ソウルに住む69歳のAさんは、今月17日にアストラゼネカのワクチンで新型コロナウイルスの1次予防接種を済ませたが、3日後に注射を打ったのとは反対の腕に大きなあざがあるのを発見した。ワクチンの副作用である「血小板減少性血栓症」の症状の一つが接種部位でないところにあざができるというものであることを知っていたうえ、脳出血の履歴もあったため、Aさんは不安に襲われた。しかし、あざを発見したのは土曜日だったので、町内の病院で血小板数値検査を受けたとしても、結果が分かるのは少なくとも3日後だった。Aさんは結局、大病院の救急室を訪れ、血液検査の末、血小板数値は正常との判定を受けた。
今月16日に韓国で初めて稀な血栓症による死者が出たことで、稀ではあるが致命的なこの副作用にどう対応すべきなのか、ワクチン接種者の間で混乱と不安が拡大しつつある雰囲気だ。政府は21日、血小板減少性血栓症との診断を受けた後に死亡した30代前半の男性について、予防接種被害調査班が18日に会議を開き、公式に予防接種との因果関係を認めたことを明らかにした。これは、アストラゼネカやヤンセンファーマのワクチンのようなアデノウイルスベクター(運び屋)ワクチンを打った後に発生しうる副作用だ。
あざのためにAさんと共に病院を訪れたAさんの娘はこの日、本紙の電話取材に対し、「母は頭痛などの疑わしい症状も特になく、あざができただけだったが、病院に行くべきなのか混乱した」と打ち明けた。また「大病院の救急室の医師は、私たちがそこを訪ねた日に、すでに5人が接種後にあざができたと言って病院に来て、全員が血小板数値正常の判定を受けたと言っていた」と述べた。
京畿道に住む62歳のBさんも、今月10日に接種を受け、5日目に接種を受けた腕とは反対の腕やひざにあざを発見した。しかしBさんは、あざが徐々に消つつあるうえに、他に症状がないため、病院には行かずに経過を見守っている。Bさんは「主に若い人に見られる副作用とのことだが、自分は大げさに考え過ぎではないかとは思いつつも、一方では不安でもある」とし「どの程度あざができたら病院に行くべきか、政府が具体的に示してほしい」と語った。この他にオンラインでも、接種後にあざができたので血小板の数値を確認する血液(CBC)検査を受けたという書き込みをたびたび目にする。
コロナ予防接種対応推進団はこの日、血小板減少性血栓症の疑われる症状を再度説明しつつ、疑われる症状が発生した場合は「直ちに医療機関の診療を受け、その医療機関は速やかに異常反応を届け出なければならない」と強調した。疑われる症状は、鎮痛剤では治まらないひどい頭痛、2日以上続く頭痛、嘔吐、視界の曇り、呼吸困難、持続的な腹部の痛み、腕や脚の腫れ、接種部位以外の場所にあざや出血が生じた、など。あざができるケースについて、推進団のパク・ヨンジュン異常反応調査チーム長は「普段より小さい衝撃でも接種部位でないところにあざができた場合は、副作用を疑って医療機関を訪ねるべき」とし「(副作用の疑われる症状が発生する4~28日という)期間も考慮する必要がある」と述べた。
ソウル大学病院のナ・サンフン教授(循環器内科)は「血小板減少性血栓症は治療を受けないと悪化し続ける病気で、体にできたあざが徐々に緑色になりつつ薄くなっていく場合は、あまり心配しなくてもよい」とし「この副作用は寿命が3~4日ほどの血小板の崩壊によるものなので、接種から4日が経過する前に現れるあざも深刻に考える必要はない」と述べた。ただしナ教授は「ひじのような突出した部分ではなく、ひざの後ろや胴体のような普段あざができにくい部位に以前にはなかったあざができた場合、全身にわたって粘性の出血が生じた場合は、直ちに医療機関で検査を受けるべき」と助言した。