新型コロナワクチンの需給に対する懸念が高まる中、韓国政府がファイザー社のワクチン50万人分を3月末まで前倒しで導入する。これによって2~3月に供給される新型コロナワクチンは150万人分に増えた。政府はまた、ファイザー社のワクチン300万人分を追加契約し、ノババックス社のワクチン2000万人分の購入契約も結んだ。ただし、確保量の拡大と時期の調整などにもかかわらず、第1四半期の接種人数は変わらない見込みだ。
疾病管理庁(疾病庁)は16日、ファイザーのワクチン300万人分を追加購入する契約を前日結んだと発表した。これに先立ち、契約が完了していたファイザーのワクチン1千万人分は、当初第3四半期から導入する予定だったが、早期供給交渉を通じて3月末以内に50万人分、第2四半期に300万人分を供給することにした。疾病庁は3月中に導入されるファイザー社のワクチン50万人分は、国の出荷承認を経て、4月から接種を始める計画だ。現在、食品医薬品安全処はファイザーのワクチンに対する許可審査を進めている。
さらに疾病庁は同日、ノババックスのワクチン2千万人分の契約も結んだ。ノババックスのワクチンは、SKバイオサイエンスが米国のノババックス社と技術導入契約を交わし、慶尚北道安東(アンドン)の工場で生産して、第2四半期から順次供給される。ノババックスのワクチンはインフルエンザやB型肝炎ワクチンなどが採択した「合成抗原」方式だ。抗原のたんぱく質を合成し、免疫増強剤と混ぜて接種して、免疫反応を誘導する構造だ。氷点下75度で超低温保管しなければならないファイザーのワクチンに比べ、摂氏2~8度で冷蔵保管と流通が可能で、消費期限も最大3年までというメリットがある。ノババックスは先月、英国で進めている第3相の臨床試験の予備調査の結果、89.3%の予防効果が確認されたと発表した。チョン・セギュン首相は同日、中央災害安全対策本部会議で「既存の5600万人に加えて2300万人分を追加し、計7900万人分の新型コロナワクチンの導入を確定した」と説明した。
これにより、政府が第1四半期に導入する新型コロナワクチンは約150万人分に上る。世界ワクチン共同購入連合体(COVAXファシリティ)を通じて2~3月中に入るアストラゼネカのワクチンが少なくとも約19万人分、ファイザーのワクチン5万8500人分、製薬会社と個別交渉で2月24~28日に確保するアストラゼネカのワクチン75万人分、3月末に入るファイザーのワクチン50万人分を合わせた数値だ。
しかし、第1四半期の接種人数は政府が前日発表した2~3月の予防接種計画と変わらないものとみられる。政府は第1四半期に満65歳未満の療養病院・施設の入所者や高危険医療機関、患者治療病院の医療従事者、第1次対応要員ら約76万人にワクチンを接種する計画を発表した。これは先月28日に発表した第1四半期の接種対象127万人に比べて大幅に減った規模だ。
疾病庁はアストラゼネカのワクチンの第1四半期接種対象から外された65歳以上の療養病院・施設の入院・入所者約37万人に対しては、まずアストラゼネカのワクチンが高齢者に十分な効果をもたらすかどうかを確認してから、同ワクチンを接種するという従来の方針を変えてはいない。しかし予防接種専門委員会が3月末に米国の臨床試験資料を確保した後も接種が難しいという結論を下せば、ファイザーのワクチンや第2四半期導入予定のモデルナやヤンセンなどほかのワクチンを接種する案も検討している。
政府が2~3月の予防接種計画を明らかにした翌日にワクチン導入時期の調整などを公開したのは、それだけワクチン確保が緊迫していることを示している。特に、第1四半期の接種対象から外された約37万人の場合、米国のアストラゼネカのワクチン臨床試験の結果発表が遅れた場合、接種日程そのものが不透明になるかもしれないという懸念の声も上がっている。予防接種対応推進団のヤン・ドンギョ資源管理班長は同日のブリーフィングで「ファイザーのワクチンの追加購入契約が昨夜に行われたため、昨日午後の発表に含まれなかった」と述べた。
嘉泉大学医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学)は「政府が現在まで契約した量は人口より多いが、量より重要なのは導入時期を繰り上げること」だとし、「変異ウイルスが広がれば既存のワクチンの効果が落ちるため、2回の接種ではなく3回の接種が必要になる可能性もあるが、そうなれば確保した物量の3分の2にワクチンが減ることになる。こうした状況まで考慮し、追加購入をしなければならない可能性もある」と述べた。