「コロナのせいで人にも会えなくて退屈で、何でもやってみなきゃという気持ちで申し込んだのですが、人によって合う・合わないは分かれると思います」
モニター画面越しに向き合った会社員のAさんは、「ズームゲティン」(オンライン会議ツールのZoomを利用したソゲティングの合成語。ソゲッティンは紹介で出会いの場を持つこと)を申し込んだ理由を尋ねると、このように答えた。新型コロナが長期化し、非対面で会うことが日常化すると、若い男女を対象に「ズームゲティン」を仲介する業者も生まれてきている。ハンギョレはズームゲティンに参加した人たちに「アンタクト(非対面)の出会い」についての考えを聞いてみた。
ズームゲティンに参加した人たちは「ぎこちないけど新鮮」という感想を語った。彼らは大半が知人やニュース、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の広告などを通じて非対面の出会いを仲介する業者に接した。Bさんは「これをする人がどんな人か知りたくて申し込んだ。画面だけ見なんがら話すのがぎこちないけど、新しい経験だと思って、良かったら友達に推薦してみようと思う」と語った。ズームゲティンの経験があるAさんは「『人に会うのが難しい』と思っている人たちには良い選択肢になりうる。画面で人と会うのは、思ったよりも新鮮な感じを与える」と説明した。
ズームゲティン業者はたいてい申込者の価値観・性向・好みなどを事前に把握してから、適切な相手を探してマッチングする方式で出会いをあっせんする。会話のテーマや質問をあらかじめ指定して自然な会話を誘導する仕組みを設けておくこともある。
それでもズームゲティンは、向かい合って相手の目を見ながら対話を交わせる環境が用意された「ソゲティン」とは異なる。15~20分内外の短い出会いでカメラを凝視しながら、モニター越しの相手を見つめなければならず、ぎこちないムードが醸されることもある。
「家で行なうからどうしても背景と照明が気になります。目のやり場もモニターとカメラだけなので、もっと緊張したりも」(Cさん)
「時間の圧迫を感じるから、あるときは脈絡なく思いつくまま話して終わってしまうことも。相手がカメラをまともに見られなくて視線を避けられると困ってしまう」(A氏)
画面の真ん中に映る相手の顔に集中するしかなく、瞬間の「目の震え」や微細な表情の変化、手振りなどにも全てに目が行ってしまう。
「ズームゲティン」は大学生の匿名コミュニティやソーシャルミーティング業界などから単発のイベントとして始まったが、口コミで着実に人気を得ると、結婚情報会社も導入するようになった。檀国大学心理学科のイム・ミョンホ教授は「コロナをきっかけにオフラインの出会いがなくなったことで、若い世代を中心にオンラインの出会いが与える価値がより高まった。非対面の出会いは匿名性という強みがあるため、今後もさらに増えるだろう」と説明した。