世界保健機関(WHO)は4日(現地時間)、新型コロナウイルスワクチンの需給の不均衡を解消するため、ワクチンの追加接種(ブースターショット)は少なくとも9月末まで中止することを求めた。
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長はこの日、メディア向けのオンラインブリーフィングで、富裕国ではワクチンが100人当たり100回投与されたのに対し、貧しい国では100人当たり1.5回分が供給されたに過ぎないとして、このように求めた。APが報じた。
テドロス事務局長は、すべての国で人口の10%がワクチンを接種するという目標をWHOが今年5月に発表したことを指摘し、「ワクチンの追加接種は少なくとも9月末まで中止し、少なくとも人口の10%がワクチン接種を受けられるようにしてくれるよう求める」と述べた。
これまでWHOは、2次接種を済ませた人に対して追加接種を行うことがコロナ感染の拡大を防ぐのに効果的なのかは、科学的に立証されてはいないと述べてきた。また、コロナ禍が長期間続けば変異株発生の可能性が高まるため、すべての人が安全になるまでは誰も安全ではないとし、富裕国のワクチン寄付を勧告してきた。
これについてテドロス事務局長の特別補佐官ブルース・アイルワルド氏は、ワクチン接種で遅れを取っている国々がある程度追いつくまでは、追加接種を延期してほしいということだと説明した。同氏は「変異株が相次いで出現するのを見たことで、私たちは全世界が共にコロナから脱出しなければ、誰も脱出できないということを知っている」とし「ワクチン供給に大きな不均衡がある中では、私たちはそれを達成することはできない」と述べた。
富裕国と貧しい国のワクチン供給の格差は深刻だ。統計サイト「アワー・ワールド・イン・データ」の集計によると、2回のワクチン接種を済ませた人の占める割合は3日現在、富裕国はカナダが60.1%、英国が57.1%、ドイツが52.6%、米国が49.3%などとなっており、ワクチン接種は順調に進んでいる。
一方、所得水準の低い国では、一度でもワクチンを接種した人の占める割合は、ナイジェリアが1.2%、スーダンが1.4%、ケニアが1.9%、イラクが2.1%、エジプトが3.7%にとどまっており、ワクチン供給状況は劣悪だ。
この集計において韓国は、2回の接種を終えた人が14.2%、一度でも接種した人が39.3%で、おおむね中間程度に位置している。この問題について米ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、二者択一の問題ではないとして否定的な態度を示した。サキ報道官は「我々は昨日、他国に寄付したワクチンの分量が1億1000万回に達したことを発表している」とし「我々はまた、米国食品医薬品局が『追加接種が必要だ』と決定しており、それに供給するだけの十分な量も持っている」と述べた。
ワクチンの追加接種はイスラエル、フランス、ドイツをはじめ、多くの中東諸国もすでに実施しており、米国や英国などのいくつかの国でも検討中だ。