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「非核化」という表現消した米国、「南北協力」強調

登録:2020-07-09 00:52 修正:2020-07-09 06:53
7~9日訪韓のビーガン代表、略式記者会見 
 
朝米サプライズ接触ない理由を説明 
「北朝鮮に会談要請していない」 
 
チェ・ソンヒ、ボルトン「古い考えにとらわれている」批判 
「私はトランプ・金正恩の指針に従う」と強調 
金正恩に「交渉相手を任命してほしい」遠回しに要請
スティーブン・ビーガン米国務副長官兼北朝鮮政策特別代表が8日午前、ソウルの外交部庁舎でイ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長との協議を終え、取材陣の質問に答えている=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 スティーブン・ビーガン米国務副長官兼北朝鮮政策特別代表が約半年ぶりに再び韓国を訪れ「米国は南北協力を強く支持する」とし「南北協力が朝鮮半島でより安定的な環境を作るための重要な要素になると信じている」と述べた。前向きな対北朝鮮メッセージはなかったものの、ビーガン代表が「非核化」よりも「南北協力」の重要性を強調したことからは、米国の微妙な態度の変化が感じとれる。

 7日に韓国に到着したビーガン代表は8日、外交部でのイ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長との北朝鮮核問題首席代表協議後に記者団に対し、「韓国が北朝鮮との南北協力目標を進展させようとしていることについて、韓国政府を全面的に支持」すると述べた。ビーガン代表がもたらす対北メッセージに「制裁緩和」などの実際に北朝鮮が要求する内容が盛り込まれるかどうかに関心が集まっていたが、破格のメッセージは見られなかった。ただ、この日のビーガン代表の発言は、米国政府がこれまで何度も「南北協力は絶対に非核化の進展と歩調を合わせなければならない」と強調してきたこととは異なる。ビーガン代表はこの日、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」や「最終的かつ完全に検証された非核化(FFVD)」といった表現を全く使わなかった。

 この日の記者会見でイ・ドフン本部長は「我々は現在の状況に照らして早い時期に(朝米)対話の扉をひらけるような方法について深く協議した」とし「ビーガン代表は、北朝鮮との対話再開時のバランスの取れた合意の実現に向け、柔軟な立場をとっているということを再確認した」と述べた。昨年2月に開かれたハノイでの朝米首脳会談は、米国が北朝鮮に寧辺(ヨンビョン)の核施設の完全な廃棄と、追加の非核化措置を要請しつつも、北朝鮮の制裁緩和要求は受け入れなかったため決裂した。イ本部長が伝えたビーガン代表の発言は、米国が今後の北朝鮮との交渉において一方的な非核化措置だけを要求することはないとの意志を明らかにしたものと読める。米国が「ニューヨークチャンネル」や水面下の接触を通じて北朝鮮に具体的な腹案を伝え、北朝鮮がこれに応えることで交渉が再開されるかがカギとなる。

 一方ビーガン代表は、先に北朝鮮外務省が談話を通じて「米国と向き合う考えはない」との意思を明らかにしたことについて、「北朝鮮には会談を要請していない」と強調した。米国が接触を提案してもいないのに、北朝鮮が強硬に対話拒否の意思を明らかにしたことに不快感を示したかたちだ。同氏はさらに、チェ・ソンヒ北朝鮮外務省第1次官と、最近、暴露的な回顧録を出したジョン・ボルトン前国家安保担当大統領補佐官に言及し、「私は彼らの指示は受けない」と述べた。ビーガン代表はこの日午後に在韓米国大使館を通じて別途発表した文章で「2人とも可能なことについて創意的に考えるのではなく、古い考え方にとらわれており、否定的で不可能なことにばかり焦点を当てている」と批判した。ビーガン代表は「私はこの2年間、トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長の間で行われた様々な会談の結果から指針を得る。彼らのビジョンが我々のチームの指針」だと語った。

 ビーガン代表はこの日、金正恩国務委員長が朝米実務協議を率いる適任者を新たに任命することを望むという立場も遠回しに明らかにした。同氏は「金委員長が交渉する準備ができており、権限のある人物を任命すれば、その瞬間に我々が(対話する)準備ができていることに気付くだろう」と述べた。

 ビーガン代表はこの日午前にカン・ギョンファ外交部長官を表敬訪問した後、チョ・セヨン第1次官と会談し、第8回韓米外交次官戦略対話を行った。この席で韓米は、合意に至っていない防衛費分担金交渉問題をはじめ、米国が推進する「主要7カ国(G7)」会議への参加国拡大問題などについて意見を交わした。

ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/952830.html韓国語原文入力:2020-07-08 17:46
訳D.K

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