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遠隔授業の環境格差は大きく、教育不平等を助長する可能性も

登録:2020-04-01 06:42 修正:2020-04-01 11:27
教育部「オンラインで段階的に始業」発表 

遠隔授業に伴う混乱の最小化が急がれる 
韓国政府「早ければ4月末にも登校再開」 

地域別の感染状況などを見ながら、 
学年・学級別の登校日を分ける見込み 
しばらくは遠隔授業と並行する可能性も
教師のキム・ヒョンスさんが3月30日午前、ソウル松坡区巨餘洞の永豊小学校6年3組の教室で、グーグル・クラスルームを通じて生徒たちと遠隔授業を行っている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 31日に教育部が発表したオンラインを通じた始業日程を見ると、高校3年生と中学3年生は9日から、高校1・2年生と中学1・2年生、小学4~6年生は16日から、小学1~3年生は20日から学事日程を開始する。十分な事前準備もなく、遠隔授業を始めることになるため、当分の間は学校での混乱が少なくないものとみられる。デジタル学習環境による格差が拡大する恐れもある。今後、登校再開は全国すべての学校で同時に行う代わりに、地域別の状況によって一部から先に始め、遠隔授業と並行する可能性が高い。

 段階的なオンラインを通じた始業方案により、始業日によって減らさなければならない授業日数はそれぞれ変わることになる。すべての学校は、過去3回の始業延期期間で法定授業日数190日のうち10日を減らした状態だ。9日に授業が開始される高3と中3はさらに3日間休校しなければならず、今年減る授業日数が13日に増える。また、16日から授業が始まる高1・2、中1・2、小4~6はさらに7日間休校するため17日短縮、20日に授業が始まる小1~3は9日さらに休校するため19日短縮しなければならない。このような差は、学事日程の緊急性と遠隔授業適用の実効性を考えた結果だ。小学校低学年の場合、パソコンやスマート機器などを利用した遠隔学習が容易ではないという指摘が多かったが、高校生は遠隔授業に慣れている反面、入試など学事日程が確定しなかったことによる不安が大きかった。

2020年度における段階的オンラインを通じた始業の概要//ハンギョレ新聞社

 全ての学校と教師らは1日から、教員自主研修やプラットフォーム選定など、遠隔授業の開始に向けた準備に取り掛かる。遠隔授業に使うプラットフォームとコンテンツは学校ごと、教師ごとに自主的に選択できる。始業日から2日間は教師と生徒が遠隔授業の道具を活用する方法を学び、オンライン始業式を開くなど“適応期間”を設ける。遠隔授業は正規授業と認められるため、出席授業分の授業量を確保しなければならない。そのため、遠隔授業も出席授業のように、それなりの時間割に合わせて行われる見通しだ。

 教育部は「遠隔教育準備・点検チーム」を設置し、遠隔授業の現場定着を支援する方針だ。e学習場・オンラインクラスのようなシステム点検をはじめ、手語提供や巡回教育の実施など障害生徒のための基盤構築などに取り組む予定だ。全国490カ所の遠隔授業モデル学校の運営で優秀事例を発掘し、教師らと「1万コミュニティ」を作って意見を交わすなど、教員の力量強化にも乗り出すと発表した。

 しっかりした準備もなく、“苦肉の策”として実施する遠隔授業であるだけに、懸念も高まっている。学校別、生徒別、教師別に遠隔授業を実施する環境と能力の差が直ちに教育不平等につながる可能性もある。小学校低学年の場合には遠隔授業の進行自体が可能なのか、また子どもが長時間スマート機器などに露出するのが適切なのかなどの疑問を呈する専門家もいる。これについて教育部は「教師が家庭訪問をするとか、学習誌を郵便配達してそれをまた受け取って点検し、電子メールと電話を通じて確認するなど、多様な方式を考慮している」と述べた。

 結果的に遠隔授業の長期化は困難だということになれば、登校再開の時期に関心が集まっている。教育部は同日、「今後の地域ごとの感染症の進行状況と学校環境を考慮し、遠隔授業と出席授業の並行など弾力的な学事運営案を検討する」と明らかにした。今後、地域別、学校別、学級別に状況を見て出席授業を始め、これを次第に増やしていくということだ。密集度が高い学校の特性上、学校内では「社会的に距離を置くこと」(ソーシャル・ディスタンシング)が難しいという指摘が多かったが、学年別に分けるか、3分の1ずつ登校する方式で生徒を分けて密集度を下げれば、出席授業をもう少し繰り上げることができるという見通しもある。ユ・ウンヘ社会副首相兼教育部長官は同日、出席授業の並行が可能になる時期について「4月末からは可能になるかも知れないと予想はしている」と述べた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が比較的に少ない地域で、先に並行授業を開始する可能性もある。

チェ・ウォンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/935120.html韓国語原文入力:2020-04-01 02:13
訳H.J

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