり、自ら命を絶ったりする悲劇的な事件が毎年数度繰り返されている」とし「しかし尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領の公約では『発達遅延・障害乳幼児のための国家の早期介入』の他には『発達障害者1日最大24時間支援システム構築』のための方策が見出せない」と決意大会を開催した背景を語った。

 全国障害者父母連帯のユン・ジョンスル会長は、「親、兄弟がいない世の中でも生きられるようにしてほしいというのは無理な要求なのか。これ以上発達障害者の家族、重度障害者の家族にこのような痛みが引き継がれないよう、国政課題に必ず言及してほしい」と述べた。父母連帯は2018年4月にも、発達障害者国家責任制を要求し、209人が集団剃髪を行っている。その後、同じ年の9月に文在寅政権は発達障害者生涯ケア総合対策を発表しているが、障害者関連団体は実効性が低いと指摘する。発達障害者が有意義に昼間の時間を過ごせるようにする昼間活動サービスが導入されたものの、利用対象も限定的なだけでなくサービス利用時間も短いうえ、このサービスを利用すれば活動支援サービスの時間が削減されるからだ。父母連帯は発達障害者24時間支援システムの構築に向けて、発達障害者活動支援サービスの拡大▽発達障害者に対する所得、労働、住居、教育、健康権の保障などを求めた。保健福祉部の統計によると、登録障害者のうち発達障害者(知的、自閉症など)の数は2021年現在で25万5207人。発達障害者の割合は2011年の7.3%から昨年は9.6%に上昇している。昨年現在で満19歳未満の未成年の発達障害者は、発達障害者全体の22.84%(5万8303人)を占める。

全国障害者父母連帯の会員ら555人が、発達障害者に対する24時間支援システムの構築を求め、剃髪式および決意大会を19日午後、ソウル鍾路区の孝子治安センター近くで開催し、スローガンを叫んでいる=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 決意大会に参加した全国障害者差別撤廃連帯のパク・キョンソク常任共同代表は、国民の力のイ・ジュンソク代表を念頭に、「ある人が私たちに対して非文明的な闘争をしていると言った。しかしその人の話によると、大韓民国は非文明的な社会だと思う」と述べた。パク代表は「大韓民国憲法は自由と平等をうたっているが、私たちにどんな自由と平等があったのか」とし「地域社会において移動し、教育を受け、働く機会を持ち、監獄のような居住施設ではなく地域社会で関係を結ぶために、24時間支援システムを語っているのだ」と述べた。

 この日の決意大会には共に民主党のハン・ビョンド議員がズームで、国民の力のキム・イェジ議員と正義党のチャン・ヘヨン議員が現場で参加した。チャン議員も剃髪を行った。同氏は「発達障害者が24時間ともに暮らせる支援システムを作ることが、国会議員となった私の最も重要な使命だと考えて2年が経ったのに、みなさんが再びこの場に立たなければならないほど政治をきちんと行えていなくて申し訳ないという意味」と説明した。さらにチャン議員は、「それと抗議の意味だ。同僚議員たちに、私たちが今なすべきことを思い起こさせたいということで剃髪する。覚悟の意味もある」と語った。

 父母連帯は剃髪式後、景福宮(キョンボックン)駅を経て政権引き継ぎ委員会のある通義洞(トンウィドン)の前までデモ行進した。20日には障害者の親たちが参加してハンガーストライキの座り込みを行う予定だ。

ソ・ヘミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1039557.html?_fr=mt2韓国語原文入力:2022-04-19 17:12
訳D.K

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