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[ニュース分析]「平和経済」非難した北朝鮮、対北朝鮮メッセージが不十分と判断したか

登録:2019-08-17 06:05 修正:2019-08-17 07:45
文大統領の光復節記念演説の翌日、激しい非難談話に発射まで 
祖平統「再び向かい合うつもりはない」…東海に向けてまた発射 
「韓米合同演習後、南北対話局面は自然には訪れない」 
大統領府「不満な点があっても対話を困難にしてはならない」
北朝鮮が今月16日午前、通川一帯から東海上に飛翔体を発射した。写真は今月10日、北朝鮮が咸興から発射した飛翔体/聯合ニュース

 北朝鮮が文在寅(ムン・ジェイン)大統領の光復節演説が出た翌日、激しい非難と共に武力誇示で反発した。

 北朝鮮の対南組織である祖国平和統一委員会(祖平統)は16日、報道官談話を通じて、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の光復節演説を非難し、「我々は南朝鮮当局者らとこれ以上話すこともなく、再び向かい合うつもりもない」と述べた。同日朝、北朝鮮は江原道通川(トンチョン)一帯で、東海上に向けて短距離ミサイルと推定される飛翔体を発射した。大統領府は、チョン・ウィヨン国家安保室長の主宰で緊急国家安全保障会議(NSC)常任委員会会議を開き、「北朝鮮が韓米合同軍事演習を理由に短距離発射体を相次いで発射している行為が、朝鮮半島の軍事的緊張を高める恐れがあるため、これを止めるよう求めた」と明らかにした。大統領府は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領も発射直後から関連事項の報告を受けている」と付け加えた。

 この日の北朝鮮の激しい反発には、文大統領の光復節演説で北朝鮮に向けた具体的提案が提示されなかったことによる失望感と共に、韓米軍事演習と国防中期計画などに対する不満が複合的に作用したものとみられる。

 祖平統報道官は文大統領の演説について、「大山鳴動して鼠一匹」(表向きは派手だが、結果はつまらないことの喩え)だとし、「南朝鮮当局者の言葉通りなら、彼らが対話の雰囲気を維持し、北南協力による平和経済を建設して、朝鮮半島平和体制を構築するために努力しているということだが、茹でた牛の頭さえ仰天大笑(天に向かって大きく笑う)するだろう」と一蹴した。文大統領が明らかにした「平和経済」構想に反ばくしたのだ。

 崇実大学のイ・ジョンチョル教授は「文大統領が具体的な対北朝鮮メッセージを出すと期待していたが、北朝鮮からすると何もなかったという失望感を示した」と分析した。文大統領が演説をしてから24時間も経たないうちに、異例のスピードで声明を発表したのは、それだけ期待して注視していたことを裏付ける。北朝鮮は、金剛山(クムガンサン)観光や開城(ケソン)工業団地の再開などと関連した具体的なメッセージが出ることを期待したもようだ。イ教授は「韓国政府は、今は韓日対立の解決に集中するため、韓米協力を重視しなければならないと判断し、北朝鮮に対する具体的方案の代わりに『北朝鮮が朝米対話を進展させない限り、南北関係も進展しない』というメッセージを送った」と説明した。

 北朝鮮の談話は、韓米軍事演習と南側の軍備増強に対する不満も再度強調した。祖平統報道官は20日まで行われる韓米合同指揮所演習について言及し、「我が軍隊の主力を90日以内に“壊滅”させ、大量殺戮兵器(大量破壊兵器)の除去や『住民生活安定』などを骨子とする戦争シナリオを実戦に移すための合同軍事演習が猛烈に進められており、何とか反撃訓練というものまで開始されているこの時期に南北“対話”を語っている」と反発した。また、「共和国の北半部全地域を攻撃するための精密誘導弾、多目的大型輸送艦などの開発や能力の確保を目標にした『国防中期計画』は何と説明できるのか」と述べ、国防部が14日に発表した国防中期計画を非難した。

 慶南大学極東問題研究所のイ・グァンセ所長は「文大統領が『平和経済』を掲げながら、なぜ韓米合同軍事演習を実施し、国防中期計画を発表するのかという不満の表れ」だと分析した。イ所長は「ハノイでの朝米首脳会談の決裂後、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が4月の最高人民会議の施政方針演説で、経済と共に国防力も強化していき、体制の安全保障を強化するという意向を示してから、北朝鮮の態度が昨年とは変化している」と指摘した。北朝鮮が「交渉もする一方、国防力も強化し、わが道を行く」という態度を明らかにしており、最近の韓米合同演習を口実とした相次ぐミサイル試験発射を通じて新種のミサイルシステムを構築することで、朝米交渉力を高めると共に、韓米演習に対する反対の意思を明らかにしながら、交渉に向けた準備時間も稼いでいるという分析だ。

 北朝鮮は「先朝米会談、後南北対話」の基調を明確にし、韓国に対してはきちんと準備を求めるメッセージを送っている。祖平統の談話は「南朝鮮当局が今回の(韓米)合同軍事演習が終わった後、何の計算もなしに季節が変わるように、自然に対話局面が訪れると妄想しながら、これからの朝米対話で漁夫の利を得ようと首を長くして待っているが、そのような叶わない未練は前もって断ち切った方がいい」と述べた。イ・グァンセ所長は「北朝鮮は朝米対話の進展状況に応じて、南北対話の再開時期を見計らうだろう」とし、「南側が代案をきちんと準備して出てこいというメッセージ」だと分析した。

 同日の祖平統談話は、文大統領を「南朝鮮当局者」と呼び、「部下が書いたものを読み上げるだけの人」や「北から狩りの銃声が聞こえるだけで、糞を漏らすくせに」などと、暴言も並べた。

 同談話について、大統領府関係者は「成熟した南北関係の発展の助けにならない」とし、遺憾の意を表明した。「不満な点があっても対話を困難にすることは決して望ましくない」と述べた。統一部高官も「当局の公式立場表明と見るには度が過ぎる無礼な行為だと思う」とし、「南北が相互尊重する基礎の上で、守るべきことは守らなければならない」と批判した。

 ただし、北朝鮮が同日、祖平統談話を北朝鮮住民が接する「労働新聞」や「朝鮮中央放送」などの対内用メディアには報道しなかったのは、今後朝米対話の推移による南北関係の進展と対南政策の転換などを考慮し、南北対話を再開する可能性を残したものとみられる。

パク・ミンヒ、ノ・ジウォン、ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/906059.html韓国語原文入力:2019-08-16 22:39
訳H.J

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