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チョ・グク前長官の調査のみを残した検察…公職者倫理法を超え賄賂罪の適用は可能か

登録:2019-11-04 09:22 修正:2019-11-04 12:06
チョン・ギョンシム教授の株式の直接投資を知っていたか 
「特別な財産上の利益」を得たかどうかを立証しなければならず 
賄賂罪と未公開情報利用、法理的に相反するという指摘も
チョ・グク前法務部長官が先月8日午後、京畿道果川市の政府果川庁舎法務部のブリーフィングルームで「国民と検察がともにする検察改革推進計画」を発表している=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 検察が8月27日の家宅捜索でチョ・グク前法務部長官関連の強制捜査を始めて以来、チョ前長官の5親等の甥・弟・妻が拘束された。チョ前長官本人への事情聴取だけを残している中、検察がチョ前長官に「賄賂罪」を適用できるかどうかが注目される。賄賂罪が適用される場合、疑惑は「権力型不正」に飛び火する可能性もあるからだ。

 賄賂罪を適用するためには、検察はまずチョ前長官が株式買入の事実を知っていたかどうかを立証しなければならない。検察は、チョ前長官の妻であるチョン・ギョンシム東洋大学教授が2次電池メーカーのWUFMの株式12万株(一株当たり5000ウォン、計6億ウォンの価値)を買い入れた2018年1月、チョ前長官がチョン教授の口座に5000万ウォンを入金した事実に注目している。チョ前長官は当時、大統領府民情首席であり、5000万ウォンは大統領府近くの現金自動支払機(ATM)から振り込まれた。チョ前長官が当時株式購入の事実を知っていたなら、高位公職者と配偶者、直系尊属・卑属などの「直接投資」を禁止した公職者倫理法(14条4項)違反に該当しうる。

 チョン教授がWUFMの株を時価より安く買い付け、不当産の「財産上の利益」を得たかどうかも重要だ。一部ではチョン教授が相場より2000ウォン程安い一株当たり5000ウォンの価格で12万株を場外で買い入れたため、2億4000万ウォンの財産上の利益を得たという主張が出ている。ある次長検事出身の弁護士は、「価格が上昇すると予想される株を安値で買い付けた機会を得たこと自体を賄賂とみなければならない」と主張した。

 しかし、2018年1月当時、チョン教授のほかにも多くの人がWUFMの株を一株当たり5000ウォンで買い入れたため、チョン教授が特別な利益を得たと見るのは難しいという声もある。WUFMの金融監督院の公示内容によると、2018年1月に私募ファンド運用会社のコリンク・プライベート・エクイティ(コリンク)とWUFMのW元代表などは、5親等の甥のC氏の妻、J氏、「JIN XX」(中国名と推定)などに一株当たり5000ウォンでWUFMの株を場外で売り渡した。2018年4月にはコリンクが18人の個人や法人に一株当たり5000ウォンでWUFM株を場外で売り渡した内訳も見受けられる。また、2018年1月にWUFMが発行した転換社債の価格も、一株当たり5041ウォンであり、「5千ウォン」が特別に安価だったのかについての疑問が提起されている状況だ。

 ある金融訴訟専門弁護士は「賄賂罪が成立するにはチョン教授に財産上の利益を与えるため特別に安くしたということが立証されなければならない」とし、「当時多くの主体がWUFMの株を5000ウォンで買い入れたなら、チョン教授側の立場では『その頃買った人は皆その価格で買った」と主張する余地が生じる」と話した。

 一方、チョ前長官の「賄賂罪」適用とチョン教授にすでに適用した「資本市場法上未公開情報の利用」が相反するという指摘もある。未公開情報は、売り手が知らない好材料性の情報を買い手が知って買う欺瞞的取引の場合に成立する。しかし、賄賂罪が成立するためには売り手が買い手に「財産上の利益」を与えるためにわざと株を安い価格で売らなければならない。法理的に両方が同時に成立するのは難しい構造ということだ。

イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/915592.html韓国語原文入力:2019-11-04 02:41
訳C.M

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