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[社説]外国人労働者のコロナ強制検査、明白な差別だ

登録:2021-03-19 09:39 修正:2021-03-19 13:05
ソウル市が発布したコロナ拡散防止のための外国人労働者診断検査に関する行政命令//ハンギョレ新聞社

 ソウル市が外国人労働者だけに新型コロナウイルスの診断検査を強制する行政命令を下し、外国人差別という批判が起きている。すでに同じ内容の行政命令を施行中の京畿道は、採用前の検査まで義務付け、陰性と確認された外国人労働者だけが就業できるようにする行政命令を検討したが、批判が激しくなり18日にこれを撤回した。地方自治体がコロナ感染に脆弱な外国人労働者の勤務環境や生活環境には背を向けたまま、たやすくできる統制方法を取るのは差別という批判を避けられない。

 ソウル市は17日、外国人労働者の雇用主と未登録を含む外国人労働者全体に対し、今月31日までに新型コロナの検査を必ず受けるよう行政命令を下した。これに従わなければ、200万ウォン以下の罰金を科したり、新型コロナ感染発生時に求償権を請求しうると発表した。ソウル市は外国人感染者の割合が昨年11月~12月の2.2%から今年3月までの間に6.3%に上がったとし、診断検査義務化の背景を説明した。割合は増えたものの、感染者全体の中で占める部分は依然として大きくないにもかかわらず、外国人労働者全体を潜在的な感染者とみなして管理しようとしているのではないかという疑念を抱く。集団感染がはるかに頻繁に発生した宗教施設と比べても、明らかなダブルスタンダードといえる。さらに民主党のイ・サンミン議員はフェイスブックに「国際的に恥をかきかねない人権侵害行為」だとし、「ソウル市は直ちにこの行政命令を撤回するよう求める」と主張した。

 これに先立ち、京畿道、慶尚北道、全羅南道、江原道などが外国人労働者への診断検査を義務付ける行政命令を出している。京畿道はさらに進み、診断検査を受けなければ就職できないようにする案を推進し、議論を呼んだ。全国50余りの移住人権団体は18日、声明を出し「外国人は入国後、自主隔離期間を経た後、新型コロナ検査を受けて社会活動をするため、陽性判定を受けたなら国内で感染した可能性が高い」とし「にもかかわらず検査対象を外国人に限定して採用前診断検査を強制することは、烙印を押すという悪影響をもたらすだけ」と強調した。

 先月、東豆川(トンドゥチョン)、南楊州(ナミャンジュ)などで外国人労働者の集団感染が発生した際、劣悪な労働・生活環境と、労働者が選別診療所に行きにくい環境などが問題として提起された。これに対する改善策を打ち出さないまま壁を立てて管理しようとするのは、後進的な人権意識を示すだけでなく、実際の防疫効果も疑わしい。差別のない防疫対策を求める。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/987373.html韓国語原文入力:2021-03-1902:40
訳C.M

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