日本政府が10日後に迫った韓米日首脳会議を福島第一原発汚染水の海洋放出の正当性を強化する場として活用しようとする動きを見せており、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の外交力が再び試されるものとみられる。韓米日の連携と堅固な対北朝鮮協力態勢を浮き彫りにしようとした韓国政府の外交的目標とは異なり、開始間近の福島原発汚染水の放出問題が議題に上がれば、尹大統領の対処方向によっては国内世論が沸騰する可能性もある。
大統領室と首相室、外交部は8日、日本政府が18日(現地時間)に米メリーランド州キャンプデービッドで開かれる韓米日首脳会談の共同声明に汚染水の放出への支持を表明する内容を盛り込むことを求めたが、韓国政府が難色を示したという「朝鮮日報」の報道に強く反論した。大統領室の主要関係者は記者団に「韓米日首脳会談に関しては趣旨に合う議題を調整するため、3カ国の担当者が一生懸命努力している」として、同紙の報道が誤報だと一蹴した。外交部も「事実無根」だと反論した。
しかし日本メディアは、岸田文雄首相が今回の韓米日首脳会談を機に汚染水の放出に対する韓米首脳の理解を求め、放出開始の時期を今月末頃に確定すると見通した。読売新聞は7日付けで、「岸田首相は18日に米国で行われる日米韓首脳会談に出席し、20日に帰国後、西村経済産業相らが参加する関係閣僚会議を開き、具体的な放出時期を最終決定する見通し」だと報じており、共同通信やNHKなどは8月末と9月初めの間の放出開始が検討されているとして、具体的なスケジュールにも言及した。日本政府が今回の会談を機に韓米から「放出容認」の意思表明を引き出そうとする可能性が高いとみられているのもそのためだ。
尹大統領と米国のジョー・バイデン大統領、日本の岸田首相は、今回の3カ国会談を機に2国間会談も予定しているが、韓日、米日会談で岸田首相が汚染水放出問題に触れる可能性も少なくない。就任以来、韓日関係の改善と韓米日の連携を強調してきた尹大統領は先月12日、リトアニアのビリニュスで開かれた韓日首脳会談後、福島原発汚染水の海洋放出問題と関連し、日本側の放出計画を事実上認める立場を示した。
尹大統領が韓米日首脳会談で日本の汚染水放出を容認する「手助け役」として利用されかねないという懸念の声が上がっているのもこのためだ。慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「バイデン米大統領は再選レースに本格突入した後、韓米日協力を通じた中国けん制を強調しており、岸田首相は汚染水放出の懸案を取り上げ、友好的な世論作りを目指している」とし、「韓米日の密着に向けた外交活動を前面に押し出してきた尹大統領は双方の意見を受け入れ、3カ国の連携を誇示しようとするだろう」と予想した。
汚染水放出問題は、来年の総選挙を準備する政府と与党にとっては不安材料になるものとみられる。明知大学のシン・ユル教授(政治外交学)は、「汚染水の放出が始まれば、一時的に世論が動揺するのは避けられない」とし、「会談で関連議題が話し合われた場合、尹大統領はその後、国内で国民の不安の解消に乗り出す一方、『汚染水の放出は日本の主権事案』という点を強調するだろう」と語った。