世界貿易機関(WTO)事務総長選挙の最終ラウンドが27日(現地時間)に終了するが、勝者が決まるまでは時間がかかる見通しだ。欧州連合(EU)がナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ元財務長官を支持することを決めたことで、韓国産業通商資源部のユ・ミョンヒ通商交渉本部長が劣勢に立たされたが、一方の圧倒的な勝利でない限り、候補に対する選好度分布によって結果が変わることもあるためだ。米国がユ候補を積極的に支持している点も影響を及ぼすものとみられる。
外交部によると、WTOが164の加盟国を相手に19日から進めてきた次期事務局長の選好度調査が27日(現地時間)午前0時で終了する。AFP通信など海外メディアは、EU加盟国が26日(現地時間)に行われた事務局長選挙に対する意見収集を経て、27日にオコンジョイウェアラ候補への支持を発表すると相次いで報じた。ハンガリーやスロバキアなど7カ国が最後までユ候補への支持を表明したが、EUが合意した意見を提出することにしたため、27票すべてがオコンジョイウェアラ候補に入ることになった。
韓国政府は、ユ候補が約70カ国の支持を確保したと見ている。これに先立ち、オコンジョイウェアラ候補は16日、マスコミへのブリーフィングで79カ国の支持を得たと主張したが、EU27カ国の支持を加えると過半数だ。
ユ候補が劣勢であることは明らかだが、選挙が終わったわけではないというのが韓国政府の立場だ。WTOの事務局長はコンセンサス(全体合意)で決まるが、単なる最多得票制では終わらないからだ。地域だけでなく、経済開発の程度によっても偏ることなく票を獲得したかどうかも作用する。
今回の選挙を管轄するデービッド・ウォーカーWTO一般理事会議長側は、最終選好度調査で一方の候補が圧倒的に優勢なら、支持率が低い候補の辞退を勧告することになる。しかし、得票数の差が大きくない場合には、票の分布図などを考慮してコンセンサスのための説得作業に乗り出す。ユ候補側も、このような状況では辞退しない方針だという。ウォーカー議長は、11月7日までにこのすべての過程を終わらせる意向を明らかにした。
ユ候補は、日本を除くアジア地域や中南米、アフリカ一の部、EU加盟国ではない欧州側の票など、多様な支持を確保した状態だという。特に、ドナルド・トランプ米政府が先週末頃からユ候補を積極的に支持しており、いくつかの国の支持も獲得したという。一方、オコンジョイウェアラ候補はアフリカとEUから票を得たものの、ユ候補ほど分布図が多様でないという分析もある。結局、今回の選挙は、27日までの選好度調査をもとに進められるコンセンサスの形成作業で、米国や中国などの主要国の支持度によって結果が分かれるものと見られる。
イ・ジェウン外交部副報道官は同日の定例ブリーフィングで「政府はまだ最終決定が出ていないため、最後まで最善を尽くすという方針のもと、政府レベルで努力している」と述べた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が同日、カナダのジャスティン・トルドー首相との電話会談でユ候補への支持を訴えるなど、外交部でも最後まで全力を尽くす方針だ。