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韓国で新規感染者34万人、早く到来したピーク…「ステルス」検出率も20%台

登録:2022-03-10 04:42 修正:2022-03-10 07:47
12~15日に26万~35万人のピークを迎えるという見通しよりも3日以上早く 
「2週間ピーク区間」…選挙や感染力高いステルスオミクロンなども影響
新型コロナウイルス感染症の新規感染者が34万人を超え、過去最多を記録した今月9日午前、選別診療所が設けられたソウル松坡区保健所(上の写真)から近くの地下道まで、検査を待つ人たちが長蛇の列を作っている=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国で9日、一日に34万人の新規感染者が確認され、防疫当局が予測した新型コロナウイルス感染症の流行のピークに近づいている。韓国政府の予測より速いペースだが、専門家らは今月中に減少に転じるとみている。ただし、選挙やオミクロン株の亜種「BA.2」(ステルスオミクロン)などがピークの時期と規模に一部影響を及ぼす可能性もあるとの分析もある。

 中央防疫対策本部は、同日0時現在、新型コロナの新規感染者は34万2446人と発表した。一日の新規感染者が30万人を超えたのは初めて。国内外の研究陣は先月23日、同日(3月9日)に1日に23万人以上、12~15日に26万5000~35万4000人が発生すると見通したが、これより速いペースで進んでいる。防疫当局は、ピークの時期に最大35万人の新規感染者が発生すると予想したが、このピークには事実上到達したわけだ。

 これを踏まえ、流行の「ピーク区間」に突入し、今後2週間は増加の勢いが衰えた状態で、ピーク規模の新規感染者が発生すると予想する専門家もいる。嘉泉大医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学科)は、「この日から2週間にわたりピークアウトするとみられるが、曜日基準では新規感染者の規模がさらに大きくなる可能性もある。1週間の平均値を見るべきだ」としたうえで、「増加の勢いが衰えた状態で、2週間ほど(ピークが)続くだろう」と見込んだ。チョン教授は「(2週間が過ぎれば)一日の新規感染者がこれ以上増加せず、次第に減少することも期待できる。いくつかの予測モデルの大半が3月中旬にピークに達してから、高原のようにそれが維持され、2週間が経てば徐々に下がるとみている」と指摘した。ただし、正確な予測は難しい。高麗大学九老病院感染内科のキム・ウジュ教授は「3月中にピークは来るはずだが、現在出た34万人もこれまで検査ができず、遅れて出た結果である可能性があるため、新規感染者の規模がさらに拡大することも考えられる」とし、「新規感染者は実際発生する患者をどれほど(検査して集計に)反映するかによって違ってくる」と述べた。

 大統領選挙前後に多様な要因が存在するため、「ピーク」の予測には変動がある可能性もある。飲食店やカフェなどの営業時間を午後11時に延長した距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の緩和やBA.2なども、ピークに影響を及ぼす可能性があるからだ。キム教授は「政府が防疫政策を緩和し続けたことが影響した。距離措置も事実上95%以上解除され、警戒心も緩んでいる状態」だとし、「BA.2の検出率が2月第4週の10%から3月第1週に22.9%まで上がった点も、新規感染者数の増加が加速化している要因」だと述べた。デンマークでは、BA.2が従来のオミクロン株に比べ30%ほど感染力が高いと分析されている。

 大規模な移動が発生する選挙が、新規感染者の規模に影響を及ぼす可能性もある。対外経済政策研究院のチャン・ヨンウク副研究委員は「海外の事例からみると、選挙がない場合に比べ、選挙がある場合に新規感染者数の増加に影響があった」と述べた。チャン副研究委員は2020年のチェコ上院選挙の過程で有意義な新規感染者数の増加がみられたという研究結果を例に挙げた。フランスとイタリアでも選挙が感染規模をある程度拡大させたことが明らかになった。チャン副研究委員は「投票だけではなく、選挙遊説過程で起きる接触の影響もある」とし、「ただし、流行がピークに達した状況で(選挙が)新規感染者の急速な増加をもたらすほどの影響を及ぼすかどうかは定かではない」と述べた。

 一方、この日医療機関に入院中の重症患者は、前日の1007人より80人多い1087人で、2日連続で1000人台になった。重症患者が徐々に増え、今月末から来月上旬にかけて、医療体制がヤマ場を迎える可能性があると専門家らは見ている。ピーク区間で発生した患者の症状が悪化し、重病患者になるのにさらに3~4週間かかるためだ。チョン教授は「韓国のオミクロン株流行の最後の危機は重症患者が増える3月末から4月初めになると予想される。重症患者病床の使用率が80%ほどになると、地域間に不均衡や病床不足の状況が生じ、危険な状況になりかねない」と述べた。

パク・ジュニョン、イム・ジェヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1034171.html韓国語原文入力:2022-03-10 02:32
訳H.J

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