文在寅(ムン・ジェイン)大統領、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長、ドナルド・トランプ米大統領の30日の板門店での出会いは「和解と平和の新しい歴史の始まり」であると、1日付の北朝鮮「労働新聞」と「朝鮮中央通信」が報道した。「朝鮮中央テレビ」はこの日午後3時から20分余り、板門店での会合を編集したドキュメンタリー番組を放送した。北朝鮮の3大主要メディアが、板門店での会合を大々的に報道したのだ。「労働新聞」は「敵対と対決の産物である軍事境界線非武装地帯で、北南朝鮮と米国の最高首脳が分断の線を自由に行き来して会うという歴史的な場面は、板門店で和解と平和の新しい歴史が始まったことを見せている」と報道した。
「労働新聞」は、金委員長が「30日午後、トランプ大統領の提案により板門店で歴史的な対面」と「単独歓談と会談」をしたと報道した。さらに「労働新聞」は会談にリ・ヨンホ外相とマイク・ポンペオ米国務長官が同席したと伝え、「朝鮮中央テレビ」は関連写真を放映した。前日の板門店での出会いを金委員長とトランプ大統領の3回目の首脳会談と見るという意味だ。
金委員長とトランプ大統領は「会談の結果に大きな満足を示された」と「労働新聞」は伝えた。「朝鮮中央テレビ」は、両首脳が「このような出会いがずっと続き、お互いに有益な終着点に達することになるだろうことに確信を表わされた」と報道した。金委員長が、板門店での会合、トランプ大統領との議論の結果に大きく満足しているという傍証だ。「労働新聞」などは、金委員長とトランプ大統領の板門店での会合を「歴史を跳び越える世紀的な出会い」であり「敵対国家として反目し憎んできた両国間に、前例ない信頼を創造した驚くべき事変」と興奮した語調で持ち上げた。
朝米首脳は「朝鮮半島非核化と朝米関係に新しい突破口を開くための生産的な対話を再開し、積極的に推進していくことで合意した」と「労働新聞」は報道した。「2~3週間以内の実務交渉再開に合意した」というトランプ大統領の前日の記者会見内容を確認したわけだ。さらに朝米首脳は「朝鮮半島の緊張状態を緩和し、朝米両国間のかんばしくない関係を終わらせ劇的に転化していくための方法的な問題」と「これを解決するうえで障害となるお互いの憂慮事項と関心ある問題について説明し、全面的理解と共感を示された」と伝えた。
金委員長とトランプ大統領が、ハノイ会談の合意失敗でお互いに抱くことになった疑問や不満、これを克服する“方法”などを“説明”し、“理解と共感”に至ったという話だ。ク・ガブ北韓大学院大学教授は、金委員長が提起した「憂慮事項」として「軍事的には韓米合同軍事演習、経済的には制裁、外交的には連絡事務所と国交樹立など」を挙げた。統一研究院のホン・ミン北韓研究室長は「トランプ大統領が記者会見で『包括的合意』に朝米が共感したと話したが、北の非核化と米国による安全保障を括った話と見られる」と指摘した。
北朝鮮側メディアは、文在寅大統領が板門店での会合に共にした事実も伝えた。特に「朝鮮中央テレビ」は、金委員長がトランプ大統領との会合を終えて、軍事境界線を越える直前に文大統領と抱擁する場面を放送の最後の部分に放映した。労働新聞は、1面には朝米の首脳の写真だけを載せたが、2面と3面には文大統領を含む南・北・米の三首脳または南北首脳が一緒に写った写真を多数載せた。