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ファン・ギョアン自由韓国党代表が7日午後、ソウル市永登浦の党本部で記者会見を開き、4・15総選挙でソウル鍾路からの出馬を宣言している//ハンギョレ新聞社

　総選挙に出馬する地域をめぐって熟考を重ねてきた自由韓国党のファン・ギョアン代表が7日、ソウル鍾路区(チョンノグ)からの出馬を宣言した。李洛淵(イ・ナギョン)前首相との大統領選候補の好感度1、2位同士の直接対決が実現したかたちだ。「鐘路でなければ出馬するな」という党内外からの圧力に「押し出されるように」行なった出馬宣言だが、紆余曲折の末に実現した「ビッグマッチ」に対する期待に、4月の総選挙に対する有権者たちの関心も熱くなりそうな雰囲気だ。

　ファン代表は7日午後、ソウル永登浦(ヨンドゥンポ)の党本部で記者会見を開き、「文在寅(ムン・ジェイン)政権を審判すべきという民意を鐘路からソウル、首都圏そして全国に拡大させていく」と述べた。ファン代表の鍾路出馬宣言は先月3日に「ソウルの当選困難区からの出馬」を公言してから36日ぶりに出た。ファン代表は「千尋の谷の上に立った心情でここに立っている。決定過程では慎重だったが、決定した以上、雄牛のように最後まで進んでいく」と戦意を固めた。

　この日、ファン代表が会見で最もよく口にした言葉は「文在寅政権審判」だった。彼は記者たちとの質疑応答で、「鐘路で勝とうとする相手は文在寅政権だ。ただの一対一の競争ではなく文政権と私ファン・ギョアンとの戦い」と強調した。自身の鍾路への出馬を「次期有力候補同士の大統領選挙の前哨戦」ではなく、「政権審判のための野党第一党代表の犠牲的決断」「現行の権力と代案勢力の対決」と意味づけようという意図だ。しかしファン代表のこの日の宣言は、敗北を憂慮して大物との直接対決を回避しようとしたものの、党内外の圧力に押されて出師の票を投げつけたという印象をぬぐい切れない。

　実際、ファン代表をめぐる状況は近ごろ急激に悪化している。首都圏での出馬要求を受けてきたホン・ジュンピョ元代表は慶尚道地域での出馬に固執し、「現代表は花ぞうりを履かせて陽地に送り、元代表は草鞋を履かせて死地に送るのか」と冷やかしてさえいる。朝鮮日報などの保守メディアもファン代表に鍾路出馬を迫った。結局、党の公認管理委員会内では、刷新公認より先にファン代表の去就について結論を出すべきという見解が力を得た。挙句の果てに無所属のイ・ジョンヒョン議員が4日に奇襲的に鍾路への出馬を宣言し、保守統合のパートナーである新しい保守党のユ・スンミン議員がソウルの当選困難区から出馬する可能性まで伝わってきた。これ以上引き延ばせば「大統領候補ファン・ギョアン」のイメージが回復できない致命傷を負うところだった。

　ファン代表の出馬決定に党内は「時機は逸したが、良かった」という雰囲気だ。政権与党の相次ぐ失策にもかかわらず、なかなか状況を反転させることができていなかった保守野党に反撃の弾みがついたということだ。首都圏のある韓国党議員は「野党第一党の代表がここに出馬して苦難を甘受する姿を見せるだけでも、選挙全体に意味のある変数を生み出すことになる」と述べた。ファン代表の側近たちは、揺らいでいたリーダーシップを立て直す機会になるだろうと期待を示している。ある重鎮議員は「身を殺して仁を成す勇断を下したファン代表に誰が敢えて石を投げつけようか。慶尚道地域の入れ替えにも弾みがついた」と評価した。

　もちろん、最近の世論調査の数値が示す民意はファン代表にとって甘くはない。SBSが世論調査機関イプソスに委託し、先月28～30日に鍾路区の有権者500人を対象に実施され、2日に発表された世論調査の結果によると、イ前首相とファン代表の仮想対決において、イ前首相は53.2％の支持率を記録し、26.0％に止まったファン代表を「ダブルスコア」でリードしている(詳しい内容は、中央選挙世論調査審議委員会ホームページwww.nesdc.go.kr参照)。

　ただし専門家は、実際に選挙戦に入れば世論調査ほど格差は広がらないと予想する。「トモア」のユン・テゴン政治分析室長は「第20代総選挙で圧勝したと言われるチョン・セギュン首相の得票率も52.6％ほどだった。実際の選挙では、一方が圧倒的にリードすることはできないだろう。選挙が本格化すれば、反文在寅勢力がファン代表側に結集することになる」と予測する。韓国党のある議員も「過去の選挙結果と有権者の状況を見ると、決して保守側に不利な地域ではない。負けても大義名分ができるという点からも鐘路はファン代表にとって最善の選択」と述べた。

　ファン代表の出馬宣言についてイ前首相は立場を表明し、「鐘路と大韓民国の未来のための善意の競争を期待する」と述べた。