学校で
机の間隔を広げ、給食時間を分散
午前-午後クラス・隔日制登校も検討
職場で
「具合が悪くても出席」は美徳ではなく迷惑
在宅勤務・時差通勤を最大限活用
病院で
慢性疾患者が病院を避ける? 電話処方を利用して
風邪気味のときは家で数日経過をみる
日常生活で
教会・スーパーなどの密閉空間に行くのは自制を
感染者は4月15日の総選挙で「郵便投票」可能
1月20日、韓国国内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初の患者が発生してから2カ月が過ぎた。中国の武漢から国内に流入し始めたCOVID-19は、新天地イエス教大邱教会を中心に爆発的に増加したが、現在は「世界的な大流行」(パンデミック)で逆流入の憂慮があるとともに、全国各地の散発的集団感染が警戒されている状況だ。19日午前0時基準で国内累積確認者は8565人、死者は93人。
韓国の防疫対応は先月中旬以降、空港・港湾でウイルスの流入を防いだ方式から、「社会的に距離を置く」ことに全国民の参加を誘導する方式に変わった。これは先月18日に31人目の患者が出た後、地域社会の感染が本格化した時期と重なる。始業延期、在宅勤務、行事・集会の自制などに見られる「社会的距離置き」は、先月22日に大韓感染学会など汎学界のCOVID-19対策委員会が「感染者の発見と接触者の隔離など遮断中心の『封鎖戦略』から、地域社会拡散を遅らせる『緩和戦略』の方向に転換すべき時期」とした対政府・国民勧告案を発表したことで注目された。防疫当局も1週間後の29日、これを公式化し、本格的な国民向け実践につなげてきた。その間、幼稚園と小中高校は3回始業を遅らせ、在宅勤務が拡散すると同時に会食は姿を消し、街は閑散とした。
その後、1カ月近くにわたり「社会的距離置き」が続き、人々は疲労感を訴えているが、伝染力の高いCOVID-19の特性上、緊張感を緩めず日常の各所で「生活防疫」を実践すべきだと防疫当局と専門家は助言する。「ゴミの分別収集をするように」(クォン・ジュヌク中央防疫対策本部副本部長)生活の中での防疫が習慣として根付くべきだということだ。クォン副本部長は19日、「(20日で、韓国内での)初の流入事例が発生してからちょうど2カ月」だとし、「国民の皆さんは個人衛生ルール、社会的距離置きによりいっそう邁進してほしい」と訴えた。防疫の「ニューノーマル」(新しい標準)時代、手洗いと咳のエチケットのほかにも「生活の基本値」とすべき生活の中のルールをまとめた。
■学校
コールセンターなどハイリスク事業場を中心に改善中の「距離置き環境作り」は、学校でも施行される予定だ。密集度の高い学校がCOVID-19の地域社会の主要な感染源になりかねないという懸念のためだ。教育部はひとまず、各市・道教育庁と協議し、4月6日に予定された始業日までに教室の机を再配置し、生徒と生徒の間の距離を最大限広げる計画だ。給食も向かい合って食べずに一列に座って食事し、食事の時間帯を分けて生徒が分散できるようにする方針だ。
午前-午後クラスや隔日制登校も検討される。防疫当局が勧告する「2メートル距離置き」が可能なほど教室の空間が広くないという理由からだ。仁川医療院感染内科のキム・ジニョン課長は「午前-午後クラスは交代時間に混雑し、消毒が難しい」とし、「隔日制案の方がよい」と話した。給食の場合、大型給食室に移動する代わりにクラス別給食にしようという提案も出ている。専門家はCOVID-19事態をきっかけに、無条件で登校を美徳とする学校文化を変えなければならないと口をそろえる。盆唐(プンダン)ソウル大学病院のキム・ホンビン教授(感染内科)は「米国の学校は生徒が具合が悪くなった場合、他の生徒にうつるかもしれないので登校させない」とし、「COVID-19の長期化に備えるためには、具合が悪ければ学校に行かずに家で休む文化が定着すれば意図しない感染拡散を防ぐことができる」と述べた。
