ユン・ソクヨル前検察総長が大統領選の有力候補のうち選好度1位を記録した世論調査結果が相次いで発表された。政権勢力と対立し検察総長を辞任した彼に、反与党陣営の支持が結集した結果とみられる。しかし、急上昇したユン前総長の支持率がいつまで続くかについては、専門家の間でも意見が分かれる。
ユン前総長、KSOI・リアルメーター調査で次期大統領候補としての選好度トップ
今月5日、韓国社会世論研究所(KSOI)が「交通放送」(TBS)の依頼で全国有権者1023人(信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)を対象に次期大統領候補としての選好度を調査した結果、ユン前総長が32.4%の支持率で1位を占めた。今年1月22日に実施した同機関の調査に比べると、支持率の上昇幅は17.8ポイント(当時14.6%)にのぼる。イ・ジェミョン京畿道知事は、前回の調査より2.1ポイント下がった24.1%、イ・ナギョン共に民主党代表は0.4ポイント下がった14.9%だった。ホン・ジュンピョ無所属議員(7.6%)やチョン・セギュン首相(2.6%)、チュ・ミエ前法務部長官(2.5%)も有力大統領候補に挙げられた。今回の調査は、ユン前総長が辞意を表明した翌日に行われた。
同日発表されたリアルメーターの調査でも、ユン前総長は次期大統領候補の選好度でトップに躍り出た。リアルメーターが文化日報の依頼で今月6~7日、全国の有権者1000人を対象に実施した有力次期大統領候補に対する選好度調査(信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)で、ユン前総長は28.3%の選好度を記録した。イ・ジェミョン知事は22.4%、イ・ナギョン代表は13.8%だった。先月22~26日に行われた同機関の調査と比較してみると、わずか10日でユン前総長の支持率が12.8ポイント急上昇した一方、イ知事とイ代表はそれぞれ1.2ポイント、1.7ポイント下落した。ユン前総長の急浮上で、10日前に10ポイント以上広がっていた汎与党陣営候補(45.1%)と汎野党陣営候補(45.2%)の支持率争いも接戦になった(世論調査に関する詳細は中央選挙世論調査審議委員会ホームページを参照)。
保守派の期待集めたユン前総長、中道派にも支持広げるか
ユン前総長の支持率上昇の背景には、総長職を辞任したユン前総長を確実な野党の大統領選候補と認識した保守層の結集がある。公職を離れたユン前総長が政界に進出するという期待も反映されたものとみられる。実際、両世論調査いずれもユン前総長の支持率は、野党「国民の力」支持層▽文大統領の国政遂行に対する不支持層▽保守志向▽50代と60歳以上▽ソウル▽大邱(テグ)・慶尚北道などで、全国平均より高かった。
注目すべきなのは、中道派の中でもユン前総長が与党候補を抑え、最も高い支持率を記録したという点だ。韓国社会世論研究所の調査によると、中道層の35%がユン前総長を支持すると答え、イ・ジェミョン知事(23%)とイ・ナギョン代表(13.8%)を上回った。リアルメーター調査でも中道層のユン総長への支持率が31.3%で最も高かった。龍仁大学のチェ・チャンリョル教授は「今のように野党『国民の力』から距離を置き、懸案に対して正義と公正に基づいた発言をすれば、中道層への支持拡大の可能性が非常に高い」と分析した。
ユン前総長の支持率上昇、どこまで続くか…専門家の意見分かれる
ユン総長の勢いがどこまで続くかについては、専門家の間でも意見が分かれている。議題と戦略グループ「トモア」のユン・テゴン政治分析室長は、「今回の支持率上昇は、ユン前総長の政界進出の可能性をめぐる確実性が消えたことで現れた支持率浮揚効果に、韓国住宅土地公社(LH)疑惑が公正性の問題に飛び火してユン前総長に対する期待感が高まった結果だ」と分析した。さらに「政治が本格的に始まれば泡が消える部分もあるかもしれないが、政界改編前の4月7日の補欠選まではしばらく維持されるだろう」と予想した。
一方、今回の支持率上昇の勢いは、「一時的な浮揚効果」に過ぎないという見方もある。時代精神研究所のオム・ギョンヨン所長は「司法問題などでメディアへの露出頻度が上がり、高い支持率を記録したものとみられる。『ユン・ソクヨル流政治』の要諦が立証されない限り、今の支持率は好奇心または期待感からくる一時的なものとみるべきだ」と指摘した。さらに「ユン・ソクヨル流政治が何であるかをきちんと示せなければ、パン・ギムン前国連事務総長のように支持率が急降下する恐れがある」と付け加えた。