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中国外交公館まで閉鎖した米国、断交以外では最も強硬な措置

登録:2020-07-23 09:10 修正:2020-07-23 14:34
ヒューストン総領事館閉鎖命令 
米「施設閉鎖・人員撤収」を通告した日 
企業ハッキング疑惑の中国人2人を起訴も 
トランプの再選カード用「中国バッシング」との分析 
 
中国領事館の職員が文書を焼却するのを目撃 
武漢米領事館など報復閉鎖する可能性
米テキサス州ヒューストンの中国総領事館前で22日(現地時間)未明に火災が発生したとの通報を受けて駆けつけた消防車が止まっている。米政府が前日、ヒューストン総領事館の閉鎖命令を下した直後、領事館の職員らが文書を焼却し、建物の外に煙が出ている様子などが目撃された=ヒューストン/AP・聯合ニュース

 米国が22日(現地時間)、テキサス州ヒューストン駐在の中国総領事館の閉鎖命令を発表したことで、米国と中国の対決が予想を超えて激化している。外国公館の閉鎖は、外交関係を維持するという前提の下で打ち出される最も強力な措置の一つだ。中国政府は「とんでもない不当な措置」が撤回されなければ「必ず断固たる報復」に乗り出すと予告しており、米中関係は一寸先も予想できなくなった。

 中国外務省の発表と米国メディアの報道を総合すると、米国が中国側にヒューストン駐在総領事館の閉鎖を実際に通告したのは21日。米国務省は、24日午後4時までの72時間以内にヒューストン駐在総領事館のすべての活動を終了し、施設の閉鎖後に外交人員も撤収させるよう要求したという。「ヒューストン・クロニクル」などは「21日夜8時ごろから市内のモントローズ街に位置する中国総領事館の中庭で職員らが鉄製のゴミ箱数個に文書を入れて燃やす場面が目撃された」とし、「火災申告を受けて出動した消防隊員は総領事館内部に入ることができなかった」と伝えた。

 自国駐在の外国の外交公館の閉鎖措置は、一般的に当該国が自国の主権などの国益を深刻かつ著しく損なった場合に行われる。2017年、ロシアが米国外交官を追放すると、ドナルド・トランプ政権はサンフランシスコのロシア総領事館とワシントン所在の大使館付属ビル、ニューヨーク領事館付属ビルの計3カ所に対する閉鎖命令を下している。当時の米国とロシアは、2016年のロシアによる米大統領選介入疑惑で対立していた。つまり、ロシア領事館閉鎖の時に準ずるくらいの理由があってこそ、中国外交公館の閉鎖措置の正当性も国内外的に認められるということだ。

 米国務省はこの日、ヒューストン駐在中国総領事館閉鎖の理由を「米国の知的財産権と米国人の個人情報保護のため」と明らかにした。現在まで具体的な知的財産権の侵害などに関する内容は公開されていない。これと関連して、米政府が中国にヒューストン総領事館の閉鎖要求を伝えた21日に米法務省が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン開発に関する情報をはじめ、各種の企業情報を約10年間ハッキングしてきた疑いで中国人2人を起訴したと発表したことが注目される。

 ワシントン・ポストが入手して公開した起訴状には、彼らが中国の国家安全部(MSS)との連携の下、先端技術企業や製薬会社、反体制人物などを狙った広範囲なハッキングを行なってきたと書かれている。特に彼らは、新型コロナワクチンと治療薬、検査技術に関する研究をしていることで知られる生命工学企業などのネットワークの脆弱性についての調査を行なっていたと、起訴状は説明している。

 今回のヒューストン中国総領事館の閉鎖措置は、COVID-19拡散後、米中が事案ごとに衝突している状況で行なわれた。特に、支持率が下落しているトランプ大統領は3カ月ぶりにCOVID-19の再拡散を認め、ブリーフィングを再開した21日、「見えない中国ウイルス」という表現を使って再び中国を攻撃した。米国の政界では、早くからトランプ大統領にとって最善の再選カードは「中国バッシング」ということが予見されていた。

 「断固たる報復」を予告した中国が行う措置によっては、全世界に及ぼす影響は大きく変わるものとみられる。ロイター通信は、中国の1次的な対応として、湖北省武漢の米領事館の閉鎖を見通した。一部からは、昨年の送還法反対デモ当時、中国が「外国勢力介入の元凶」に挙げた香港駐在米国総領事館の閉鎖の可能性も指摘されている。中国外交省の汪文斌報道官が22日、定例会見で「米国は公館規模と外交人員の面で中国を圧倒する」と言及し、駐米中国大使館の外交人員の規模を超える駐中米国大使館の外交人員を追放する可能性も指摘されている。

 米国のヒューストン中国総領事館の閉鎖命令が伝えられると、米中対立が急激に増幅するという懸念の中、国際金融市場は乱高下した。オフショア市場での中国人民元の為替相場は、1ドル6.9641元から7.0019元へと高騰した。これと共に、欧州証券市場や米株価指数先物も下落傾向を見せた。

北京/チョン・インファン特派員、チョン・ウィギル、シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/954812.html韓国語原文入力:2020-07-23 07:39
訳C.M

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