ワクチン予防接種後に現れた異常反応と予防接種との間の因果性を政府が認めて補償するための「審議基準」が、新型コロナ予防接種が始まってからさらに厳しくなったことが分かった。新規開発されて危険度の評価が完全でないワクチンを、大規模な人口に接種しなければならないだけに、因果性の認定範囲をより広く設けなければならないという要求が大きかったにもかかわらず、韓国政府はかえって逆行しているという指摘が出ている。
国会保健福祉委員会所属のチョン・チュンスク議員(共に民主党)が23日に公開した資料「予防接種被害補償審議基準」によると、疾病管理庁は今年、新型コロナ予防接種が始まった後に被害補償審議基準を一部改定した。審議基準は昨年と今年いずれも異常反応と接種との関連性を5項目に分類し、(1)関連性が明白な場合(2)蓋然性がある場合(3)可能性がある場合の3項目に当てはまるケースを補償の対象とした。(4)認定が難しい場合(5)明確に関連性がない場合の2項目は補償の対象外とした。
今年改定された部分は、補償対象の境界線である(3)の項目の定義と、補償対象から除外される始点である(4)の項目の定義だ。まず、(3)の項目の定義が、これまでの「他の理由による結果とワクチン接種による蓋然性が同一水準と認められる場合」から「他の理由よりも予防接種によって発生した可能性が高い場合」に変更され、より厳しくなった。これについて疾病庁の関係者は「今年3月25日に開かれた予防接種被害補償専門委員会の会議を経て審議基準を整えたもの」とし「文案が変わっただけで、実際の審議は改定前と変わりなく行われている」と話した。
しかし、ソウル大学医学部のキム・ユン教授(医療管理学)は「発生した異常反応がワクチン接種のためなのか、他の理由のためなのかあいまいな状況がすなわちグレーゾーンだが、審議基準の改定で以前は(3)の項目に含まれる可能性のあった事例が(4)の項目に分類される可能性が出てきた」とし「グレーゾーンが補償対象の領域に入る余地を見出しにくくなったのは明らか」と指摘した。
さらに「新型コロナワクチンは新たに開発され、予想外の副作用が現れる可能性があるため、グレーゾーンに対する因果性の認定範囲を以前より拡大し、積極的に補償するのが正しいが、疾病庁はむしろ逆を行っている」と指摘した。実際、限定的な範囲の臨床段階では発見できなかった稀な副作用が大規模な接種を経て確認されている。アストラゼネカのワクチンでは血小板減少性血栓症、ファイザーでは心筋炎という副作用が出たのもその事例だ。
審議基準では(4)の項目の「関連性を認定するのが難しい場合」も一部改定されたが、これもグレーゾーンが因果性を認められることに対してむしろ「壁」を高めたという指摘が出ている。(4)の項目の定義は、従来の「接種後から異常反応が現れるまでの時間的近接性がなく、ワクチンによるものである可能性が不明確な場合」から、「時間的蓋然性があってもワクチンと異常反応に関する資料が不十分であったり(4-1)、他の理由による可能性のほうが高い場合(4-2)」に変わった。ただし、今年5月に「資料不十分」(4-1)に対して「補償」の代わりに最大1000万ウォン(約98万円)まで治療費を「支援」することを決めた点が多少包容的になった部分だ。
キム教授は「重症の異常反応の原因がワクチンのためなのかどうか根拠が足りず分からない事例を『因果性を認めるのが難しい場合』に分類すること自体が不適切だ」とし「根拠自体が不十分な事例なら、むしろ因果性かあるかどうかの判断を保留し、別途の支援体系を作るほうが論理的に妥当だ」と述べた。今月18日に開かれた第18回被害調査班会議が開かれるまで、(4-1)項目に分類されて治療費の支援対象となった重症の異常反応申告事例は8件のみ。異常反応とワクチンとの因果性が認められ補償対象になった事例は、全死亡申告224件のうち1件、重症申告238件のうち3件にとどまる。これとは別に、アナフィラキシーは230件が届け出られ、72件が認められた。