クォン・ソンヨン大統領室教育秘書官が、親日附逆と独裁を美化したという批判を受けて廃棄された朴槿恵(パク・クネ)政権の歴史国定教科書の推進過程で「世論操作」など実務を主導していたことが明らかになった。尹大統領が当選後、国定教科書推進の主役であるイ・ベヨン元韓国学中央研究院院長を特別顧問に任命したのに続き、国定教科書関連者を再び登用したことをめぐって、歴史学界と歴史教育界の懸念が高まっている。
17日、共に民主党のカン・ドゥック議員が確保した教育部の「歴史教科書国定化関連調査結果報告書」と「歴史教科書国定化の真相調査白書」によると、クォン秘書官は2014年1月~12月、教育部歴史教育支援チーム長として働きながら、歴史教科書国定化のための実行計画と核心論理を開発し、国定化への賛成世論を造成・操作する役割を果たした。具体的にクォン秘書官は、2014年8月30日に開かれたテレビ討論会に国定化を支持する討論者として出演したカン・ウンヒ当時セヌリ党議員に、討論資料を自ら提供した。同年9月2日と9月14日、国定化を支持する教授の寄稿文が文化日報と朝鮮日報に掲載されるよう計画し、実際に寄稿文が掲載された。クォン秘書官は、教育部の真相調査委員会の調査過程で「彼ら(教授たち)と事前に話し合った事実がある」と認めた。本紙は同日、クォン秘書官に電話と携帯メールを通じて数回連絡を試みたが、クォン秘書官はこれに応じなかった。
特にクォン秘書官は、2014年9月25日に開かれた第2回韓国史教科書発行体制改善討論会で、国定化への賛成意見が多数になるよう、賛成する人物を中心にパネルを構成した。また、企画室を通じた公募手続きを踏まず、教育部政策課題(用役費3000万ウォン)を保守系団体に随意契約で与えたこともあった。真相調査委はこのような世論操作や政策課題の不当支援が刑法上職権乱用にあたるとともに、国家公務員法の誠実義務、親切・公正の義務、品位維持の義務に反するとして、クォン秘書官に警告措置を与えるべきという意見を示したが、懲戒時効3年が過ぎていたため、処罰は行われなかった。
全国歴史教師会のパク・レフン会長はこの日、本紙との電話インタビューで、「イ・ベヨン元院長に続き、国定化問題に責任ある人を相次いで任命するのをみると、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権には歴史教育の方向性が欠落しているのではないかと思う」とし、「クォン秘書官が明確な教育哲学を持って働くよりも、(国定化当時のように)『魂のない公務員』として政権の顔色を見て動くのではないかと懸念される」と話した。民族問題研究所は13日、声明を発表し、「教科書国定化を主導的に計画して実行したことですでに歴史的審判を受けた人物に、国家の教育政策を再び任せるわけにはいかない」としたうえで、この日から20日まで龍山(ヨンサン)の大統領執務室の向かい側で、クォン秘書官任命撤回を求める1人デモを行う予定だ。クォン秘書官をめぐる議論と関連し、キム・デギ大統領室秘書室長は同日、国会運営委全体会議に出席し、「(クォン秘書官が)そこまで(世論)操作を行い、主導したという主張には同意しかねる」と述べ、疑惑を否定した。