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ブレイクスルー感染続出で…接種完了から6カ月後に「3度目」追加接種=韓国

登録:2021-08-31 06:23 修正:2021-08-31 07:49
韓国政府、ブースターショット実施方針を発表 
「慢性疾患や免疫低下の見られる人などは 
6カ月に満たずとも優先実施」 
 
アストラゼネカとヤンセンは物量不足 
ファイザーなどでの交差接種の可能性 
 
国外ではイスラエルがすでに開始 
米国は9月、日本は10月からの計画
今月25日(現地時間)、ハンガリーのブダペスト祝祭管弦楽団の指揮者がコロナウイルスのブースターショットの必要性を訴えるため、3回目の接種を行っている/AP・聯合ニュース

 韓国政府は、第4四半期に新型コロナウイルスワクチンの「ブースターショット(追加接種)」を実施する方針を公式発表するとともに、高危険群と医療従事者を優先するとの接種の方向性を明らかにした。時間の経過による予防効果の低下と変異ウイルスの発生によるブレイクスルー(突破)感染などに対応するため、追加接種を開始したり、接種計画を立てて推進したりしているイスラエルや米国などの主要国に歩調を合わせたものとみられる。

 コロナ予防接種対応推進団は30日、外部の専門家が参加する予防接種専門委員会が25日の審議で「(ワクチンごとに定められた回数の)基本接種完了の6カ月後以降に追加接種を行う。免疫低下者などは6カ月に満たなくても優先実施することが可能」と勧告したと発表した。

 追加接種の順序は、上半期から進めてきたコロナ予防接種事業の優先順位通りとするが、慢性疾患者や免疫低下者の順位は繰り上げる予定だ。これまでの接種は、療養病院・施設の入所者と従事者に対しては2~3月から開始され、65歳以下の慢性腎臓疾患・重症呼吸器疾患者は6月から開始されている。チョン・ウンギョン推進団長は「接種後、一定時間が経過すれば抗体価が低下してブレイクスルー感染が増加することや、デルタ株が流行していることなどを考慮した」と説明した。

 追加接種に使用するワクチンは、主にファイザーやモデルナなどのmRNAワクチンになるとみられる。このため、アストラゼネカのワクチンを接種した60~74歳などは、交差接種を受ける可能性もある。アストラゼネカのワクチンは、今月31日の119万回分を最後に個別契約分の2000万回分の供給が終了する。4000万回分の供給を契約したノババックスのワクチンはまだ承認した国がなく、韓国との個別契約が600万回分のみのヤンセンファーマ(ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門)のワクチンは、追加接種に用いるには量が少なすぎる。一方、ファイザーとモデルナのワクチンは、今年中の導入が予定されている量だけでもそれぞれ約4500万回分、3650万回分に及ぶ。政府は、来年度に5000万人が1回の追加接種を行うワクチンをmRNAワクチンと定め、5000万回分の購入を推進しているが、すでに3000万回分のファイザーのワクチンの購入契約を13日に結んでいる。チョン団長は「国内外で様々なワクチンの組み合わせによる交差接種、追加接種の研究が進められている」とし「専門家による検討と協議を経て、どのワクチンを使うかを決める」と述べた。

 国外では、接種完了率の高い主要国を中心として、追加接種が開始されたり検討されたりしている。先月12日(現地時間)に世界で最も早く追加接種を始めたイスラエルは、免疫低下者をはじめとして高齢者層から30代まで接種対象を毎週拡大し、29日には12歳以上の全ての年齢が追加接種を受けられるようにした。米国は9月20日から、接種が完了して8カ月が過ぎた人に対する追加接種を実施する計画で、接種間隔を5カ月に短縮することも検討している。接種速度が韓国とほぼ同じである日本は、今年11月までにすべての希望者に対する2回の接種を終え、追加接種は10~11月の医療従事者をはじめとし、来年1~2月には65歳以上の高齢者に対して実施することを計画している。英国は「予防接種・免疫合同委員会(JCVI)」の決定がまだなされていない。

 追加接種は、時間が経つにつれてコロナワクチンの予防効果が減少するとともに、デルタ株などのさらに強力な感染力と高い重症化率を示す変異株が広がることに対応するために、必要性が提起されてきた。最近の英キングス・カレッジ・ロンドンの研究では、ファイザーのワクチンは2次接種完了から5~6カ月後経つと免疫効果が88%から74%に、アストラゼネカのワクチンは2次接種完了から4~5カ月後には77%から67%に低下した。研究チームを率いるティム・スペクター遺伝疫学教授は「最悪の場合、冬になると高齢者や医療従事者の免疫率が50%未満に落ちる可能性がある」とし「感染者が依然として多く、感染の可能性も高い中では、免疫効果が徐々に低下するのを黙って見ていてはならない」と懸念を示した。

 ただし、世界保健機関(WHO)は、世界的にはまだ高危険群や医療関係者すらワクチン接種を受けられずにいる国々が多いとし、9月までは追加接種を実施しないでほしいと要請してきた。これについてチョン団長は「WHOが全世界で接種率を高めようと訴えていることに同意する」とし「他国にワクチンを寄付したり供給したりする支援策を、外交部が中心となって検討している」と述べた。

キム・ジフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1009784.html韓国語原文入力:2021-08-30 21:10
訳D.K

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