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「ウイルスは人を選ばない」新型コロナがあらわにする人種差別の素顔

登録:2020-03-21 02:42 修正:2020-03-21 07:30
移住民団体「新型コロナがあらわにする人種差別の素顔」証言大会開催
移住労働者労働組合のウダヤライ委員長(中央)が「国際人種差別撤廃デー」を翌日に控えた20日午後、「新型コロナがあらわにする人種差別の素顔」証言大会で、新型コロナ事態で起きている移住労働者差別の実態について発言している=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 ある有名スパが、ホームページのポップアップ・ウィンドウで「外国人入場制限」という案内文を掲載した。夫とここを訪れたベトナム出身の結婚移住女性が出入りを拒否された。「この女性が韓国に住んで数年になると抗議しても無駄でした。まるで外国人の入場制限は感染予防策のようでした」。

 「移住共同行動」や「外国人移住・労働運動協議会」などの移住民関連団体が21日の「国際人種差別撤廃デー」を翌日に控えた20日午後、ソウル貞洞(チョンドン)の民主労総大会議室で開いた「新型コロナがあらわにする人種差別の素顔」証言大会で紹介された事例だ。新型コロナウイルス(COVID-19)拡散にともない、中国人などの移住民に対する韓国人のヘイトと差別も同時に拡散しているという証言が続々と出た。

 これらの団体は、COVID-19の拡散が本格化する前の今年1月ごろから、移住民に対するヘイトが大きくなり始めたと口をそろえる。「移住民センター・チング(友達)」のイ・ジェホ弁護士は「周りから『大林洞(テリムドン)は危険ではないか』という話も聞く。『大林洞に感染者は多くない』と言っても『中国人が検査をわざと受けていないためではないか』という答えを聞くこともある。当事者がどれほど傷つくか考えもしない」と語った。そして「中国出身者は『中国人だという理由でよく行っていた食堂に行けなくなった』、『特に理由の説明もなく働いているところからもう来なくていいと言われた』、『地域社会で私たちを高危険群扱いしている』と証言している」と付け加えた。

 一部の事業所では移住労働者が外に出ることすら禁止しているという主張もなされた。移住労働者労組のウダヤライ委員長は「京畿道驪州(ヨジュ)で働くバングラデシュ人労働者は2カ月も工場から出られないでいる。出たらクビだと会社から脅されているという。天安(チョナン)で働く移住労働者も工場から出ることを禁止され、1カ月半も会社から出られないでいる。韓国人はみな家から通勤しているのに、移住労働者をウイルス扱いしているようだ」と語った。

 COVID-19用の個人衛生用品の支給でも差別が発生している。ウダヤライ委員長は「衿川(クムチョン)のある会社は、韓国人にはマスクを支給しているが、移住労働者にはしていない」と述べた。「アジア平和に向かう移住」で活動するキム・ヨンハさんは「外国人が公的マスクを手に入れるためには健康保険証と外国人登録証を直接提示しなければならないため、国民健康保険加入資格のない難民申請者、国外から帰ってきて滞在期間が6カ月に満たない難民、人道的滞在者は公的マスクを買う機会が断たれている。難民たちは『我々は政府にとって人ではないのか』『毎日の恐怖の中で私はどう生きればいいのか』と訴えている」と述べた。

 彼らは「ウイルスが国籍を問わないのと同様に、韓国人か移住民かを問わない平等な対策が必要だ。ヘイトと差別を止めなければならない」と強調した。特にマスクなどの個人衛生用品の支給時に行われる差別について「もし今のように公共マスクの普及で移住民を差別していたら、世界が韓国の対応を民主的と評価したとしても、人種差別国家という汚名を着る可能性もある」とし、移住民にも公的マスクを購入する資格を与えることを求めた。

キム・ミンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/933495.html韓国語原文入力:2020-03-2016:20
訳D.K

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