新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態が長期化するにつれ、韓国社会が全国すべての学校で「オンラインでの始業」というさらなる実験を始めた。韓国政府は4月6日に一斉登校を始める代わり、史上初めてオンラインにおける全国小中高の始業を9日から順次施行することにした。COVID-19の影響で、韓国の教育が何の準備もなしに未来教育の出発線上に立つことになったのだ。
31日、ユ・ウンヘ社会副首相兼教育部長官は記者会見を行い、「9日の高校3年生、中学3年生を皮切りに、中学・高校1・2年生と小学4~6年生は16日、小学1~3年生は20日に『オンライン授業による新学期開始』を行う」と明らかにした。ユ副総理は「戦時中にもテント学校を運営した大韓民国の教育の歴史70年を振り返ると、学校を再開できずにいる現在の状況は史上初めてのことだと言っても過言ではない。様々な状況と環境が不十分で補完すべき課題が多いが、このような過程を通じて遠隔授業やオン・オフ未来型授業の実現、エデュテク技術と産業で最も革新的に発展する動力を持つものと期待している」と述べた。
1日から全ての学校と教師は本格的な遠隔授業の準備に入り、オンライン始業式後は遠隔授業が正規授業となる。幼稚園と保育園は登園始業基準が満たされるまで休園を延長することにした。
教育当局は登校再開の可能性も残している。ユ副首相は「登校開始日は明示しない代わり、今後の地域と学校の状況によってオンライン授業とオフライン授業を弾力的に並行する案も検討する」と述べた。ユ副首相は4月末頃ごろには同時進行が可能になると予想した。
2021学年度大学修学能力試験(修能、日本のセンター試験に当たる)は、当初の日程より2週間延期され、12月3日に行われることになった。随時選考の学校生活記録簿の作成締め切り日も8月31日から9月16日に調整された。長期間の始業延期で高校3年生たちの受験準備期間が足りなくなり、教師たちも進学相談期間が足りなくなったという懸念を反映した措置だ。
教育界はオンラインを通じた始業に納得しながらも、遠隔授業のインフラ構築のための支援と生徒間のデジタル・ディバイド(情報格差)を解消する特段の対策を要求した。全国教職員労働組合(全教組)と韓国教員団体総連合会(教総)などは同日、論評を発表し、「時期的に差し迫った状況で、Wi-Fiなど基礎的な準備もできていない学校現場に迅速な支援が行われるべきだ」と指摘した。また「オンライン授業がむしろ階層間、地域間の教育格差を招かないようにしなければならない」と補完策を求めた。
一方、オンラインを通じた始業が教師らに新しい挑戦であり機会になるという期待も高まっている。「良い教師運動」のキム・ヨンシク共同代表は「COVID-19によって教師たちが新たな授業方式を考えなければならない状況になった」とし、「遠隔授業が従来あまり試みたことのない『逆転の授業』(授業前に生徒が教師が提供する映像で予め勉強し、授業ではグループ活動、討論などを進める方式)など新しい教育への入り口になる可能性もある」と話した。