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非接触時代にデパートがVIPを増やす理由とは?

登録:2020-12-19 03:35 修正:2020-12-19 08:29
[土曜版]親切な記者たち
新世界百貨店本館の外観=新世界百貨店提供//ハンギョレ新聞社

 年末になると、華やかに飾られたデパートの外観からクリスマスの雰囲気を感じます。デパートもこの時期に合わせて、年末の外観装飾だけで億単位の金を投じるといいます。この金額は必ずしも無駄な出費ではありません。お歳暮の需要が多い12月はデパート業界最大の書き入れ時です。そのようなデパート業界がこのところ震えています。社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)がレベル3へと引き上げられれば、防疫指針に従って店舗が営業できなくなるからです。このような中、デパートはVIP顧客を増やす作業に取り組んでいるそうです。なぜでしょうか?

 こんにちは。産業部で流通分野を担当するパク・スジです。コーヒーから家具まで、私たちにとって身近な様々な消費財がどのような経路を経て消費者に届くのか、産業の変化に注目して記事を書いています。今日はコロナ時代のデパートの生き残り策について書こうと思います。

 デパートがシャットダウンしたらどうなるでしょうか? 当面はこれといった方法もないので、デパートも自社のオンラインモールと連係して商品を販売するしかありません。オンラインショッピングモールで近ごろ人気の「ラバン(ラ放=リアルタイム動画で商品販売するライブ放送のこと)」では、ブランド物も家具も販売できるでしょう。ロッテ百貨店はすでに、昨年は月30回ほどに過ぎなかった「ラバン」を、11月だけで160回以上行ったといいます。デパートの食品売り場の商品を配送するやり方もあります。「現代百貨店トゥーホーム」というサービスは、前年同期と比べると、今月1~16日の売上が47%増え、注文件数も30%増えたそうです。それでもデパートは、オフラインでの売上が通常は80~85%ほどを占めます。これは、店舗が営業できなければ15~20%しか売上がなくなるということを意味します。コロナ時代において、デパートが単にクーパンなどのeコマース(電子商取引業者)を真似るのではなく、「デパートをもっとデパートらしく」することに力を入れている理由がここにあります。

 他の流通チャンネルと異なるデパートの特徴は2つに要約できます。「ブランド物」などのプレミアム商品に対する信頼の高さと、それに伴うVIPサービスです。ブランド品は今もデパートが販売において優位を保っている唯一の商品群です。現代百貨店の関係者は「板橋(パンギョ)店ではカルティエ、ブルガリ、ピアジェなどの高級ジュエリーブランドをつい最近まで拡充し続けていた」と語っています。オンラインでブランド品を買うのは、本物かどうかわからないため、依然として消費者が敬遠しているからです。そういうわけでエルメス、シャネル、ルイ・ヴィトンのいわゆる3大ブランドの地位が高まり、デパートがそれに次ぐ立場となって久しいのです。

 結局、デパートが積極的に拡大できるサービスは「VIP」顧客の管理です。デパートは通常、年間で数千万ウォン以上をデパートで使う顧客をVIPとし、割引クーポン、駐車サービス、ラウンジサービスなどを提供します。今年に入ってからは、このようなVIPが細分化され、総人数も増える様相を呈しています。現代百貨店は今月初め、来年2月から30代以下の顧客専用のVIPメンバーシップ「クラブワイピー(YP・Young VIP)」を運用すると発表しました。新世界百貨店は、今年3月から順次「食品ジャンルVIP」「生活ジャンルVIP」のようなジャンルごとのVIP制度を導入しています。購入総額は多くなくても、特定分野の購入額が多い顧客をその分野のVIPとし、VIPはその分野の推薦商品の割引クーポンなどがもらえる特典が受けられます。

 このようなVIPの総量を増やす動きについて、デパートは基本的に「若年層の上客」「生活用品の上客」などをとらえる戦略と説明しています。しかしそれよりも、家の外に出ることが難しいコロナ時代に、VIPを増やすことで、彼らにデパートに一度でも多く来てもらおうという必死さの方が読み取れます。すでに多くの日常消費領域がオフラインからオンラインへと移行しているうえ、コロナがこのような傾向に拍車をかけています。eコマース業者が逆にコロナの恩恵を受け、取引高や売上高の最大値を記録するのを見ただけでもそれが分かります。デパートが 「オンラインでは提供できない顧客経験」にしがみつく理由がここにあります。あるデパート関係者は「デパートはそもそもオンライン市場と価格競争をする所ではない」と述べ、「『自分がデパートに行けば優待を受けられる』という感じを与えることが重要となった」と説明しています。VIP優待というものが無料駐車サービス、コーヒーのテイクアウト、割引クーポン程度であっても、「自分は他の人とは違う」という経験によって、デパートに来て一つでも多く購入するようになるというわけです。

 ここまで書いてみると、「この大変な時に、悠長にデパートの心配なんかしている場合か」というコメントがすでに目に浮かぶようです。しかしデパートが閉まってしまえば、大型店舗では5000人、中型店舗でも3000人が休まねばなりません。デパートの正社員だけでなく小商工人や、他ならぬ入店業者もなす術がありません。デパートの華やかなクリスマスツリーを見ながら笑ってばかりはいられないのです。

//ハンギョレ新聞社

パク・スジ|産業部記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/economy/consumer/974972.html韓国語原文入力:2020-12-18 19:38
訳D.K

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