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[社説]史上初の「オンライン始業」はデジタル格差克服がカギだ

登録:2020-03-31 23:21 修正:2020-04-01 17:24
自宅でインターネット講義で自習する高校生。31日、韓国政府は新型コロナ拡散予防のために初の全国小中高校「オンライン始業」計画を発表した=ソウル市/キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が全国の小・中・高校で史上初の「オンライン始業」を9日から順次実施することを決めた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による危機警報が相変らず「深刻」の段階という状況で、6日の登校始業に対する専門家と保護者の心配を聞きながらも、課程の進行と学習の空白解消のための避けられない決定と思える。

 教育部は31日、遠隔授業の運営方式、不足している学習道具やサーバー確保の対策を表明した。保護者は子どもたちの健康のために仕方ない選択ということに同意しながらも、不安は残っている。初めて行われる遠隔の正規授業のうえに、30日に公開された模擬授業の現場で大小のトラブルが起きたためだ。外部要因で決定された初めてのオンラインによる始業なので、準備時間はどうしても足りない。教育部と各市・道教育庁は混乱を減らすために全力を尽くさなければならない。

2020年度における段階的オンラインを通じた始業の概要//ハンギョレ新聞社

 それでなくとも何よりも所得層や地域による教育格差が深刻化している現実のもと、遠隔授業が子どもたちの間のデジタル格差まで広げてしまってはならない。教育部はスマート機器を所有していないと把握された17万人の生徒児童にもれなく機器とインターネットの接続環境を提供しなければならない。また、授業の進度について行けない子どもや機器の使用が困難な障害のある子、集中力が落ちる小学生に対する体系的な管理と教師の配慮もきめ細かくなされなければならない。そうでなければ彼らにとってオンライン授業は無用の長物になる。「社会的距離置き」の原則を破らない範囲で積極的に面倒をみるサービスも提供する必要がある。教育部がそのために視覚・聴覚障害や発達障害の子どものための支援策を打ち出したことは幸いだ。

 これを機に、教育部は今回のオンライン始業を単純な応急策でなく、オンライン教育の体系化の契機にすることを望む。正規就業で韓国内の学校のデジタル機器の活用度は経済協力開発機構(OECD)の加盟国のうち最下位圏だ。情報通信技術(IT)発達国という評価が無意味になる。ユ・ウンヘ社会副首相兼教育部長官が「慣れ親しんだ教室授業の代案を模索しなければならない今こそが、新しい想像力と勇気を発揮して学校教育の未来を切り開く時だ」と述べたことは時期に合っている。多くの教師たちが新しく過重な業務にあっても、今回のオンライン始業を新しい教育方法の始まりとして受け入れるというのはありがたい。足元の火を消しながらも「百年の計」を共に考えて行かねばならない重大な岐路だ。教育界が危機解決以上の想像力と勇気を発揮するよう願う。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/935058.html登録:2020/03/31 18:16 
訳T.W

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