韓国で新型コロナウイルス感染症の新規感染者が連日7千人前後を記録するなど、感染拡大が続く中、新型コロナによる週間死亡者数と一日の重症者数がともに過去最多を記録した。病床が空くのを待っている患者も最大規模で、医療システムが十分に機能していないことを受け、韓国政府が11日から日常回復支援委員会の防疫・医療分科に防疫強化の案件について諮問するなど、早ければ今週半ばに「特別防疫対策」を発表する可能性があるとみられる。
中央防疫対策本部の集計によると、12日0時現在の一日の新型コロナによる死亡者は43人で、ここ一週間(12月5日~12月11日)で401人が死亡した。新型コロナの感染拡大が始まって以来、週間死亡者数としてば最大規模だ。10日には1日80人が死亡し、一日死亡者数も過去最多を記録した。
死亡者数はここのところ急激に増えている。一日平均死亡者が43人だった直前の週(11月27日~12月4日)に比べ、先週の一日平均死亡者は57人で、14人も増えた。1カ月前(週間一日平均死亡者16人)に比べて3倍以上多く、第3波当時よりも2倍以上多い。第3波がピークを迎えた今年1月第1週(1月4日~10日まで)の週間死亡者は163人、1日平均死亡者は23人だった。防疫当局は今月9日、「(新規感染者のうち60歳以上の)高齢者の割合が2~3カ月前までは20%だったが、現在は30%半ばまで上昇した」と理由を説明した。
感染拡大の勢いが衰えない中、病床も連日飽和状態であり、重症患者も急速に増えている。同日現在の重症患者は894人、1日以上病床が空くのを待っている患者も1739人で、過去最大規模だ。前日午後5時現在、全国の新型コロナ重症患者専門病床1276床のうち1031床が使われており、稼働率は80.8%。特に、首都圏内の重症患者病床の稼働率は86.5%に達する。同日の新規感染者は6689人で、7日から一日7千人前後の新規感染者が発生している。
韓国政府は今月6日から、首都圏と非首都圏の私的な集まりの人数をそれぞれ6人と8人に減らし、今月10日には18歳以上の追加接種の間隔も6カ月から3カ月に短縮するなど、相次いで対策を打ち出しているが、専門家らは感染拡大や病床不足などを解決するには不十分だと指摘する。嘉泉大医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学科)は本紙との電話インタビューで、「流行の規模を減らさなければ、この状況はこれからも続く」とし、「人同士の接触を制限する措置が取られるべきだが、損失補償と連携しなければ実効性がないだろう」と述べた。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「短期間で流行を食い止めるためには、もっと強力な措置が必要だ。自営業者の損失補償を確実にするという前提の下、午後6時以降は営業中止にし、社会・経済的活動を制限する『ロックダウン』案についても議論しなければならない」と提案した。
韓国政府も距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の強化など追加防疫措置のための議論を進めている。今月10日、キム・ブギョム首相は「危機局面からの転換が難しいと判断された場合、政府は強力な距離措置などを含む特段の防疫対策を決定するしかない」と述べたが、これに関する具体的な検討が行われている。
政府は11日から、防疫政策諮問機構である日常回復支援委員会の防疫・医療分科に書面で追加防疫案件とともに意見を求めている。防疫・医療以外の分科の日常回復支援委員の意見まで聞き入れ、早ければ今週半ばごろ防疫強化対策を発表するものとみられる。中央災害安全対策本部(中対本)会議は13日に保健福祉部長官、15日と17日にはキム・ブギョム首相の主宰で開かれる予定だ。