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韓国のハンセン病元患者家族、日本に補償を申請…「韓日の過去問題解くモデルに」

登録:2021-04-26 09:49 修正:2021-04-26 13:35
被害家族、日本政府に補償を申請 
日本の弁護士主導で制定された家族補償法で可能に
2017年2月15日、ハンセン人権弁護団のパク・ヨンリプ団長(右から4番目)や韓国ハンセン病患者総連合会のイ・ギリョン会長(右から5番目)などが、最高裁前で記者会見を開き、ハンセン病患者の断種・堕胎国家賠償請求勝訴の感想を述べている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 日帝強占期(日本の植民地時代)の頃、慶尚南道のある小さな村で生まれ育った男性の体に異常が生じた。小部屋に隠れて暮らしていたが、日本の巡査につれて行かれ到着したのは、全羅南道高興郡(コフングン)の小鹿島(ソロクト)だった。強制労働に苦しめられた彼は辛うじて脱出し、ハンセン病患者が物乞いをしながら集まって暮らした慶尚南道晋州(チンジュ)のある村で暮らすようになった。そこでハンセン病のために家族に捨てられた女性に会った。1939年、2人の間にカン・ソンボンさん(82)が生まれた。

 6歳で父を亡くしたカンさんは、1946年に病状が悪化した母と一緒に貨物船に荷物のように“積載”され、父親と同じく小鹿島に搬送された。カンさんは入島して間もなく、患者たちがいる病舎地帯から離れた官舎地帯の養護施設に隔離された。子どもの感染を防ぐという理由からだ。母との面会は鉄条網を挟んで月に1回だけ許された。お腹が空いたと言うと5人分のご飯いっぺんに食べさせる罰を受けた養護施設での生活はつらかったが、もっと恐ろしかったのは中学生になることだった。大邱(テグ)の養護施設に移送され、母と約束もなく別れなければならなかったからだ。そんなある冬、腐った豆を盗んで食べ、外で罰を受けてできた足の指の傷が時間が経っても治らなかった。ハンセン病がカンさんの体にも生じたのだ。カンさんは「飛び跳ねるほど嬉しかった」と当時を思い出した。ハンセン病に罹れば母と小鹿島で暮らせるという逆説的な状況のためだ。カンさんは五馬島(オマド)の干拓事業に動員されて陸に出た1962年まで小鹿島で暮らした。

 カンさんの父のように、植民地時代時代に日本のハンセン病隔離政策によって小鹿島慈恵医院で断種(生殖腺除去)手術、堕胎、強制労働などの人権侵害を受けたハンセン病患者の家族たちが、初めて日本政府に補償を請求した。25日の本紙の取材によると、62人が今月19日、日本の「ハンセン病家族補償法」に基づき、日本の厚生労働省に補償請求書を提出した。補償金は子どもと配偶者が180万円、兄弟姉妹が130万円で、植民地解放前に発病した患者の家族のうち、解放前に出生し生存した人を対象にしている。

 昨年7月から補償請求を準備してきたチョ・ヨンソン弁護士(民主社会のための弁護士会所属)は、対象者が平均80歳の高齢であるため、証拠を探し出すのが困難だったと話した。小鹿島病院と定着村にある教会の教籍簿で名簿を探し出し、新型コロナのために対象者とは電話で話し、被害事実を聞くほかなかった。こうして集めた1次対象者は62人。引き続き被害者を発掘し、2・3次まで補償を申請する計画だ。

 彼らの補償請求を可能にしたのには、加害国である日本の弁護士たちの努力があった。韓国政府が無関心であった間、日本の弁護士らがハンセン病患者の家族に対する日本政府の補償法制定を導き、韓国の被害者も補償を申請できると伝えてきたからだ。補償法に基づき、植民地時代の韓国・台湾などの隔離被害者も補償を受けることができる。

 証拠を探し出すのが難しいといって、あくまでも補償申請を拒否していたカンさんの心を変えたのも日本の弁護士たちだ。カンさんは「日本の弁護士が『カンさんは(小鹿島の経験を書いた)本も出したのだから補償を申請できる』と粘り強く説得してくれた」とし、「命を長らえて今まで生きているだけで、補償金をもらいたいわけじゃない。ただ、断種・堕胎手術の損害賠償請求訴訟も最高裁大法院))まで送った韓国政府に、私たちのことを知ってもらいたい」と話した。これに先立ち、強制断種と堕胎手術を受けたハンセン病隔離者538人は、2011年から韓国政府を相手取って6件の国家賠償請求訴訟を起こしている。訴訟が始まって6年がたった2017年になってようやく、最高裁は国の上告を棄却し、堕胎と断種被害者に賠償するよう命じた原審を確定した。

 チョ弁護士は、今回の補償申請が依然として対立の続く韓日過去清算問題に一つの解決策になることを願う。「両国の民間領域の協力でハンセン病当事者と家族に対する謝罪と補償が行われただけに、植民地時代の日本軍『慰安婦』被害者や強制労働被害者に対しても同じアプローチが適用できるのではないか」という考えだ。チョ弁護士をはじめ韓国の弁護団と日本の弁護団、カンさんをはじめとする両国の被害者家族は、26日午後4時、ソウル瑞草区(ソチョグ)のソウル地方弁護士会教育文化館でこのような内容を知らせる記者会見を開く。日本の弁護団と被害者家族はオンラインのプラットフォームを通じて非対面で参加する。

2016年6月20日午後、全羅南道高興郡小鹿島の国立小鹿島病院でハンセン病患者らが受けた断種や堕胎の実態を聞くソウル高裁の「特別裁判」が開かれた中、ある住民が病院の廊下を歩いている=高興/キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社
イ・ウヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/992546.html韓国語原文入力:2021-04-26 04:59修正:2021-04-26 08:04
訳C.M

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