「[速報]国家情報院“北朝鮮、キム・ヨジョンが委任統治”」。20日午後、1行の速報が流れた。その瞬間、世の中が沸きかえった。同僚記者はもちろん、知人からも問い合わせが殺到した。「どういうことか」「金正恩(キム・ジョンウン)に何かあったのか」…。4月に出回った「金正恩死亡説」ビラが再び団体チャットルームに登場した。「委任統治」という表現は、北朝鮮の最高指導者が実妹に国政全般の“統治権”を譲ったかのような印象を与えた。
「委任統治」という表現は、国家情報院がこの日国会の情報委員会に報告した内容だったことが確認された。国家情報院が“造った”用語だったわけだ。情報委員会の与野党幹事団は、「委任統治」という表現をそのまま記者団に伝え、その趣旨と意味を繰り返し説明した。説明を聞けば、キム・ヨジョンは北朝鮮で“事実上のNo.2”だが、統治権を譲り受けたのではなく、国家最高指導者は依然として金正恩国務委員長だ。彼の健康に異常があるという報告もない。ハプニングは終わった。
標準国語大辞典によれば、委任統治とは「国際連盟の規約による国家統治の一形式」であり、「第1次世界大戦以後に、英国やフランスなど国際連盟の委任を受けた先進国がドイツとトルコの旧植民地を統治」した行為だ。信託統治と似ている用語だ。
国家情報院が情報委員会に報告した北朝鮮の統治形態変化の顔ぶれを見ても、委任統治という表現は過度だ。金正恩は、複数の党幹部に対南・対米だけでなく経済、軍事などの各分野に対する管理・監督の役割を任せていると見られる。もちろん最終決定権は金正恩にある。責任分担、一部権限の分散、役割分担程度の表現ならまだしも、委任統治、統治権限の“委譲”という表現は的確でない。
国家情報院は、おそらく北朝鮮で金正日(キム・ジョンイル)時代とは異なる統治形態が現れていることを強調するために委任統治という表現を使ったようだ。しかし、情報機関は“事実”に厳正でなければならない。解釈は情報機関の役割ではない。今回の混乱は、「政治九段」と呼ばれたパク・チウォン院長の就任後初の国会報告で起きたことだ。過度な“味付け”で市民を混乱に陥れてはならない。