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韓国、コロナ感染者が累計500万人超え…10人に1人が感染

登録:2022-03-09 02:34 修正:2022-03-09 08:00
重症患者数は32日間で3.9倍 
重症患者用病床は同期間に4.2倍に 
現場では「90%以上埋まっている」と悲鳴も 
防疫当局「2500人までは対応可能」
8日午前、ソウル松坡区の臨時選別検査所で、コロナ検査を受けるために並ぶ市民の列が近くの地下道にまで伸びている/聯合ニュース

 今月9日、韓国国内の新型コロナウイルスの累計患者数が500万人を超えると予想される。累計感染者数が100万人を超えてからわずか1カ月あまりで、総人口の10人に1人がコロナに感染したことになる。1カ月の間に重症患者数も200人台から1000人台にまで増えている。政府は、重症患者は2500人までなら対応できるとしているが、第一線の医療現場はすでに「限界」を迎えている。コロナ病床運用の改善が必要だとの声があがっている。

増加幅は縮小したが…30万人超えの見通し

 中央防疫対策本部(防対本)の発表によると、8日午前0時現在で、一日の新規感染者数は20万2721人で、累計感染者数は486万9691人。このところの感染確認数の平均が20万人台であることを反映すると、9日午前0時現在の累計感染者数は500万人を超えると予想される。国内外の研究陣による先月23日時点の感染確認数予測では、3月9日に23万人以上、12~15日に26万5000~35万4000人とされていたが、4日にはすでに26万6847人の感染が確認されている。

 増加幅はやや縮小したものの、専門家は感染者数が30万人以上になると予想している。週間の一日平均感染者数は、1月第4週から毎週2倍ずつ増加していたが、3月第1週には対前週比で42%とやや増加が減速している。高麗大学医学部のチェ・ジェウク教授(予防医学科)は「感染者の増加は減速している。今月中に30万人程度でピークを迎えると思う。ステルスオミクロンがピーク時の感染者数を10~15%増やし、ピークも数日遅らせる可能性はある」と述べた。ステルスオミクロン(BA.2)はオミクロン株の下位系統で、感染力が従来のオミクロン株より30%ほど強いと推定される。先週のステルスオミクロンの検出率は22.9%。

 感染者が増えるにつれ、重症患者も増加している。8日午前0時現在の重症患者数は1007人。昨年末に1151人でピークに達し、2月4日には257人にまで減少していたものの、わずか32日で3.9倍となった。

 重症患者用病床はさらに急速に埋まりつつある。8日午前0時現在の全国の重症患者用病床の稼働率は59.6%で、全2751床のうち1640床が使用中。使用中の同病床は、2月4日(3日午後5時現在)の392床の4.2倍近くになっている。大規模病院が多いため病床そのものが多い首都圏の稼働率は55.7%だが、非首都圏は68.8%で70%に迫っている。光州(クァンジュ)と全羅南道は空き病床が各3床、世宗(セジョン)は4床、慶尚北道は9床と、一桁台の地域もある。

医療現場と防疫当局の病床に対する温度差が深刻

 政府は、現在の医療システムで2500人の重症患者への対応が可能だと強調する。中収本のソン・ヨンレ社会戦略班長は「医療現場にいらっしゃる方々と懇談会をしても(飽和状態になりそうだと)いう雰囲気はあまり感じていない」とし「一部に重症患者用病床が80%を超える地域が生じうるので、圏域ごとに割り当てるとか、準重症患者室の運用を効率化するというやり方で対応している」と述べた。

 しかし、第一線の医療現場の話は異なる。ソウルのある私立大学病院の看護師は「90%以上が埋まっている。ベッドや器具を用意したからといって、その患者が治療されるわけではない。加えて、ほとんどの病院が重症患者室の一部を閉鎖しているため、コロナ以外の重症患者は行くあてもないだろう」と述べた。

 特に、オミクロン株が優勢となった1月末以降は、疾病管理庁が集計した重症患者数と重患者用病床に入院している患者数の差が広がっているのが問題だ。疾病庁は、人工呼吸器やECMO(エクモ、体外式膜型人工肺)などの必要な、自己呼吸の困難な患者を重症患者と分類しているが、そのような患者は8日現在で1007人いる。しかし、重症患者用病床に入院中の人の数は1640人で、633人の差がある。後者には、感染後、コロナの症状は改善したものの、基礎疾患や別の疾患などを抱えているため重症患者用病床への入院が必要なケースも含まれているためだ。オミクロン株の拡散によってこうした患者は増えているが、政府が対応可能だとした2500人の中にはこのような患者が含まれていないため、専門家は「ピーク局面」で問題になると口をそろえる。カトリック大学医学部のペク・スニョン名誉教授(微生物学教室)は「今現在、一般国民は病室がないため入院できないと言っているのに、防疫当局はそんなことはないと言う。防疫当局の上の人間は現場を知らないということを意味する。十分にその可能性があると考えてプランBを準備すべきだ」と述べた。

 これについては、病床運用を改善すべきだという主張も出ている。人道主義実践医師協議会のイ・ボラ共同代表は「デルタの時と異なり、今は別の疾病のために健康が悪化した人が、手術のために検査したところコロナ感染が明らかになるケースの方が多いようだ。1週間が過ぎたら、患者の状態によっては一般の集中治療室に移して診療すべきだ。そうでないと現在の医療システムでは患者を看続けられない」と述べた。

イム・ジェヒ、パク・チュニョン、チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1034067.html韓国語原文入力:2022-03-08 17:58
訳D.K

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