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【社説】戒厳前当日に情報機関トップに連絡した韓国大統領夫人、内乱共謀で捜査すべき

登録:2025-02-15 09:56 修正:2025-02-15 16:00
大統領夫人のキム・ゴンヒ女史が昨年10月24日、ソウル市龍山の大統領室前の芝生広場で開かれたポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領の国賓訪問の公式歓迎式で国民儀礼を行っている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人のキム・ゴンヒ女史と国家情報院のチョ・テヨン院長が、12・3内乱事態の前日と当日に携帯電話でメッセージを交わしていた事実が明らかになった。公職者でもない大統領の配偶者が、情報機関のトップと連絡を取っていたという事実自体が驚くべきことだ。キム女史の内乱関与の可能性はもちろん、広範囲な国政介入の有無について、捜査を通じて明らかにしなければならない。

 チョ院長とキム女史が連絡を交わした事実は、13日に開かれた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾審判の第8回弁論での証人尋問の過程で公開された。国会代理人団が、証人として出廷したチョ院長に「2024年12月2日の非常戒厳の前日、大統領夫人から携帯メッセージを2通受け取った後、その日は返信できず、翌日(12月3日)に返信した。どのような内容だったのか覚えているか」と質問すると、チョ院長は「(メッセージの内容は)思い出せない」と答えながらも、連絡した事実自体は認めた。国会代理人団が「戒厳当日に大統領夫人と携帯メッセージをやりとりするとはもっとおかしいではないか。国家情報院長が大統領夫人となぜ携帯メッセージのやりとりをするのか」という問いには、「よくあることではなかった」と述べた。

 キム女史はこれまで、各種の国政介入疑惑にもかかわらず、12・3内乱事態については直接的な関与の疑惑は持たれていなかった。尹大統領も非常戒厳の閣僚会議で「(戒厳宣言計画は)妻でさえ知らない。妻はとても怒るだろう」と言及したと言われている。しかし、非常戒厳の直前に国家情報院長と連絡を交わした事実が確認されるとなると、戒厳の準備過程でのキム女史の「役割」について疑問を抱かざるを得ない。チョ院長は、昨年3月末~4月初めに尹大統領が「非常大権(大統領の権限)」に言及したソウル市三清洞(サムチョンドン)の大統領の安全家屋(秘密活動に使用する一般家屋)での集まりの参加者でもある。野党がキム女史の関与の可能性を強く疑う理由だ。

 チョ院長は、キム女史との連絡は「よくあることではなかった」と述べたが、少なくとも連絡を交わしたのはこの日が初めてではないことが推測される。また、キム女史がチョ院長だけに連絡したという保証もない。キム女史はこれまで、公認候補への介入をはじめ、国政全般に影響力を行使してきたという疑惑を持たれてきた。総選挙を控えた昨年1月には、与党「国民の力」のハン・ドンフン非常対策委員長(当時)に5回にわたりメッセンジャーアプリ「テレグラム」でメッセージを送った事実が明らかになっている。最大野党「共に民主党」のユン・ゴニョン議員は、キム女史が公職者だけに支給される盗聴・傍受防止機能付き電話を受け取っていたと暴露したことがある。

 尹大統領が非常戒厳を宣言した理由として「私的な家庭事情」に言及したという事実も、ソウル警察庁のキム・ボンシク前長官の証人尋問で公開された。内乱画策の過程でキム女史が実際に介入したのか、「民間人」に過ぎない大統領の配偶者が情報機関のトップに直接連絡した理由は何なのか。国政介入疑惑などの疑問は徹底した捜査で究明されなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1182564.html韓国語原文入力:2025-02-14 20:13
訳M.S

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