本文に移動

試される韓国外交…日本の報復防ぐ「3つのカード」

登録:2019-07-05 06:21 修正:2019-07-10 08:17

韓日の「トップダウン外交」 
安倍首相と側近など3人が主導 
大統領府と日本の首相官邸のチャンネルを稼動 

米国を動かす外交 
韓日の軋轢を抑える役割を果してきた米国を活用 
米国でも「トランプ大統領が責任を放棄」の声あがる 

日本国内の批判世論 
日本の専門家やメディアでも懸念の声 
韓日市民社会が連帯し、世論作り

ユ・ミョンヒ産業通商資源部通商交渉本部長が今月4日午後、ソウル鍾路区の韓国貿易保険公社で開かれた日本の輸出統制関連の関係機関会議で、冒頭発言をしている//ハンギョレ新聞社

 「強制徴用問題」をめぐる日本の報復性の輸出規制措置が4日に始まったことに伴い、韓国の外交力も試されている。

 政府は世界貿易機関(WTO)への提訴と先端産業素材・部品の対日依存度を減らすための投資案などを打ち出しているが、韓国の先端産業の急所を狙った日本の報復措置を相殺するような明確な経済的解決策を設けるのは難しい状況だ。経済と外交を包括する総力対応が求められる。

 専門家らはまず、韓日間の“トップダウン”外交を提案する。日本の今回の処置は、安倍晋三首相を中心に経済産業省出身の側近である今井尚哉首相秘書官や世耕弘成経済産業相の3人が主導しているものと見られている。日本の外務省は、今回の措置を事前に知らされないほど、役割が縮小した。聖公会大学のヤン・ギホ教授は「大統領府と日本の首相官邸のトップダウン外交が稼動しなければ解決が難しい局面」だとし、「大統領府が日本の首相官邸との水面下の対話を稼動させなければならず、チョン・ウィヨン国家安保室長と谷内正太郎国家安全保障局長間の対話チャンネルも復元しなければならない」と述べた。

 日本の今回の措置が、世界の先端電子製品の供給網に打撃を与え、自由貿易体系を揺るがすという国際的な批判の拡散も韓国が注目すべき点だ。特に、東アジアで韓米日関係が持つ特殊性を考慮すると、“米国を動かす外交”も重要な局面だ。韓米日が安保を中心に密接に絡み合っている現実で、米国は韓日の軋轢を抑える役割を果たしてきた。同盟構造をあまり重視しないドナルド・トランプ大統領の外交姿勢の影響で、同盟間の軋轢に以前のように積極的に関与していないものの、米国内でも韓日間の軋轢が外交をめぐる対立を越えて経済戦争に飛び火する事態に対し、憂慮の声が高まっている。スタンフォード大学のダニエル・スナイダー教授は4日、ブルームバーグニュースに、「米国は、北東アジアで主要な同盟間の軋轢が米国の安保利益にも脅威になるということを理解してきたが、(トランプ)政権はその責任を放棄している」と批判した。

 ウィリアム・ハガティ駐日米国大使が2日、韓日の軋轢を「外交的努力で解決されることを期待する」と発言するなど、米国も事態を注視しているものとみられる。ヤン・ギホ教授は「現在の状況は、韓日外交だけでは解決できないし、韓米・韓日外交が同時に稼動されてこそ解決できる高次方程式」だとしたうえで、「すべての外交チャンネルを稼動し、米国もこの葛藤で役割を果たすよう働きかけなければならない」と述べた。

 三つ目は日本国内の世論だ。日本の専門家たちも今回の措置がWTOに違反する恐れがあると指摘しており、朝日新聞が「『報復』を即時撤回せよ」という社説を載せるなど、批判的な社説が相次いでいる。今回の措置は、法改正を通じて韓国を事実上の「安保憂慮国」として扱い、輸出を制限する内容だが、どのような安保憂慮があるのか根拠すら出していないという指摘も相次いでいる。民主社会のための弁護士会(民弁)国際通商委員会のソン・ギホ弁護士は「今回の措置が日本企業の利益とも緊密につながっており、日本内部で批判世論が強まれば、強硬だった安倍首相も退路を見いだすため、一歩下がる可能性がある」とし、「韓国と日本の市民社会が連帯して今回の措置の不当性を積極的に指摘しなければならない」と述べた。

パク・ミンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/900588.html韓国語原文入力:2019-07-04 21:12
訳H.J

関連記事