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軍事境界線に近い通川から発射…武力誇示の姿勢強める

登録:2019-08-17 06:06 修正:2019-08-17 08:05
発射体が狙った標的も南に最も近く 
高度30キロ、飛行距離230キロ、速度マッハ6.1 
“北朝鮮版ATACMS”を追加実験した可能性も 
韓米合同軍事演習と国防中期計画への反発と見られる 
北朝鮮が今月16日午前、通川一帯から東海上に飛翔体を発射した。写真は今月10日、北朝鮮が咸興から発射した飛翔体/聯合ニュース

 北朝鮮が16日午前、短距離飛翔体2発を発射した通川(トンチョン)は、軍事境界線(MDL)から50キロメートルほど離れている。今年5月以降、北朝鮮が飛翔体を発射した場所のうち軍事境界線に最も近い。飛翔体が狙った東海上の標的も韓国に最も近いという。それだけ韓国に対する武力誇示の姿勢を強めたものといえる。

 北朝鮮がミサイルと推定される飛翔体を発射したのは5月以降8度目だ。北朝鮮は5月4日と9日、そして先月25日「北朝鮮版イスカンデル」(KN23)と呼ばれる「新型戦術誘導兵器」を、先月31日と今月2日には「新型大口径操縦放射砲」と明らかにした短距離飛翔体を発射した。今月10日には「新兵器」という短距離ミサイルを発射した。軍事専門家は、この新兵器の外観が数百個の子弾を搭載した米国の戦術地対地ミサイル「ATACMS」に類似しているとして、「北朝鮮版ATACMS」と呼ぶこともある。これら“3種短距離セット”はすべて固体燃料を使っており、移動式発射台(TEL)から発射されて、迅速性と機動性が一層強化されたものと評価される。

 北朝鮮の発射とその後の報道形態を見ると、今回の飛翔体は「新型大口径操縦放射砲」か「新兵器」である可能性が高い。「新型戦術誘導兵器」は今月6日、首都圏上空を通る実験発射を通じて、事実上開発を完了し、実戦配置を控えていると見られるからだ。今月10日に「新兵器」の発射が初めて行われたことから、専門家らは今回の発射をその後続と見ている。当時、咸鏡南道咸興(ハムン)一帯から東海上に発射された同ミサイルは、高度48キロメートル、飛行距離400キロメートル、速度マッハ6.1以上と分析された。今回の飛翔体は高度30キロメートル、飛行距離230キロメートル、速度マッハ6.1以上と見られる。同じミサイルなら、今回は角度を下げて発射した可能性がある。軍関係者は「兵器システムの完成に必要なデータを追加で確保するため今回の発射を行ったとも考えられる」と述べた。

 北朝鮮の今回の発射は、韓米が現在行っている指揮所演習に対する反発とともに、国防総省が最近、国防中期計画で明らかにした軍事力増強に対する不満も含まれているとみられる。戦時作戦統制権(戦作権)の移管に焦点を合わせ、今月11日から始まった韓米指揮所練習は20日まで続く。国防部は14日、航空母艦水準の多目的大型輸送艦の建造計画などを盛り込んだ「2020~2024国防中期計画」を発表した。

 北朝鮮は以前、通川に近い安邊旗対嶺(キッテリョン)から数回ミサイルを発射したことがある。2017年8月26日には、当時進行中だった韓米合同演習「乙支フリーダムガーディアン」(UFG)を非難し、ミサイルを発射した。旗対嶺にはスカッドとノドンミサイル基地があるという。

ユ・ガンムン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/906022.html韓国語原文入力:2019-08-16 21:06
訳H.J

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