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「退行的保守にはもう居場所がない」厳しい民意の警告状

登録:2020-04-17 06:17 修正:2020-04-18 09:06

未来統合党の記録的な惨敗の意味 
 
有権者に審判された「政権審判論」 
弾劾されても省察・方向転換なく 
退行的な理念政治に埋没し、信頼失う 
 
代案なしに極端な党派政治に埋没 
親朴系と非朴派の争いに場外闘争繰り返し 
中間層への支持拡大に向けた刷新には目を向けず 
 
太極旗勢力の顔色をうかがって常習的に暴言 
セウォル号に対する暴言・事後処理を見て民意は怒り 
中道層にも“どうしようもない勢力”という印象与える

キム・ジョンイン未来統合党総括選挙対策委員長が今月16日、国会で第21代国会議員選挙結果に関する記者会見を行なった後、席を発っている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 第21代総選挙で未来統合党は文在寅(ムン・ジェイン)政権に照準を合わせた「審判論」を掲げ、第1党の地位回復を狙った。しかし“野党審判”の激しい波に巻き込まれ、致命傷を負った。極端な主張を繰り返す守旧勢力に合わせた“退行的保守”では、もう居場所を見つけるのが難しいという厳しい警告状を突き付けられたわけだ。事実上の2大政党構図で行われた今回の選挙で、統合党は衛星政党の未来韓国党が得た比例代表19席を加え、103議席を獲得し、最大野党の地位を維持した。しかし、共に民主党と衛星政党の共に市民党が計180議席を獲得したことで、国会の主導権を完全に失うことになった。統合党は総選挙惨敗の責任を取ってファン・ギョアン代表が辞任したうえ、シム・ジェチョル院内代表ら最高委員の大半も落選し、指導部まで崩壊した。

 こうした保守の危機の原因としては、選挙戦略の骨組みだった「政権審判論」がまったく有権者を説得できなかった点があげられる。退行的な理念政治に埋没し、国民の信頼を得る代案勢力になる機会を自ら手放した結果だ。保守勢力は朴槿恵(パク・クネ)前大統領弾劾直後に行われた2017年の大統領選挙と2018年の地方選挙で完敗したが、省察と根本的な方向転換もなく、親朴・非朴の主導権争いに没頭していた。今回の総選挙を控え、統合を実現したものの、中道層に支持基盤を広げるための刷新の過程は見当たらなかった。しかも、ファン・ギョアン代表本人が朴槿恵政権の首相を務めた経歴を自らの政治的資本として活用した。弾劾までされた古い守旧勢力というレッテルに自らを閉じ込めたわけだ。

 理念的退行は経済的・政策的解決能力を備えた「市場経済保守」への進化さえ妨げた。ソウル大学のパク・ウォンホ教授は「保守の政治的ルーツを辿ってみると、『安保保守』と『市場経済保守』があるが、統合党は保守の本流である市場経済保守の代わりに反対方向の安保保守の方向に進んだ」と指摘した。パク教授は統合党の得票率が過去に保守陣営が得た支持率より10%ポイントほど低かったことについて、「有権者と政党間のつながりが弱まった」と分析した。安保保守を象徴するファン代表が、遅まきながら「市場保守」のキム・ジョンイン元議員を総括選挙対策委員長に迎え入れたが、科学反応による相乗効果ではなく、認識の違いのみ露呈したのが代表的な場面だ。

 自ら鮮明な政治的メッセージを生産できず、統合党は与党の政策と主張を無条件に拒否する極端な政争に突き進んだ。統合党はこの過程で、常習化した場外闘争を繰り返し、第20代国会を歴代最悪の機能不全に陥らせ、これは統合党が再び新しいもう一つの政治勢力に成長することを妨げた。慶南研究院のイ・グァンフ研究委員は「政権3年目に行われた総選挙なので、政権に対する中間評価にならざるを得ない構図だったが、有権者は政権審判を叫ぶ野党に果たして審判の資格があるのかを票で問いただした」と分析した。慶煕大学比較文化研究所学術研究のキム・マングォン教授も「統合党は保守を守ると言ってきたが、いざ保守の価値は何なのかについて、政策と立法を通じて内容を示すことができなかった。今の有権者は具体的なコンテンツがない政党に簡単には信頼を与えない」と述べた。

 さらに、終始“コンクリート支持層”の顔色を窺ったのも、惨敗の要因となった。チャ・ミョンジン候補の「セウォル号遺族に対する妄言」とその事後処理の過程が代表的な事例だ。首都圏で選挙運動をしていたある統合党の関係者は「チャ・ミョンジン候補の暴言が出た後、確実に地域住民の視線が変わった。『本当にどうしようもない』という印象を中道層に与えたようだ」と述べた。16日の開票結果を見ると、首都圏で5千票以内の差で勝負が分かれた選挙区が15カ所に達する。少なくとも、これらの選挙区の結果には暴言騒ぎが直接的な影響を及ぼしたという説明だ。

 イ・グァンフ研究委員は「結果的に2016年のろうそく集会以降、大統領選挙や地方選挙、総選挙を経て保守勢力が包囲される流れが現れていることが今回の総選挙で明らかになった」とし、「ただし改憲阻止ラインを守り抜いた大邱(テグ)・慶尚北道を中心に保守勢力が結集する場合、政治地形の二極化が長引く可能性もある」と指摘した。

ノ・ヒョヌン、イ・ジヘ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/937444.html韓国語原文入力:2020-04-17 02:31
訳H.J

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