「被害女性たちが日本に事実認定と公式謝罪を要求するのは、二度と戦争はするなということです」
「民主社会のための弁護士会」(民弁)の日本軍「慰安婦」問題対応タスクフォース(TF)のイ・サンヒ弁護士は、12日のハンギョレのインタビューで「(日本政府の賠償責任を認めた)判決が持つ意味に集中してほしい」とし、このように述べた。8日の韓国の裁判所の判決によって「韓日関係が再び危機を迎えた」という認識にも警戒を示した。判決前日から日本の記者たちは、イ弁護士に対し、強制執行の可能性について主に問い合わせてきたという。日本政府が判決を履行しないことを前提とした質問だった。イ弁護士はこれを「強制動員被害者賠償判決のトラウマ」と解釈し、日本の記者たちに問い返した。「日本政府に、判決後(賠償を)どのように履行するのか問うてください」
イ弁護士は「国際秩序が個人の権利を保護する方向へと変わりつつある中で、日本政府は韓国地裁の判決をどのように受け入れるのか、日本国民をどのように説得するのかなどの観点から見なければならない」と強調した。日本政府はしかし、韓国地裁の判決自体を認めず、国際司法裁判所(ICJ)への提訴を検討している。イ弁護士は「韓日両国間の請求権協定で合意したというのが日本政府の一貫した立場であり、慰安婦問題が国際的な問題として浮上するのを懸念して提訴そのものを行わないかもしれない」と述べつつも、「『フェリーニ事件』の先例はあるものの、二つの事件は単純比較が難しいため、悲観的ではない」との見込みを示した。1944年にドイツの軍需工場で強制労働させられたイタリア人フェリーニ氏は、1998年にイタリアの裁判所で損害賠償請求訴訟を起こした。一、二審では国家免除理論の壁を越えられなかったものの、最高裁は原告勝訴の判決を下した。ドイツの提訴により審判を行った国際司法裁判所は、国家免除理論を認めてドイツを支持したが、イタリア憲法裁判所はこれを再び覆した。イ弁護士は「フェリーニ氏側の弁護士に、イタリア最高裁の判決が出てからイタリア内部でも対立があったのかと尋ねたが、別に問題はなかったと言っていた。韓国も韓日関係危機論に過度に振り回される必要はない」と述べた。イ弁護士は韓国政府に「韓日のみの関係として狭く見ずに、イニシアチブ(主導権)を取ってアジア諸国と慰安婦問題を議論する知恵を持ってほしい」と助言した。
これまで慰安婦被害者たちは、日本の裁判所に民事訴訟を4回起こしているものの、すべて棄却または却下された。米国などのその他の国の裁判所に起こした訴訟も同じだった。イ弁護士は「裁判を受ける権利を認めた今回の判決によって、慰安婦被害者たちは完全な市民権を取得した」と評価した。イ弁護士は「国際法体系において、国家や武装集団によって人権侵害を受けた被害者をどのように救済するか、論争が活発に行われていた中で、韓国裁判所の判決によって慣行が変わる可能性もあった」とし「地裁は、反人道的犯罪行為に対しては国家免除を適用できないとし、慰安婦問題に限らず、公権力による重大な人権侵害の被害者たちの救済に道を開く判決を下した」と付け加えた。イ弁護士は、2015年の韓日政府間合意が慰安婦被害者を「抽象的に『可哀相な存在』、『せめて金銭的にでも賠償を受けるべき存在』から、謝罪を受けたようでもあり、賠償を受けたようでもあり、そうでないようでもあるという、曖昧な存在」にしてしまったと述べた。「なぜ人権問題になり、なぜ謝罪されていないのか、我々も学習せねばならない」とも述べた。また、「起きてもいないうちから、判決後に駐日本韓国大使を呼びつけるなどの日本政府のジェスチャーを恐れるのはやめよう」とも述べた。「これ以上世論化するなと言えば、公権力による重大な人権侵害の被害者は、誰もものが言えなくなる」ということだ。
ソウル中央地裁民事34部(キム・ジョンゴン裁判長)による原告勝訴判決が出た後、民事15部(ミン・ソンチョル裁判長)は、イ・ヨンスさんをはじめとする別の慰安婦被害者たちが日本政府を相手取って起こした損害賠償請求事件で、13日に予定されていた判決を延期した。この事件を担当しているイ弁護士は「裁判で十分に立証するとともに、裁判所側の提起した疑問点も整理して最大限提出した。にもかかわらず判決の2日前に突然弁論再開を通知してきたのは納得しがたい」と批判した。また「直前の判決が持つ意味は非常に重大なため、無視することは難しいはず」とし、肯定的な結果を期待した。原告のイ・ヨンスさんは「国がないために慰安所に連れて行かれた。なぜ今は国があるのに慰安婦問題をきちんと解決しないのか」と、もどかしい胸の内をよく吐露したという。日本政府の賠償責任を認めた韓国地裁の判断は、登場は遅れたものの意味は大きい。イ弁護士は「まだ解決しなければならない問題は多いが、(今回の判決は)司法府が柵を作って『ここにお入りなさい』『我々が保護します』と宣言した」と語った。