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北朝鮮「米国は新しい計算法を持って来なかった」…韓米訓練の中断確約を望んだもよう

登録:2019-10-06 21:31 修正:2019-10-07 07:37
北朝鮮が望んだ措置は 
 
北朝鮮キム・ミョンギル代表「米国は準備ができていない」 
先制的にとった非核化措置に対応し 
肯定的回答あってこそ次の段階の議論できると強調 
 
最終目標に生存権と発展権を強調 
安全保障のために韓米訓練の中断と 
対北朝鮮制裁解除の二点を具体的要求
北朝鮮外務省のキム・ミョンギル巡回大使が5日(現地時間)午後6時30分頃、ストックホルム郊外の北朝鮮大使館前でこの日開かれた朝米実務交渉関連声明を発表し「朝米実務交渉は決裂した」と明らかにした=ストックホルム/写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 「私たちが先制的にとった非核化措置と信頼構築措置に対し、米国が誠意をもって応える返事をしてこそ、次の段階の非核化措置のための本格的な議論に入ることができる」

 ストックホルムにおける朝米実務交渉の終了直後である5日午後6時30分(現地時間)、キム・ミョンギル北朝鮮側首席代表が駐スウェーデン北朝鮮大使館前で記者会見を自ら要望し、読みあげた声明の一節であり、北朝鮮側協議案の核心だ。米国の“言葉”ではなく“行動”があってこそ、本格的な協議にはいることができるという主張だ。

 米国側が、「(非核化最終目標が盛り込まれた)包括的合意」のための「密度の高い交渉の重要性」を強調した一方で、北朝鮮側は「(相互の信頼水準に合わせた)段階的合意・履行」アプローチを前提に、本格交渉に先んじた「初期信頼造成の相応の措置」を提起したわけだ。ストックホルム実務交渉が具体的合意内容の発表なしに終わった理由だ。

 キム・ミョンギル首席代表は、「米国は私たちが要求した(新しい)計算法を一つも持って来ず」「きわめて不快」だとし「決裂」という表現を使った。だが「朝鮮半島問題を対話と交渉を通じて解決しようとする私たちの立場は不変」と強調し、交渉軌道からの離脱を宣言することはなかった。むしろ「米国が準備できていないと判断し、交渉を中断して年末まで今少し熟考することを勧告した」と強調した。要約すれば、米国が行動で「誠意ある肯定的回答」をするまで、追加協議には入らずに待つという意味だ。実務交渉を支援したスウェーデン政府が「2週間後の追加交渉」を提案すると、米国は直ちに受諾したが、北朝鮮側からは何も答がなかった。

 問題は、北朝鮮側が「本格交渉」に臨む照尺とした米国の「誠意ある肯定的回答」が具体的に何であるかだ。キム首席代表は声明で、三点を例示した。2018年の6・12シンガポール朝米1次首脳会談以後、米国が(1)「15回(追加対北朝鮮)制裁発動」(2)「(ドナルド・トランプ米)大統領が直接中止を公約した(韓米)合同軍事演習の再開」(3)「朝鮮半島周辺への先端戦争装備」搬入により私たち(北朝鮮)の生存権と発展権を威嚇」したという主張がそれだ。(3)は(2)に付随した問題であるため「制裁」と「軍事訓練」が重要だ。

 「制裁」と「軍事演習」は。金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長とトランプ米大統領の二度の首脳会談を含めた合意・約束の側面でその位相が大きく異なる。「制裁」問題は、トランプ米大統領が緩和または解除を一度も公式に約束したことがない。「制裁」問題に対する北朝鮮側のアプローチは、たとえ合意に至れなかったとはいえ、2月のハノイでの2回目の首脳会談の時に金委員長が出した「寧辺(ヨンビョン)核施設永久廃棄」と国連の5個の制裁決議解除の「交換」方案が大きな枠組みで依然として有効だと言える。ク・ガブ北韓大学院大学教授が「キム・ミョンギル声明は『米国が相応の措置をとれば寧辺核施設の永久的廃棄のような措置を取り続ける用意がある』と明らかにした9・19平壌共同宣言の延長線上にある」と指摘した理由だ。

 一方、「軍事演習」は、韓米の中止宣言で昨年6月の1回目の朝米首脳会談の決定的呼び水になったし、シンガポール会談当日にトランプ米大統領が公式記者会見で中止の方針を再確認した。しかし、今年下半期には韓米は指揮所訓練を再開し、大隊級以下の合同演習も持続した。北朝鮮が5月4日~9月10日に10回にかけて短距離発射体を発射し、今月2日には潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を試験発射し激しく反発した対象も韓米軍事訓練だ。

 しかも、韓米軍事演習の持続は、軍需工場部門まで民需経済に動員し「経済集中」戦略路線を強調してきた金正恩委員長の統治基盤を傷つける「国内政治の問題」でもある。韓国政府の元高位関係者は6日「金委員長としては、韓米軍事演習の中止を明確に約束されていない状況で、本格的な非核化協議に入ることは危険と見ているようだ」として「キム・ミョンギル声明の『誠意ある肯定的回答』の合理的核心は、軍事演習の中止と見て差し支えないようだ」と指摘した。

 キム・ミョンギル首席代表は声明で、米国の最終目標である「完全な非核化」に対応する、北側の念頭に置いた最終目標にも言及した。「生存権」(安全保障)と「発展権」(制裁解除)の保障を強調し、米国が「実践で証明しなければならない」との主張がそれだ。

イ・ジェフン、ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/912193.html韓国語原文入力:2019-10-06 18:56
訳J.S

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