■職場
職場では従来実施されている在宅勤務や時差通勤制などを最大限活用し、室内の密集度を下げるのを維持しなければならない。防疫当局は、在宅勤務が難しければ勤務場所内での「社会的距離置き」に努力すべきだと強調する。業務のコミュニケーションの活性化などを理由に、ここ数年はオフィスの席の間にある仕切りをなくしたり、指定の自分のデスクがない“フリーアドレス”が流行したりもしたが、感染予防の次元では良くない。仕切りがなければ唾液が飛びやすく、デスクを共有すれば机の表面などを通じて多くの人のウイルスに接触しやすくなるためだ。
飛沫(唾)が混ざりやすいため、会食もなるべく控える必要がある。「具合が悪くても出席する」を美徳とする職場文化も変わらなければならない。「具合が悪くても出席する」という文化は韓国社会で誠実さの尺度だったが、感染病が広がる状況では共同体にとって危害になる恐れがあるためだ。
■病院
軽い風邪気味なら家で数日経過をみる方が良い。糖尿・高血圧など慢性疾患があれば電話の処方も考えられる。呼吸器患者の動線を分離した国民安心病院の利用も可能だ。だからといって、感染を恐れて対面診療の必要があるのに無条件で病院を避けるのは望ましくない。高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は「感染の心配から既存の疾患を管理せずにいて陽性判定が出た場合、症状がさらに悪化する可能性がある」と助言する。
患者でない人の病院の出入りを減らすのが、感染管理にはるかに重要だという指摘が出ている。現在、療養病院は防疫当局の指針によって面会が全面制限されているが、他の病院も以前より厳しく出入り統制を行っている。ソウル大学病院は、入院患者の面会を出入り証を保有する保護者1人に制限し、他の主要病院も出入り口で海外旅行歴の確認や発熱検査などを実施して出入りを統制している。チェ教授は「2015年のMERSの際、しばらく見舞いの文化が中断されて期待があったが、結局定着しなかった」とし、「外部感染の流入があり得る不必要な見舞いや面会などは最小限にとどめた方が良い」と述べた。患者同士の交差感染を予防するため、病院内で既存の入院患者と呼吸器患者の病床を分離する作業も必要だ。
■日常生活
宗教生活は当分の間はオンライン礼拝などを維持し、できるだけ多くの人が集まる場所には行かないほうがいい。避けられない場合なら、礼拝やミサの時でも必ずマスクをつけ、他の人と1~2メートル以上離れた状態を維持した方が良い。行事が終わった後、数人が集まって手で食べ物を分けて食べる行為も避けた方が良い。一つの空間にたくさんの人が集まる日曜学校や勉強会も控えた方が良い。
4月の総選挙が近づく中、多くの人が集まる投票所ではどのように対処すべきか。米国疾病統制予防センター(CDC)は選挙管理当局に、可能であれば「郵便投票」を奨励するよう勧告している。投票量の少ない時間を有権者に知らせ、投票所の間隔を最大限広げて設置するのも方法だ。4月の総選挙を控え、中央選挙管理委員会は、投票所の入口に発熱チェックを担当する職員と待機間隔を調整する要員の配置▽有症患者のための臨時記票所の設置▽記票用具などの周期的な消毒▽使い捨て手袋の配備など、感染予防対策を講じている。COVID-19感染者は居所投票申告期間(24~28日)に郵便投票をすることができる。
買い物にも要領がいる。仁川医療院感染内科のキム・ジニョン課長は「大型スーパーは密閉された空間であり、人が多くて距離の維持がうまくできない」とし、「売り場の適正人数を決めておき、超過する場合は外部に列を作って順次入場させるなどの努力も必要だ」と述べた。