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ユン・ソクヨル韓国検察総長が辞任…事実上の政治宣言

登録:2021-03-05 02:23 修正:2021-03-05 08:22
検察総長の任期を4カ月残して途中下車 
捜査庁に強く反発するさなかの辞職 
「憲法精神は破壊されつつある」との立場を表明 
文大統領、1時間で辞意を受け入れ 
事実上、政界進出に向けた「出師の表」か
ユン・ソクヨル検察総長が4日午後、ソウル瑞草区の最高検察庁玄関で辞任の意思を明らかにしている。文在寅大統領は一時間ほどでこれを直ちに受け入れた=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 与党の進める「捜査・起訴権完全分離」法案に強く反発していたユン・ソクヨル検察総長が4日、突如辞意を表明した。大統領府はユン総長の辞意表明からおよそ1時間後に「文在寅(ムン・ジェイン)大統領はユン総長の辞意を受け入れた」と明らかにした。

 チョ・グク元法務部長官に対する捜査から始まったユン総長と大統領府の1年6カ月の対立が一段落したかたちだが、任期を4カ月あまり残したユン総長の辞任は、今後、政界全般と検察にかなりの波紋を及ぼすとみられる。野党の有力な大統領候補として挙げられていたユン総長が予想より早く動いたことで、来年の大統領選挙をめぐる政界の地殻変動も早まらざるを得ない。捜査・起訴権の分離に対する検察の反発も、総長辞任とあいまって、どこに向かうか予想がつかない状況となった。

 4日午後2時、ユン総長が自ら最高検察庁の庁舎前で明らかにした辞任に際しての立場を表明する文章の内容は、現政権に対する厳しい批判であり、事実上の政界進出宣言と分析される。ユン総長は「総長を辞職しようと思う」と述べ、その理由として「この国を支えてきた憲法精神と法治システムが破壊されつつあり、その被害はそのまま国民に降りかかる。この社会が苦労して積み上げてきた正義と常識が崩れるのを、これ以上見ていられない」と強調した。ユン総長は続けて「検察での私の仕事はここまで」だが「今までやってきたように、今後もどんな位置にあろうと、自由民主主義を守り、国民を保護するために力を尽くしていきたい」と力を込めた。267文字の短い文章だったが、「国民」が2度登場し、「憲法精神と正義と常識、自由民主主義守護」などの単語は出師の表を連想させた。

 ユン総長は最近、周囲に辞意を明らかにしていたという。ユン総長は「(捜査・起訴権の分離は)結局、私を狙って発議された法案だが、私が辞めねば終わらない」「検察に残ってもできることはない」などと吐露していたという。ユン総長のある側近は、「(総長は)懲戒請求・職務排除の際にも地位を守らねばという考えが強かったのだが、捜査権剥奪まで進められていることで、辞意を固めた」と述べた。

 ただ、ユン総長は「捜査権を守る」との大義名分を掲げて辞任したとはいえ、政界に進出した瞬間、そのような大義名分は消えてなくなり、「自分の政治に検察を利用した」との批判は避けがたくなるとみられる。政治的に最も中立であるべき検察総長が、事実上大統領選挙へと直行するという悪例を残すことになるからだ。後任の検察総長がいかなる捜査を行っても、政治的意図を疑われることにならざるを得ない。元検察官のある弁護士は、「現政権が望んだ積弊捜査で総長になった彼が、ある瞬間から大統領府に牙をむき、執拗にごり押しし、野党の大統領選候補となった。その間、検察は存廃の危機へと追い込まれた。総長が政界へと去れば、残された後輩はどうしろというのか」と批判した。

ペ・ジヒョン、チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/985486.html韓国語原文入力:2021-03-04 19:05
訳D.K

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