「原発汚染水の海洋放出が行われるようですが、子どもたちの給食は大丈夫でしょうか」、「水産物や塩が心配ですが、対策はありますか」
ソウルのある中学校で働く栄養士のKさん(37)は14日朝、給食のモニタリングに来た保護者からこのような質問を受けた。Kさんは18日、ハンギョレに「福島原発汚染水の海洋放出で、給食の食材に関する保護者の心配がますます高まりそうだが、これといった対策がなく、頭を悩ませている」と語った。
福島原発汚染水の海洋放出を控え、韓国の市民の食に対する不安が高まり、保護者の間では給食の食材に対する懸念の声もあがっている。塩や海苔など水産物の買いだめ現象で食材の値段が急騰しており、学校給食を担当する栄養士たちの悩みも深まっている。
Kさんは「現在、政府は放射能検査を経て基準値以下であることを毎回確認すると言っているが、検査数値が確実なのか、子どもたちの健康にどのような影響を及ぼすのか信頼できない状況」だとし、「これといった対策がない中、保護者たちの懸念にどのように対応すれば良いのか分からない状況だ。最近買いだめの影響で塩、海苔の値段が上がっており、給食の単価に合わせて食材を手に入れるのが難しくなりそうだ」と話した。
ソウルのある初等学校の栄養士のAさんも「今、他の学校の栄養士たちと関連資料とニュースをモニタリングしながら様々な悩みについて話し合っている。12年前、福島原発事故が起きたばかりの頃は、水産物を給食メニューから外したこともあった。ウクライナ戦争ですでに食材の値段が大幅に上がったが、今のような買いだめが続けば給食の品質に影響を及ぼしかねない」と語った。
学校現場で日本政府の汚染水放出により水産物に対する不安が高まったことを受け、ソウル市管内の小中高等学校に食材を供給するソウル市エコ流通センターは14日、「日本産水産物は納品しない」という公文書を所轄の学校に送った。ソウル市エコ流通センターの関係者は「すでに2020年から日本産水産物は学校に供給していない。しかし最近、保護者の懸念が高まり、『日本の水産物は最初から遮断しており、これから食材放射能検査も強化する』という計画などを知らせた」と話した。
各教育庁も学校に納品される食材に対する放射能調査を拡大すると発表した。ソウル市教育庁は17日、一部の学校を対象に実施していたサンプリング方式の食材放射能調査をすべての学校の食材に拡大することにした。全羅南道教育庁も5日「水産物に対する放射能検査の強化計画」に基づき、年4回実施してきた水産物に対する放射能検査を年10回に増やすと発表した。
しかし、食に対する保護者の不安はなかなか収まらない。2歳半の子どもを国公立の保育園に通わせているというイ・ジョンミンさん(34)は、「日本に住む知人から『日本人も済州(チェジュ)や釜山(プサン)に観光に行くと、魚は避けて肉だけを食べる』という話を聞いた。現在、保護者の間では『韓国産も信頼できない』という不安が大きく広がっている」とし、「放射能汚染による影響はすぐ現れるものではない。長い間体に蓄積して問題が現れる可能性もあるのに、政府は『安心せよ』という言葉を繰り返すだけ。具体的かつ明確な根拠を示してほしい」と述べた。