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李洛淵・安倍「韓日関係の難しい状況を放置できない」

登録:2019-10-24 21:08 修正:2019-10-25 07:50
両国首相、21分間の会談で共感 
「外交当局、疎通・民間交流」強調 
強制動員見解の溝は埋まらなかったが 
高位級対話の復元、転換点を設ける 
文大統領の親書を安倍首相に伝達
李洛淵首相(左)が24日午前、東京の首相官邸で安倍晋三首相に会い握手している//ハンギョレ新聞社

 李洛淵(イ・ナギョン)首相と日本の安倍晋三首相が24日会い、韓日関係の難しい状況を放置することはできないと意見を集約した。日帝強制動員賠償判決に対する両国の見解の溝は埋まらなかったが、「高位級対話の復元」を通じて最悪へと突き進んでいた両国関係を改善する転換点を設けたと評価される。

 天皇即位式出席のために日本を訪問した李洛淵首相は24日午前、東京都千代田区の首相官邸で安倍首相と21分間にわたり会談した。当初の面談時間は10分程度だったが、これを越えて話を交わし、李首相は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の親書を安倍首相に渡した。チョ・セヨン外交部1次官は会談後「韓日関係に関し両首相は、両国は重要な近隣諸国として韓日関係の難しい状況をこのまま放置できないという認識を共にした。また、両首相は難しい状況であるほど、両国間の青少年交流を含む民間交流が重要だということにも意見を共にした」と明らかにした。チョ次官は「両首相が北朝鮮問題と関連して、韓日、韓米日の共助が重要ということにも認識を共にした。李首相は、両国の外交当局間の対話を含む多様な疎通と交流を促進していくことを求め、安倍首相は問題解決のための外交当局間のコミュニケーションを継続していこうと応じた」と説明した。

 日本の外務省もこの日、安倍首相が李首相に「日韓両国は互いに重要な隣国であり、北朝鮮問題を始め日韓、日韓米の連係はきわめて重要だ。(韓日間の)問題解決のための外交当局間のコミュニケーションを継続しようと話した」と発表した。安倍首相は、文在寅大統領と李首相の台風ハギビス(19号)被害を慰労するメッセージに対して感謝の気持ちも明らかにしたという。

 だが、日帝強制動員賠償問題に関して両国は立場の溝が埋まっていないことを表わした。安倍首相は「国家間の約束は守らなければならない」と話し、1965年の請求権協定を通じて賠償問題が一段落ついているとの立場を繰り返した。これに対して李首相は「日本がそうしたように、韓国も1965年の韓日基本関係条約と請求権協定を尊重し遵守してきたし、今後もそうするだろう」としながら「今回も韓日両国が知恵を集めて難関を克服して行くことができると信じる」と話した。賠償問題は終わったことではなく、協議が必要な問題であることを強調したわけだ。ただし短時間の会談なので、賠償に対する具体的な話はなかったという。

 代わりに李首相は会談で文大統領の親書を渡すことにより、梗塞した韓日関係を対話で解こうという韓国政府の意志を知らせた。韓国政府の高位関係者は「親書には、両国間の懸案について早期に解決できるよう互いに関心を持って努力しようとの趣旨が込められた」として「ただし、首脳会談を具体的にいつしようとか、そのような形の提案はなかった」と話した。

 韓国政府は、今回の李首相の訪日で昨年10月の最高裁(大法院)強制徴用賠償判決、7月の日本による輸出規制措置、8月の韓国政府によるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)終了決定などで急速に悪化した韓日関係をひとまず落ち着かせる“分岐点”を用意したと見ている。李首相は会談後「今まで間欠的につながっていた外交当局間の非公開対話が、今後は公式化されたと受けとめている。今後はもうすこし速度を上げられることを期待する」と評価した。韓国政府の高位関係者も東京現地で記者たちと会い、「これまでは道(疎通チャンネル)が整理されない状況であったが、道ができれば対話と協議はもう少し速度が上がると思う」と話した。

 専門家たちは、関係改善の踏み台を設けた点を肯定的に見ながらも、まだ先は遠いと展望した。国家安保戦略研究院のキム・スクヒョン対外戦略研究室長は「昨年10月の最高裁判決以後、約1年ぶりに開かれた韓日高位級会談で、韓日関係がひとまず息を整えて首脳会談に進める段階的モメンタムを設けたことに意味がある」として「過去の問題は過去の問題として置き、韓米日の共助、北朝鮮問題などに対しては協力するという共感はできた」と評価した。

 韓日葛藤の根本背景である強制動員賠償問題に対して、日本政府が既存の立場を固守しており、年内の首脳会談をはじめとする両国関係の急速な回復は難しいという慎重論も出ている。ヤン・ギホ聖公会大学教授は「『国家と国家の間の約束遵守』を強調した安倍首相の発言は、韓日請求権協定で日本のすべての賠償は終わったという既存の立場を守ったもので、強制動員問題に対しては両国間の立場の差を確認した。また、首脳会談開催に対して具体的な合意が導出されなかった点で、期待には達し得なかった」と評価した。

 今後の両国関係は、11月23日のGSOMIA公式終了と強制徴用被害者の日本企業の韓国内資産差し押さえ現金化(売却)日程が、主要な峠になると見られる。今回の首相会談を契機に、両国の公式的対話がうまくいくならば、今年予定された多国間会議であるASEAN+3(韓・中・日)首脳会議(タイ、10月31日~11月4日)、アジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議(チリ、11月16~17日)などで韓日首脳が向き合う可能性は依然として残っている。

東京/イ・ワン記者、チョ・ギウォン特派員、パク・ミンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/914504.html韓国語原文入力:2019-10-24 20:21
訳J.S

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