旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と最大野党「国民の力」および尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権を橋渡ししたとされるクォン・ソンドン議員に対する拘束令状が、16日夜に発付された。3つの特検による捜査では初の現役議員の拘束だ。17日には、旧統一教会の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が特検に出頭し取調べを受けた。
旧統一教会と国民の力、そして尹錫悦前大統領夫人のキム・ゴンヒ女史は、2022年の大統領選から尹錫悦政権期まで、さまざまな請託や金品授受疑惑で結びついている。旧統一教会のユン・ヨンホ元世界本部長は、クォン議員を通じて国民の力および尹錫悦大統領選挙陣営と、「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏を通じてキム女史と、それぞれ取り引きした疑いがある。このような癒着疑惑は、憲法が定める政教分離の原則に反し、尹錫悦大統領の当選そのものの正当性を揺るがしかねない、きわめて重大な事案だ。
クォン議員は、大統領選の2カ月前である2022年1月、ユン元本部長から違法な政治資金1億ウォン(約1100万円)を受領した疑惑が持たれている。クォン議員は同年2~3月に韓総裁に直接会い、現金が入った紙袋を受け取った疑いもある。また、旧統一教会側が、2023年の国民の力の全党大会の際、クォン議員を党代表にするために、教会信者を集団で入党させた疑惑もある。この資金がどこに流れたのか、クォン議員は旧統一教会にどのように「見返り」を渡したのか、一つひとつ解明すべきだ。ユン元本部長は、キム・ゴンヒ女史にはコンジン法師を通じて6000万ウォン台のグラフのネックレスと1000万ウォン前後のシャネルのバッグ2点を渡し、旧統一教会のカンボジア公的開発援助(ODA)事業の増額、YTN買収、第5国連事務局の誘致などを請託した疑いが持たれている。
旧統一教会側は、これらすべての行為はユン元本部長個人の逸脱にすぎず、教団レベルでの介入はなかったと主張する。とういて信じられない。特検は、韓総裁が自身の意向に沿って国家が運営されるべきだとする「政教一致」の理念を強調しており、これを実現するために教団レベルで尹錫悦夫妻に接近したとみている。旧統一教会の資金が尹錫悦前大統領の選挙資金に流れたことが確認されれば、国民の力の政党解散の声が強まる可能性もある。
国民の力はクォン議員の拘束を「野党抹殺」と反発した。裁判所が発付した令状を「野党弾圧」だとする主張には説得力がない。国民の力は、21日の大邱(テグ)での糾弾大会を手始めに、場外闘争も予告している。国民の力には、チュ・ギョンホ、ユン・サンヒョン、キム・ソンギョ、イ・チョルギュ、イム・ジョンドクの各議員など、特検捜査の対象が多く存在する。捜査に協力して内部の腐った部分を切り取ることこそ、民意を得て未来に進む道であることを、国民の力は理解してほしい。