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[山口二郎コラム]突然の衆議院選挙

登録:2026-02-03 06:22 修正:2026-02-03 07:48
先月27日、東京で開かれた衆議院選挙に向けた自民党の遊説に有権者たちが集まっている/AFP・聯合ニュース

 高市早苗首相は、1月23日に衆議院を解散し、2月8日に総選挙が行われる。これは日本の民主主義を破壊することにつながる暴挙である。なぜかを説明する。

 日本は議院内閣制の国であり、内閣は衆議院を解散する権限を持っている。憲法では、衆議院が内閣不信任案を可決したときに解散できると明記されているが、長年、首相の裁量でいつでも解散できるという運用が定着している。

 しかし、1月に召集される通常国会の冒頭での解散は異例である。通常国会の最も重要な任務は、4月から始まる会計年度の予算を審議、成立させることである。今までの政権は、予算成立を優先してきた。しかし、1月に衆議院を解散すれば、予算審議が始まるのは2月後半以降となり、予算は新年度が始まるまでには成立しないことが確実である。また、解散から投票日までの間隔があまりにも短く、野党は候補者の擁立や政策の準備で著しく不利な状況に置かれた。

 あえて衆議院を解散して国民の審判を仰ぐと言うなら、それに値する重要な政策課題を国民に具体的に示すことが首相の責務である。首相は1月19日の記者会見で、「高市早苗が、内閣総理大臣で良いのかどうか、今、主権者たる国民の皆様に決めていただく」ために解散総選挙を行うと述べた。首相が首相でいたいからという理由で解散をしたのは、高市氏が初めてである。今までの首相は、総選挙について具体的なテーマを設定して、国民の判断を仰ぐと主張していた。

 同じ記者会見の中で、記者の質問に答えて、「国論を二分するような大胆な政策、改革にも、批判を恐れることなく果敢に挑戦していきたいと考えております」と述べた。高市氏が首相でいつづけたいと思うのは権力者として当然の欲望だろうが、首相として何をしたいのかは明確に語っていない。国民の多くが反対するようなテーマについて果敢に新政策を実行すると意気込みは伝わるが、それは何なのか明らかにしないというのでは、国民としては判断しろと言われても困る。この言い草は、ともかく私に権力を与えろという白紙委任の要求であり、国民との約束に基づいて政治を進めるという民主主義を破壊するものである。

 実は、国論を二分するような政策について、高市政権は予告している。いわゆる台湾有事は日本にとっての「存立危機事態」に該当すると国会で答弁し、戦後日本の首相として初めて中国と戦争する可能性に言及した。また、高市内閣の高官(安全保障担当の首相補佐官と言われている)が、日本も核武装を検討すべきと発言して強い批判を浴びた時にも、首相は事実関係を明らかにせず、この発言をした人物の責任を問うこともしなかった。つまり、首相は核武装に肯定的と思われても仕方ないことになる。

 このように、高市氏は、戦後日本が曲がりなりにも守ってきた基本政策を転換し、軍事面で積極的、あるいは攻撃的な姿勢に転換する意欲を持っている。だが、それを具体的に国民に明らかにし、判断を仰ぐというわけではない。私が、この解散総選挙が日本の民主主義を破壊することにつながると考えるのは、このような理由による。

 突然の解散は、日本の政党再編の引き金ともなった。野党第一党だった立憲民主党と公明党は、中道改革連合という新党を結成した。公明党は、25年余り自民党と連立政権を構成してきたが、高市首相のタカ派、軍事偏重の路線を支持できないとして、連立政権から離脱した。立憲民主党と公明党は、近隣諸国との対話による平和維持、社会保障の拡充と平等の追求、多様性の尊重などの基本的価値観について、近い立場にある。それゆえ、新党結成は、戦後日本の基本的な路線を維持するための対応として、理解できる。

 戦後日本は、戦争への反省に基づいて民主主義と平和を追求してきた。しかし、戦後80年を経て、その意味の戦後は終わり、大きな過渡期に入ったように思われる。この選挙の結果は、ポスト戦後の日本政治の方向を決める重要な機会となる。

//ハンギョレ新聞社

山口二郎|法政大学法学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1242752.html韓国語記事入力:2026-02-01 18:39

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