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チョ・グク事態を見つめる目、86世代と若者で異なる理由

登録:2019-10-29 09:41 修正:2019-10-29 12:16
[チョ・グク、その後]再び問題は不平等だ 
86世代の代表ランナーであるチョ・グクへの攻撃は 
「民主化の成果に対する否定」と感じ 
同世代らが主導的に盾の役割を努める一方、 
若者たちは階級的剥奪感に絶望
民主労総、参与連帯など市民社会団体の会員らが28日午後、ソウル鍾路区光化門広場で「朴槿恵前大統領弾劾」ろうそく革命3年に際しての立場表明記者会見を開き、積弊清算とろうそく大改革を求めている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 「チョ・グク政局」は「世代問題」を再び論争の前面に引き上げた。注目すべき点は、チョ・グク政局を前後に提起された世代言説は「386」または「586」と呼ばれた特定世代(80年代に民主化運動に関わった60年代生まれ)に集中していたという点だ。ここには、チョ・グクという人物がこの世代の代表ランナーとして認識されたという点、道徳的誹謗と批判に包まれた彼を率先して擁護したのも大半が同世代に属する人々だったという事実が複合的に作用した。

 「社会の軋轢の軸は世代か、階級か」というのは長年の論争の種だ。社会科学者たちは概して世代よりは階級に重きを置く傾向にある。世代というアイデンティティは自我形成期の文化環境と青年期の集団経験のような主観的要素に影響されるが、階級のアイデンティティは経済的境遇と利害関係という客観的要因によって規定されるからだ。

 8月初めに出版された西江大学のイ・チョルスン教授の本『不平等の世代』は、韓国社会の不平等序列構造の頂点に86世代がいるという論争的な主張で注目された。同書の論旨は、チョ・グク政局が本格化したことで保守言論の格別の関心を集めた。中央日報は「386の国、大韓民国」という7回にわたる企画シリーズを連載し、イ教授の論旨を積極的に引用した。86世代が政治圏はもちろん企業、関係、文化、教育界など社会の全領域にわたって特有の人的ネットワークをベースに強固な既得権の城砦を築いたというのが、企画の中核をなす主張だった。イ教授の考えを尋ねたところ、「チョ・グク事態に関するものなら沈黙を守る。本とチョ・グクを結びつける多くの試みや解釈に対しても沈黙する」という返答だけが返ってきた。

 しかし、チョ・グク政局を経て、イ教授の論旨は20~30代はもちろん、同じ86グループの中でも一定の共感を形成したのは事実だ。「社会学者として世代論に批判的」と語る翰林大学のチョ・ヒョングン教授は、「チョ・グク事態を見つめる視点に世代別の感受性の違いがはっきり現れた。世代の経験が86世代と今の20~30代でははっきり違うようだ」とした。

 チョ教授が見るところ、学生運動を直接・間接的に経験した86世代はチョ・グクが攻撃されるのを「民主化の成果そのものが否定される」状況として受けとめた。彼らが検察改革という「一般の民主主義的な」要求に熱く反応したのも、これと無関係ではなかった。一方、20~30代がチョ・グク政局で切実に感じたのは階級的剥奪感だった。制度的民主化がある程度実現した時期に青年期を送った彼らとしては、「民主改革」という抽象的な議題よりも、自分たちが直面した社会経済的脆弱性に一次的な関心を傾けるほかなかったということだ。

 実際フェイスブックでは、政治性向が「汎進歩」に属していても、1980年代に大学に通った50代以上と1990年代以降に生まれた20~30代の反応は明確に分かれた。前者の集団がチョ・グクを「理解」し「防御」しようとする傾向が目立ったとすれば、後者の集団はチョ・グクはもちろん、彼を擁護する50代についても概して冷笑的だった。

 世代による違いを示すこのような流れは、世論調査でも確認できる。韓国ギャラップが9月17~19日に実施した定期世論調査で、チョ・グク法務部長官の任命に対する賛成世論は50代(41%)が20代(30%)より10%ほど多かった。20代がチョ・グク長官任命に賛成する世論が同じ年齢の文在寅(ムン・ジェイン)大統領国政支持率(38%)より低かったという点も興味深い。文大統領を支持する20代でもチョ・グク長官任命に反対した割合がかなりあったという話だ。

 ただ、チョ・グク政局をきっかけに強まった保守メディアの「86世代叩き」には、明白な政治的意図があるという指摘も出ている。チョ・ヒョングン教授は「40代を経て50代となり、86世代もシステムの一部となったのは事実だが、全ての不平等が86世代のせいで生じたという主張は牽強付会(無理なこじつけ)だ。彼らの意図は20代と86世代を反目させて『ろうそく同盟』に象徴される『20~50代の有権者連合』を崩壊させること」だと述べる。中央大学のシン・ジヌク教授は、「世代論のわな」を警戒する。彼は「わずか数年前には進歩と保守の間を行き来していたIMF世代が今最も進歩的な30代であるという点に注目しなければならない」とする。特定の年齢集団のアイデンティティは、時間の流れと地位の変化によって動くものであり、一つの性向に固定されるものではないということだ。

イ・セヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/914935.html韓国語原文入力:2019-10-29 07:23
訳C.M

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