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[ニュース分析]覇権戦争最前線の韓国経済…「報復に巻き込まれると衝撃は必至」

登録:2020-06-03 06:35 修正:2020-06-03 08:07
[米中紛争の経済的影響は?] 
香港関連の金融・サービス被害予想 
未来技術投資の“脱中国”動き続けば 
半導体や通信などチャンスになる可能性も 
業界「不確実性が最大の悪材料」と懸念示す
2018年6月9日、カナダのケベックで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議でドイツのアンゲラ・メルケル首相(左から3番目)など加盟国首脳がドナルド・トランプ(一番右)米大統領と共同声明の採択をめぐって討論している/AP・聯合ニュース

 貿易や金融など経済分野の全領域が米中の覇権争いの最前線となっている。ドナルド・トランプ米大統領が、中国の通信装備会社「華為(ファーウェイ)」を狙った制裁に続き、中国を排除するグローバル・サプライチェーンの構築を目標とする経済繁栄ネットワーク(EPN)の形成に力を入れる中、韓国経済も嵐の渦に巻き込まれていく格好だ。両国の対立が「反中国連帯」への参加か否かの岐路に立たされた韓国経済に及ぼす影響は少なくない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も今月1日、大統領府で主宰した第6回非常経済会議で「激化する自国中心主義と大国間の対立が韓国経済に少なからぬ負担」だと述べた。

 対外依存度の高い韓国経済で両国の比重は非常に高い。両国を合わせると、昨年の韓国輸出額の38.6%、輸入額の33.6%を占める。昨年、韓国の最大貿易国は中国で、輸出(1262億1300万ドル)と輸入(1072億2000万ドル)でいずれも1位を記録した。それに続く米国との貿易規模も輸出と輸入がそれぞれ733億4800万ドル、618億7200万ドルに達する。全体貿易収支だけを見ると、香港(310億3900万ドル、1位)、中国(289億9400万ドル、2位)、米国(114億7600万ドル、3位)など、現在対立の現場となっている地域が占める割合は絶対的だ。

 特に最近、米中の対立がピークを迎えるきっかけになった中国政府の香港国家安全法の強行は、韓国経済にとって大きな危険要素だ。産業研究院のキム・スドン通商政策室長は「米中対立の深化に伴い、国内産業が報復対象になれば短期的な影響は避けられない」とし、「最近の事態は香港と関連したもので、香港と取引が多い金融産業やサービス、物流運送分野に衝撃が予想される」と見通した。

 しかし世界経済で韓国が占める割合を考慮すると、両国の対立に一方的に振り回されることはないと見る専門家もいる。業種別に及ぼす影響が異なる可能性が高いということだ。高高度防衛ミサイル(THAAD)事態で経験したように、中国消費者の影響力が絶対的な流通産業は最も危険にさらされている業種といえる。ロッテホールディングスの関係者は「THAADの影響で、中国での事業を調整し、東南アジアへの進出を積極的に行ってきたが、そのような流れが当面続くだろう」としながらも、「中国は、事業進出より国内事業の免税店、デパートの主な消費者なので、国内産業への影響が心配だ」と話した。

 一方、半導体や通信装備など一部の業種では、国内企業の戦略的地位がむしろチャンスとして作用する可能性もあると見られている。匿名を求めた国策研究機関のある研究責任者は「トランプ政府がサムスンなどに対して中国企業への半導体供給中止を直接要求するよりは、サムスン側がリスク分散のために自主的な決定で動くだろう」と見通した。同関係者は「企業としては“脱中国”は避けられないが、これは従来中国に投資した施設の撤収よりは、未来技術や次世代半導体など10年後を見据えた投資を米国やベトナムなど中国ではない地域に移す形で現れる可能性が高い」とみている。

 にもかかわらず、不確実性が高まったという点で、業界全般が頭を悩ませている。国内半導体業界のある関係者は「(米国の主要7カ国会談の招待など)業界にとっては、米国と中国のどちらか一方に偏るのは得策ではないため、バランスを保つことが最も重要だ」とし、「これまでバランスを取ってきたが、会談でどんな発言が出るか、懸念される側面がある」と述べた。また別の半導体業界関係者も「企業にとっては不確定が最大の悪材料」だとしたうえで、「こうした状況で国内企業がしきりに言及されること自体が望ましくない」と述べた。

ク・ボングォン、ソンチェ・ギョンファ(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/947623.html韓国語原文入力:2020-06-02 21:36
訳H.J

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