朴槿恵(パク・クネ)政府が、歴史教科書国定化の反対世論を鎮めるために全国教職員労働組合(全教組)などの教員団体を積極的に抑圧し、賛成する市民団体を積極的に活用していたことがわかった。31日、ハンギョレが確保した2015年10月26日教育部の党・政府・大統領官邸会議資料「正しい歴史教科書の推進状況および今後の対策」報告書によれば、教育部は当時、国定化反対運動に積極的だった全教組と「全国歴史教師の会」の動向を大統領府とセヌリ党に詳細に報告していた。教育部は、全国歴史教師の会に対して「歴史の授業および各種著述活動により“全教組歴史観”を教師・生徒に注入」しているとし、これに対する「対応策」として「全教組歴史教育活動内容の問題点を提起し、正しい歴史教育の正当性に対する世論を喚起」しようと提案した。
そのために教育部は、マスコミ、セヌリ党、保守団体にそれぞれの対応を注文した。教育部はまず、マスコミがすべき仕事として「企画記事方式で親北朝鮮・左偏向内容で構成された教育資料の問題点について詳細に報道」することを挙げた。セヌリ党がすべき仕事としては、「各種広報物、主要議員のメッセージなどを通して、全教組教師の歴史教育資料の偏向性を集中提起」しようと明らかにした。また、市民団体に対しては「SNSなどを通して(教科書)内容の偏向の深刻性についての問題提起および対応活動を展開」する広報をしようと指摘した。
国定化に賛成する世論集めに反対する団体に対する動向把握は具体的になされた。教育部は、報告書で「韓国史教科書国定化阻止ネットワークの主導で集会・記者会見など反対世論が広がっている」として「全教組はネットワーク内の主導団体として、10月23日の教師大会開催および時局宣言・年次休暇闘争を推進している」と指摘した。
その結果は全教組に対する政府の緻密な対応につながった。教育部は報告書で「全教組教師の反対活動への対応」項目を別に作り、対応策を議論した。教育部は「10月26日の副教育長会議を活用して、教員に対する指導・監督および生徒教育の徹底を要請」し「教師らの時局宣言および不法集会など“教育の中立性”の毀損に対する厳正措置」をしようと主張した。
その一方で教育部は、保守市民団体を通じて国定化支持活動を広めようとした。教育部は「市民団体父母連合、警友会、枯れ葉剤戦友会、韓国自由総連盟などの保守市民団体を中心に支持活動を拡散」することや、「主に左派の集会場所近隣で正面対抗性格の集会や記者会見を開催」することを党・政・大統領府会議に報告した。さらに、100余りの保守指向市民団体が「良い教科書作り市民連帯」を10月23日に発足させ活動を開始するという内容も報告した。
この他にも、大統領府・セヌリ党・教育部は、党・政・大統領府会議を通じて与党のセヌリ党最高委員の役割とセヌリ党付設汝矣島(ヨイド)研究所の役割も提案した。党・政・大統領府会議では、セヌリ党に「10月26日党最高委員会開催時、最高委員5人を通じて現行歴史教育の問題点と改善の必要性を伝達し、野党の反発に対応」することや、「各種支持団体の行事において、党最高委員の参加を通じて行事の趣旨がマスコミに報道されるよう推進」せよと提案した。また、汝矣島研究所に対しては「偏向授業の弊害を診断する質問項目を構成し、友好的な世論調査結果を導き出し、マスコミ報道および各種セミナーを通じて結果を拡散」するよう注文した。