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韓国のワクチン接種予約率、80%超で目標達成…1カ月で接種意向が高まったわけは

登録:2021-06-05 06:40 修正:2021-06-06 18:37
接種経験者を通じて副作用への不信感和らぎ 
「乗り遅れるかもしれない」との焦りも 
「キャンセル分」にも予約殺到 
特典の提供も期待
今月4日、ソウル銅雀区の舎堂総合体育館に設けられた新型コロナ予防接種センターで、住民らがワクチン接種を待っている。今月5日で韓国国内では新型コロナワクチン接種の開始から100日を迎えた/聯合ニュース

 ソウル龍山区(ヨンサング)に住むKさん(72)は、65~74歳の高齢者を対象にした新型コロナ予防接種が始まった初日の先月27日に予約を入れたが、不安になり、キャンセルした。しかし、今週に入って気が変わり、再び今月16日に接種予約を申し込んだ。Kさんは「カカオトークやユーチューブなどを通じて、アストラゼネカ製ワクチンの血栓症副作用についてや、変異ウイルスにはワクチンの効果がないという話を聞き、予約をキャンセルした」とし、「予約を手伝ってくれた息子に『なぜフェイクニュースを信じるのか』と言われ、口論になった」と話した。

 Kさんが考えを変えたのは、ワクチンを接種した周辺の反応を見てからだった。Kさんは「その後、グループチャットで友人の接種後の感想を見て、不信感が消えた。後で集まることになった時、私だけが接種していない状況になったらまずいと思った」とし、「接種は私一人だけの問題ではなく、全国民が互いに影響を及ぼす問題だと考えるようになり、再び接種を受けることに決めた」と語った。

 大邱市寿城区(テグシ・スソング)に住むKさん(72)は、周辺の高齢層がワクチン接種後、これといった免疫反応がないのを見て、不安感が消えたケースだ。今月3日にワクチン接種を受けたKさんは「ワクチン接種を受けてから、頭痛や筋肉痛などの症状が全くなかった」とし、「寝る前にタイレノール(鎮痛薬)も枕元に置いたが、別に異常がなかったため、飲まなかった」と話した。彼は「同じ年齢の友人もほとんどがワクチンを接種してから、何の症状もないと言っていた」と語った。

 60~74歳の高齢者や慢性重症呼吸器疾患者、幼稚園・保育園・小学校(1~2年生)の教師と保育関係者などを対象にした上半期の新型コロナ予防接種の事前予約率が、4日午前0時基準で80.7%を記録した。事前予約が始まった先月は、アストラゼネカ製ワクチンの血小板減少を伴う稀な血栓症など、副作用に対する懸念が広がり、予約率が低くなるとの見通しも示されたが、最近雰囲気が変わり、韓国政府が希望していた目標の予約率70~80%を上回った。

 実際、先月6日に最初に予約を開始した70~74歳では最初の3日間の予約者は25万人に達したが、徐々に減少し、先月26日には平日にもかかわらず2万人台に急減した。しかし、先月27日に大規模接種が再開された直後から、平日4~5万人と予約者が再び増加し始め、70~74歳の予約率は最終的に82.7%となり、当初の目標を上回った。このような変化は世論調査でも明らかになった。政府が毎月行ってきた認識調査でも、ワクチン未接種者のうち「予防接種を受ける意向がある」と答えた人は3月17~18日の調査で68%、4月27~29日の調査では61.4%に減少したものの、5月25~27日の調査では69.2%に増加した。

 新型コロナ予防接種対応推進団のチョン・ウンギョン団長(疾病管理庁長)も同日の記者会見で、予約率が上がらず気をもんでいたことを打ち明けた。チョン庁長は「5月中旬までも予約率が50%台でかなり低く、懸念していた」とし、「事前予約率が予想よりやや高い状況だ。政府と医療界を信頼し、事前予約と接種に参加してくださった高齢者の方々に心から感謝する」と述べた。チョン庁長は目標達成の理由として、「ワクチン接種効果の説明」や「接種完了者への特典」、「キャンセル分の接種の活性化」を挙げた。

 専門家らは、接種初期にはワクチンの異常反応と副作用に初めて接して不安感が高まったが、異常反応をたびたび耳にしたことで、むしろ不安が和らぐ心理変化が起きたと分析した。このような状況の中、先月末に始まった大規模接種で、周辺の年代で接種した人たちが増え、若年層とは違い高齢者層はワクチン接種による免疫反応もあまり現れないことを受け、恐怖は徐々に消えていった。さらに、キャンセル分や100万人分のジョンソン・エンド・ジョンソン(ヤンセンファーマ)製ワクチンの先着順予約接種で、「ワクチン接種を希望する人が多い」ことを体感したことも、接種意向の高まりに影響を及ぼした。韓国ヘルスコミュニケーション学会長のアン・ドヒョン教授(済州大学言論広報学科)は「接種当初は異常反応という初めて接する現象に関心が集まったが、時間が経つにつれて非常に稀でワクチンと因果性がほとんどないということが分かり、次第に“逸脱”がなくなり、異常反応に対する注目度が下がった。ワクチン接種の“社会規範化”が進んでいる」と述べた。

 ただし専門家らは、下半期の主な接種対象がワクチン接種の意向が高齢層に比べ相対的に低い若年・壮年層であるため、「全国民70%接種で集団免疫達成」という目標に到達するためには、よりきめ細やかで、積極的なアプローチが必要だと指摘した。今年2月、ソウル大保健大学院のユ・ミョンスン教授チームの調査で、接種意向が高いという回答は60代以上で67.8%、50代で63.9%だったが、30代で42.5%、20代では32.9%と年齢別の差が大きかった。ユ教授は「基礎疾患を有しない高齢者は以前から接種意向が最も高い年代だったが、下半期の主な接種対象者である若年・壮年層は世界的にも接種意向が高くないため、楽観視できない」とし、「政府は市民が自分のために接種を選択するのに必要な良質の情報を提供し、接種率の数値を強調するよりは、集団免疫で得られる効果を引き続き説明する必要がある」と述べた。

キム・ジフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/998103.html韓国語原文入力:2021-06-04 20:10
訳H.J

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